HIT: heparin-induced thrombocytopenia

病態

HIT(heparin-induced thrombocytopenia)はPF-4(platelet factor:血小板放出)とヘパリンの複合体に対する抗体形成により血小板が減少しますが、出血合併症が起こるのではなく逆説的に血栓症を合併する病態です。未分画ヘパリンを7-10日間投与されている状態がリスクが高く、心臓手術後は約1-3%に認めるとされています。HITと確定した患者の約50%に血栓症(PE>末梢動脈血栓>脳卒中>心筋梗塞)を認めます。 read more

異常蛋白血症に伴う末梢神経障害 Paraproteinemic neuropathy

異常蛋白血症(paraproteinemia)とは?

まず基本的なおさらいですが、形質細胞由来の免疫グロブリンはHeavy chain(H鎖)Light chain(L鎖)の2つから構成されています。H鎖はIgG,IgA, IgM, IgD, IgEの5種類があり、L鎖はκλの2種類があります。これらが組み合わさることで免疫グロブリンを構成しています。そして、このうちある一種類の免疫グロブリンが異常に産生されたものをM蛋白(M-protein)と表現します。 read more

POEMS症候群

病態

POEMS症候群(olyneuropathy, Organomegaly, Endocrinopathy, M protein, kin changes)は形質細胞腫を背景とした多臓器疾患で、VEGF(vascular endothelial growth factor)血管内皮増殖因子の過剰産生が関与しています(Crow-深瀬症候群)。VEGFは骨髄の形質細胞由来であることが指摘されています(Leuk Res 2016; 50:78–84.)。日本人の先生方が疾患概念の理解に大きく関与した疾患として有名です。 read more

Trousseau症候群による脳梗塞

病態

Trousseau症候群は腫瘍に伴う過凝固状態による塞栓症を表しますが、文献によってはこの表現は使用さえておらず、pub medでもhitする数は少ないです。腫瘍由来の過凝固状態には多段階の機序が作用しているとされており(下図はBlood. 2007;110:1723-1729より引用)、抗凝固療法もDOACやワーファリンでは不十分で多段的に作用する未分画ヘパリンが有用とされています(実際にヘパリンから他の抗凝固薬に切り替えた瞬間に塞栓症が再発することは臨床上よく経験されると思います)。 read more

LDH上昇へのアプローチ

採血結果のうちLDH上昇は「どーせなんでもLDHは上昇するだろー」と高を括って、原因をアセスメントされずに放置されているケースをしばしば目撃します。しかし、LDH上昇が手掛かりとなり病態解明のヒントとなることもあり、一度LDHに助けられるとそのありがたみを痛感する検査項目でもあります。ここではLDH上昇へのアプローチを解説します。 read more

IVL intravascular lymphoma 血管内リンパ腫

病態

血管内リンパ腫はほとんどが腫瘍細胞がB細胞起源です。毛細血管内腔にリンパ腫細胞が浸潤、増殖し、大血管を侵襲することは通常ありません。血管外の腫瘤形成や末梢血でのリンパ腫細胞が検出されないため非常に診断が難しいことが特徴です。毛細血管を閉塞することで臓器虚血を引き起こし、障害される臓器としては中枢神経皮膚が代表ですがどの臓器も浸潤しうるとされています。中枢神経に病変を呈する場合が多いため血液内科医だけではなく神経内科医にとっても非常に重要な疾患です。 read more

血小板減少へのアプローチ thrombocytopenia

1:病態・原因

元々人体は進化の過程では出血との戦いだったので充分量の血小板を蓄えています。このため一般的に2~3万/μLあれば止血に問題はないとされています。そこまで下がってからでは遅いので、一般的には血小板数を10万/μL以下を血小板減少の定義とすることが多いです。 read more

好酸球増加 eosinophilia

1:病態

好酸球は大きく分けて骨髄、血液、組織の3つの場所に存在します。骨髄には1週間程度、血液には数時間(24時間以内)、そして組織中には1~2か月と基本は組織に長く存在します。組織中の好酸球数は血液中の数百倍程度とされており、血液中の好酸球は全体のごく一部を反映しているに過ぎないことに注意です。このことは臨床的に血中の好酸球数で臓器障害を必ずしも予想出来ないことと関係しているかもしれません。 read more