滑車神経麻痺 trochlear nerve palsy

解剖・病態

・滑車神経は上斜筋(眼を下内転+内旋させる作用)を支配しています。
・滑車神経麻痺では上下方向の複視を訴えます(下図参照)。複視へのアプローチに関する一般的な内容はこちらをご参照ください。
・病歴上の特徴は特に下を向く時(階段を下る時・読書など)に増悪することと、頭位により増悪を認める(患側に傾けると悪化する)ことが挙げられます。 read more

Guillain Barre症候群・ギラン・バレー症候群 総論

病態

・末梢神経の髄鞘もしくは軸索の抗原に対して自己抗体が産生されることで末梢神経障害・神経根障害をきたすことがギラン・バレー症候群(Guillain Barre syndrome: GBS)の病態です。
・想定されている病態機序が下図にまとめられています(Nat Rev Neurol. 2016;12(12):723-731.)。全体の約2/3に先行感染(関連のある病原体:Campyrobacter jejuni最多, CMV, EBV, HEV, Mycoplasma pneumoniae, Zika virus)を認めるとされています。
1:Campyrobacter jejuniの表面分子(ガングリオシドと似た)に対して抗体が産生され、それが末梢神経のnodeに位置するガングリオシドを抗原とした抗原抗体反応が起こります。
2:抗体は補体を活性化し、MAC(membrane attack complex)形成による軸索細胞膜の破壊、マクロファージの動員がされ、paranodeが軸索から剥がされます。 read more

PCB variant (pharyngeal-cervical-brachial variant of GBS):咽頭頸部上腕型GBS

病態/臨床像

咽 頭 頸 部 上 腕 型 GBS(pharyngeal-cervical-brachial variant of GBS:PCB)は球麻痺が前景に立つギラン・バレー症候群の亜型で(下図オレンジ色文字が該当)、1986年にRopperが報告したことに端を発します(ギラン・バレー症候群の一般的事項に関してはこちらをご参照ください)。
球麻痺で発症し、その後症状分布が下行性に拡大していくことが特徴で、通常典型的なGBSは下肢から発症して分布が上行性に拡大していくことと対照的です。
・抗ガングリオシド抗体の中では抗GT1a抗体を検出することが多いとされています。 read more

Weber試験・Rinne試験

聴力低下が疑われる場合に簡易的なベッドサイドのスクリーニングとして行われる診察がWeber試験とRinne試験の2つです(音叉が必要です)。基本的な検査ですが解釈が意外と混乱を招きやすいためここでまとめます。 read more

せん妄 delirium

1:病態

・せん妄は意識障害の分類ではここでは「一過性」の「覚醒障害」もしくは「認知障害」に該当する(Fig1)。覚醒障害が主体になる場合も、認知障害が主体となる場合もどちらもある。覚醒障害は軽度の覚醒障害を反映した注意障害(何かに集中し続けることが困難)や睡眠覚醒障害を呈する場合が多い。認知障害では見当識障害(特に時間→場所→人の順で障害される)を呈することが多く、また論理的な思考能力も障害されやすい。 read more

意識障害へのアプローチ:改訂版

意識障害へのアプローチ

・ここでは持続性の覚醒障害(一般的に「意識障害」と呼ばれることが多い)へのアプローチをまとめました。前に書かせていただいた「意識障害へのアプローチ」という旧記事の改訂版です。こちらの方が実臨床に即した内容と思いますのでもしよければご参照ください。 read more