注目キーワード
MONTH

2022年2月

NBIA: neurodegeneration with brain iron accumulation

総論 ・遺伝子異常による基底核への異常な鉄沈着・神経変性が病態であり(中枢神経への鉄沈着による神経変性をきたす疾患はNBIAと脳表ヘモジデリン沈着症)、下記経路のいずれかに遺伝子異常により障害を来たした病態(単一の疾患ではなく総称)。・いずれも特徴的な画像所見や臨床像がありますが、遺伝子診断が確定診断になります。 遺伝形式からの鑑別 ・AD:神経フェリチン症(Neuroferritinopathy […]

若年発症アルツハイマー型認知症 early-onset Alzheimer’s dementia

若年発症(early-onset AD) ・65歳未満の発症を”early-onset AD”と表現し、全体の5-6%を占める(診断が約1.6年遅れる) 若年性認知症の原因として約1/3を占める ・臨床像がtypical amnestic ADと異なる点が重要!「失語」、「視空間認知障害」、「失行」といった症状が目立つ(記憶障害が目立たず) 頭頂葉、側頭頭頂葉病変が主体であ […]

アルツハイマー病 Alzheimer’s disease

結局は病理診断でないと答えが分からない(つまり独りよがりな診断になってしまう)ため苦手意識を持つ方も多いと思いますが、個人的には去年「往診」をするようになってから、かなり興味を持つようになりました。診察室の中での出来事よりも「日常生活」へどれだけイメージを膨らませることができるか?という視点が認知症診療へ興味を持つきっかけになったように感じています。2010年時点で65歳以上の認知症有病率は15% […]

糖尿病性末梢神経障害 diabetic neuropathy

学生の時に勉強する糖尿病による細小血管合併症は「し(神経)・め(眼)・じ(腎臓)」が有名で、その中の神経障害を扱います。さまざまな病型があるため紹介させていただきますが、最も多いのはもちろん多発ニューロパチー(polyneuropathy)です。血糖コントロールが良くても2型糖尿病では多発ニューロパチーを併発しうるという点が重要です。私はNCSなど含めてきちんと精査・除外を行った上で「糖尿病性神経 […]

SPECT single photon emission computed tomography

原理 放射性同位元素・陽電子(positron)→陽電子放出断層撮像法(PET: positron emission tomography)・単光子(single photon)→ 単光子放出コンピューター断層撮像法(SPECT: single photon emission computed tomography) *感度と空間分解能が低い点が問題である SPECTでの放射性医薬品・99mTc( […]

脳血流の評価

色々なパラメーターがでてきて混乱するかもしれませんが、基本は電気回路の電流(血流)=Δ電圧(Δ還流圧)/血管抵抗を理解していれば理解できると思います。 脳血流の生理学 以下が登場するパラメーターです。電気回路では電流の受け手(=組織:血流の受け手)側のことは一切考慮しませんが、ここでは受け手(組織)の酸素摂取率(OEF)を考慮する必要があります。 CPP: cerebral perfusion p […]

糖尿病性/高血糖性舞踏病

神経内科医だけではなく一般内科の先生方の間でも認知度が高い病態です。名称はdiabetic striatopathy, diabetic chorea, hyperglycemia-induced hemichorea/hemiballismusなど文献によってさまざまですが簡単に勉強した内容をまとめます。chore一般に関してのまとめはこちらをご参照ください。 臨床像 ・急性発症の片側舞踏様運動 […]

脳実質石灰化病変へのアプローチ

生理的石灰化部位:松果体、淡蒼球、手綱交連、小脳歯状核 成人発症:遺伝性白質脳症+石灰化病変へのアプローチ この項はJAMA Neurol. 2017;74(8):1000-1008.からすべて引用。 鑑別 ・HDLS/ALSP(遺伝子CSF1R):微小石灰化(白質)・脳梁菲薄化 こちら参照・COL4A1 related disorders:微小石灰化(基底核)・RVCL(遺伝子TREX1):網膜 […]

RBD: REM sleep behavior disorder REM睡眠行動異常症

睡眠時随伴症 Parasomnia “parasomnia”:睡眠中にするべきではない行動をやってしまうこと(単純な行動)→一般的にNREM睡眠とREM睡眠どちらで起こるか?によって分類する NREM睡眠に関連するパラソムニア ・覚醒障害 disorders of arousal・錯乱性覚醒 confusional arousals・睡眠時遊行症 sleep walking […]

Restless legs syndrome: RLS レストレスレッグズ症候群(下肢静止不能症候群)

これはよく指摘されている点ですが”legs”の発音は正しくは「レッグズ」で「レッグス」ではありません(「ズ」と濁ります)。日本ではいろいろな病名(「むずむず脚症候群」など)によってやや混乱をきたしています。また更に正確には「下肢には限局しない」ためそもそも”legs”という表現がよくないため報告者の”Willis-Ekbom diseas […]