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血液

LDH上昇へのアプローチ

採血結果のうちLDH上昇は「どーせなんでもLDHは上昇するだろー」と高を括って、原因をアセスメントされずに放置されているケースをしばしば目撃します。しかし、LDH上昇が手掛かりとなり病態解明のヒントとなることもあり、一度LDHに助けられるとそのありがたみを痛感する検査項目でもあります。ここではLDH上昇へのアプローチを解説します。 まずroutineで確認するのは同時採血のHb、血小板、血液像、C […]

IVL intravascular lymphoma 血管内リンパ腫

病態 血管内リンパ腫はほとんどが腫瘍細胞がB細胞起源です。毛細血管内腔にリンパ腫細胞が浸潤、増殖し、大血管を侵襲することは通常ありません。血管外の腫瘤形成や末梢血でのリンパ腫細胞が検出されないため非常に診断が難しいことが特徴です。毛細血管を閉塞することで臓器虚血を引き起こし、障害される臓器としては中枢神経と皮膚が代表ですがどの臓器も浸潤しうるとされています。中枢神経に病変を呈する場合が多いため血液 […]

血小板減少へのアプローチ thrombocytopenia

1:病態・原因 元々人体は進化の過程では出血との戦いだったので充分量の血小板を蓄えています。このため一般的に2~3万/μLあれば止血に問題はないとされています。そこまで下がってからでは遅いので、一般的には血小板数を10万/μL以下を血小板減少の定義とすることが多いです。 しかし、重要なのは血小板の絶対数ではなく、経過で血小板数が下がっているかどうか?です。このためたとえ血小板数が正常範囲内であった […]

好酸球増加 eosinophilia

1:病態 好酸球は大きく分けて骨髄、血液、組織の3つの場所に存在します。骨髄には1週間程度、血液には数時間(24時間以内)、そして組織中には1~2か月と基本は組織に長く存在します。組織中の好酸球数は血液中の数百倍程度とされており、血液中の好酸球は全体のごく一部を反映しているに過ぎないことに注意です。このことは臨床的に血中の好酸球数で臓器障害を必ずしも予想出来ないことと関係しているかもしれません。 […]

貧血へのアプローチ

1:鉄代謝 貧血の理解には鉄代謝の理解が必要なので、まず以下の図を利用しながら勉強していきます。 鉄は消化管からフェルロポルチン(Ferroportin:図の緑色小さな四角形で表現)を経由して血中に入ります。鉄はそのままでは毒性が高いので、血中ではトランスフェリン(transferrin:図の水色)という輸送蛋白に乗って血液中を移動します。このトランスフェリンは肝臓が普段は作り供給しています(他の […]

抗血小板薬 antiplatelet drugs

1:血小板の生理 普段私たちの血管内皮細胞はNO(一酸化窒素)やPGI2(プロスタグランジンI2)などの働きによって、血栓が出来ないようにしています。しかし、血管壁が破綻して出血をすると血小板が止血において重要な役割を担います。 血管内皮細胞が障害されると、vWF(von Willebrand因子)を介在して、血小板がくっつきます。血小板はここで、ADP(アデノシン二リン酸)やTXA2(トロンボキ […]

抗凝固薬 まとめ

0:凝固カスケードと作用機序 凝固カスケードと抗凝固薬との対応関係をまとめると上図の様になります。以下でそれぞれの薬に関してまとめます。 1:ヘパリン類 ■作用機序と分類 ヘパリン類はそれ単独では抗凝固作用を示さず、AT(antithrombin:アンチトロンビン)依存性に抗凝固作用を発揮します。このため、背景にAT欠損や活性低下があると十分な薨御作用を発揮できません。未分画ヘパリン(UFH: u […]

凝固・線溶系

1:凝固・線溶の生理学 ■外因系・内因系 凝固カスケードは大きく内因系、外因系とそれらが合わさる共通系に分けることができます。内因系は凝固因子が全て「血管内」にあるため「内」と表現し、外因系は組織因子が「血管外」にあるため「外」と表現しています。出血時の止血では特に外因系が重要であるとされています。内因系はAPTTで、外因系はPTでそれぞれモニターします。 外因系、内因系それぞれが活性化すると、共 […]

輸血 開始基準

ここでは「いつ・どんなときに輸血を開始するべきか?」というテーマを扱う。多くの本を開くと「輸血開始基準はHb<7.0 g/dl」と記載してあるが、本当にそれだけでよいのだろうか? 1:組織への酸素供給と消費(復習) この項目は今まで述べてきた話の復習になる。組織への酸素供給は1:Hb(ヘモグロビン)、2:SaO2(動脈酸素飽和度)、3:CO(心拍出量)の3つから構成される。今回輸血ではこのう […]