MDSとBehcet病
MDS(myelodysplastic syndrome)では免疫システムの破綻が病態に関与していることが知られており、MDSの10-20%に自己免疫疾患を合併すると報告されています。 ■自己免疫疾患を合併したMDS123例のまとめ Rheumatology 2016;55:291-300 MDS/CMLL合併した自己免疫疾患としては血管炎32%(PN12例、GCA9例、Behcet病6例:全体の […]
MDS(myelodysplastic syndrome)では免疫システムの破綻が病態に関与していることが知られており、MDSの10-20%に自己免疫疾患を合併すると報告されています。 ■自己免疫疾患を合併したMDS123例のまとめ Rheumatology 2016;55:291-300 MDS/CMLL合併した自己免疫疾患としては血管炎32%(PN12例、GCA9例、Behcet病6例:全体の […]
異常蛋白血症(paraproteinemia)とは? まず基本的なおさらいですが、形質細胞由来の免疫グロブリンはHeavy chain(H鎖)とLight chain(L鎖)の2つから構成されています。H鎖はIgG,IgA, IgM, IgD, IgEの5種類があり、L鎖はκとλの2種類があります。これらが組み合わさることで免疫グロブリンを構成しています。そして、このうちある一種類の免疫グロブリン […]
病態 POEMS症候群(Polyneuropathy, Organomegaly, Endocrinopathy, M protein, Skin changes)は形質細胞腫を背景とした多臓器疾患で、VEGF(vascular endothelial growth factor)血管内皮増殖因子の過剰産生が関与しています(Crow-深瀬症候群)。VEGFは骨髄の形質細胞由来であることが指摘されて […]
病態 Trousseau症候群は腫瘍に伴う過凝固状態による塞栓症を表しますが、文献によってはこの表現は使用さえておらず、pub medでもhitする数は少ないです。腫瘍由来の過凝固状態には多段階の機序が作用しているとされており(下図はBlood. 2007;110:1723-1729より引用)、抗凝固療法もDOACやワーファリンでは不十分で多段的に作用する未分画ヘパリンが有用とされています(実際に […]
採血結果のうちLDH上昇は「どーせなんでもLDHは上昇するだろー」と高を括って、原因をアセスメントされずに放置されているケースをしばしば目撃します。しかし、LDH上昇が手掛かりとなり病態解明のヒントとなることもあり、一度LDHに助けられるとそのありがたみを痛感する検査項目でもあります。ここではLDH上昇へのアプローチを解説します。 まずroutineで確認するのは同時採血のHb、血小板、血液像、C […]
病態 血管内リンパ腫はほとんどが腫瘍細胞がB細胞起源です。毛細血管内腔にリンパ腫細胞が浸潤、増殖し、大血管を侵襲することは通常ありません。血管外の腫瘤形成や末梢血でのリンパ腫細胞が検出されないため非常に診断が難しいことが特徴です。毛細血管を閉塞することで臓器虚血を引き起こし、障害される臓器としては中枢神経と皮膚が代表ですがどの臓器も浸潤しうるとされています。中枢神経に病変を呈する場合が多いため血液 […]
病態・原因 元々人体は進化の過程では出血との戦いだったので充分量の血小板を蓄えています。このため一般的に2~3万/μLあれば止血に問題はないとされています。そこまで下がってからでは遅いので、一般的には血小板数を10万/μL以下を血小板減少の定義とすることが多いです。 しかし、重要なのは血小板の絶対数ではなく、経過で血小板数が下がっているかどうか?です。このためたとえ血小板数が正常範囲内であったとし […]
1:病態 好酸球は大きく分けて骨髄、血液、組織の3つの場所に存在します。骨髄には1週間程度、血液には数時間(24時間以内)、そして組織中には1~2か月と基本は組織に長く存在します。組織中の好酸球数は血液中の数百倍程度とされており、血液中の好酸球は全体のごく一部を反映しているに過ぎないことに注意です。このことは臨床的に血中の好酸球数で臓器障害を必ずしも予想出来ないことと関係しているかもしれません。 […]
1:鉄代謝 貧血の理解には鉄代謝の理解が必要なので、まず以下の図を利用しながら勉強していきます。 鉄は消化管からフェルロポルチン(Ferroportin:図の緑色小さな四角形で表現)を経由して血中に入ります。鉄はそのままでは毒性が高いので、血中ではトランスフェリン(transferrin:図の水色)という輸送蛋白に乗って血液中を移動します。このトランスフェリンは肝臓が普段は作り供給しています(他の […]
1:血小板の生理 普段私たちの血管内皮細胞はNO(一酸化窒素)やPGI2(プロスタグランジンI2)などの働きによって、血栓が出来ないようにしています。しかし、血管壁が破綻して出血をすると血小板が止血において重要な役割を担います。 血管内皮細胞が障害されると、vWF(von Willebrand因子)を介在して、血小板がくっつきます。血小板はここで、ADP(アデノシン二リン酸)やTXA2(トロンボキ […]