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NIID: neuronal intranuclear inclusion disease 神経核内封入体病

原因:NOTCH2NLC遺伝子の5’非翻訳領域のCGG遺伝子全身病であり核内封入体が蓄積する疾患 多くは孤発性(一部家族性) 臨床像:認知症*パーキンソニズム、小脳失調、自律神経障害(縮瞳が重要)、意識障害 検査:MRI皮質直下白質の線状DWI高信号に特徴的、神経伝導検査は伝導速度低下 診断:皮膚生検 脂肪細胞、線維芽細胞および汗腺細胞における1.5~3mmのエオジン好性ユビキチン陽性 […]

髄液細胞数

基本 正常値:~5個/μL*海外の文献では10個/μLを基準としているものもあるので注意が必要 細胞とは?=白血球形態:単核球(≒リンパ球),多形核球(≒好中球)に分類 上昇の原因:中枢神経での炎症*髄液蛋白の上昇(こちら)は患者背景による影響(高齢、頸椎症、糖尿病など)が大きく、必ずしも病的とはいえないですが、細胞数増多は確実に病的です。 細胞分画による原因推定 ①単核球増多:自己免疫性,ウイル […]

ocular bobbing

意識障害で生じることがある垂直性の眼球運動として“ocular bobbing”があります。水平性眼球運動の”ping-pong gaze/rovig eye movement”はこちらをご参照ください。典型的なocular bobbingは橋の障害(特に血管障害や腫瘍など)で生じることがどの教科書にも書いてあり有名です。しかし、橋の障害以外でも生じ […]

Gerstmann症候群

Gerstmann症候群を呈している患者が入院し、そういえば今までGerstmann症候群の記事を作っていなかったなーと調べてみると混沌たる世界に足を踏み入れてしまいました、、、。まだまだ文献の読み込みが浅いのですが、少しずつ足していければと思います。 はじめに ・元々は左頭頂葉角回の障害(angular gyrus syndrome)による身体認識障害 body schemeの障害(特に手指)の […]

ping-pong gaze/roving eye movement

ping-pong gaze/roving eye movement ・症候:両眼の左右への数秒間隔(2.5-8秒)の周期的な運動(卓球のボールを追いかけているようなことからping-pongと名付けられている)*動画:こちら Neurocrit Care 2018; 29:315–316. 両側大脳半球梗塞の症例*動画:こちら N Engl J Med 2015;372: e34 肝性脳症の症例 […]

CKD・透析患者の神経障害性疼痛管理

神経障害性疼痛の管理一般に関してはこちらをご参照ください。 腎機能障害の場合,SNRIはCCr<30h禁忌(デュロキセチンが使えないのがきつい),プレガバリンは禁忌ではないですが腎代謝で投与量の調整が必要であり、薬剤選択がかなり厳しくなります。日常臨床でも悩むことが多いです。以下の文献を元に神経障害性疼痛のところのみ抜き出して検討します。 “Clinical Pharmacolo […]

coat-hanger headache

ハンガーにコートをかける部位、つまり後頸部~両肩(僧帽筋の部位)に立位になると疼痛を認め、臥位で改善する症候を“coat-hanger headache”と表現します。変な表現ですが、私この症候かなり好きです。 自律神経障害の起立性低血圧による僧帽筋や脊柱起立筋の虚血が原因と推定されており、立位で誘発され、座位や臥位になると改善することが疑うポイントです(自律神経障害につい […]

ケタミン ketamine

作用機序:NMDA受容体阻害薬(非競合)組成:ケタラール10mg/ml(製剤の種類:50mg/5ml, 200mg/20ml)*基本原液のまま使用する最高血中濃度:1-5分、半減期:3.6+1.4時間 特徴:呼吸抑制効果が弱い(ベンゾジアゼピンと異なり),昇圧効果がある(循環動態が崩れている際の鎮静薬として優れている)、唾液分泌量増加するがスコポラミンなどで対応可能副作用:血圧上昇・唾液分泌量増加 […]

NORSEの免疫治療

それぞれの分野で最も重症度が高い病態を把握しておくことは重要です。中枢神経の脱髄疾患であればAHLE(こちら)、そしててんかんの中で最も重症な病態がCryptogenic NORSEです。ここではCryptogenic NORSEを中心に、NORSE全般の免疫治療に関してまとめます。 はじめに ・NORSE(new onset refractory status epilepticus)は「病名」 […]

HHV-6と中枢神経

私は今まで造血幹細胞移植を行っている施設での勤務歴が乏しい関係で、移植関連の中枢神経疾患にとても弱いです。先日造血幹細胞移植を行っている施設で短期研修をした後輩から「移植後でちょっとせん妄かなーという患者さんに指導医がすかさずHHV-6脳炎を疑ってホスカルネットを投与して、実際にそうだった」と話しを聞いて、かなり驚きました。髄液multiplex PCR(こちら)の登場により髄液中HHV-6 DN […]