心原性脳塞栓症の抗凝固療法導入時期
非弁膜症性心房細動患者さんの抗凝固療法導入時期は出血性梗塞合併リスクがあり判断に悩む領域です。 今までの変遷 ・前向き研究不在の中で今までさまざまなrecommendationが提唱されてきました。その変遷をまずまとめていきます。 基礎知識 ・心原性塞栓症の再発リスクは初期14日以内で0.5-1.3%/日(Stroke 1983; 14: 688–93.)・脳梗塞直後が再発リスクも, 出血性梗塞に […]
非弁膜症性心房細動患者さんの抗凝固療法導入時期は出血性梗塞合併リスクがあり判断に悩む領域です。 今までの変遷 ・前向き研究不在の中で今までさまざまなrecommendationが提唱されてきました。その変遷をまずまとめていきます。 基礎知識 ・心原性塞栓症の再発リスクは初期14日以内で0.5-1.3%/日(Stroke 1983; 14: 688–93.)・脳梗塞直後が再発リスクも, 出血性梗塞に […]
透析患者さんが心房細動を合併している場合は多く(既報では約10%)、その際に抗凝固療法を導入するべきか?は議論があります。透析患者さんは脳卒中罹患リスクが5倍とされていますが、その一方で尿毒症の血小板機能低下(uremic platelet dysfunction)による出血傾向があります。このため「塞栓症予防のメリットが出血合併症のデメリットを上回るのか?否か?」が問題となります。この点に関して […]
世の中には聴診の達人が沢山いらっしゃるので私のような未熟者が解説するのが適切かどうか分かりませんが、まとめたいと思います。基本的な内容が多いため、医学生~初期研修の先生方の参考になりましたら幸いです。自分の聴診技術はそのほとんどが耳学問だったのでこの記事を書くにあたって改めて身体所見の書物をいくつか眺めてみましたが、本ごとに記載している内容にかなり違いがあることに驚きました。このためもしかしたら皆 […]
NEJMから腹部大動脈瘤 AAA: abdominal aortic aneurysmsのマネージメントに関してのreviewが出たため、読んだ内容をまとめたいと思います(N Engl J Med 2021;385:1690-8. 一部昔のAAAに関するNEJMのreviewからも引用します N Engl J Med 2014; 371:2101-2108)。 疫学・リスク因子 ■大動脈瘤:3cm […]
頸動脈での動脈硬化は特に内頚動脈と外頚動脈の分岐部に起こりやすく、以下2つの機序によりTIA・脳梗塞の原因となります。前方循環の脳梗塞・TIA患者さんでは必ず原因として想起するべき病態(原因の10-20%を占めるとされている)です。機序1:A to A emboli機序2:血行力学的な機序 *分水嶺領域の脳梗塞に関してはこちらにまとめがあるのでご参照ください。 身体所見 ・乳突蜂巣のすぐ近く内頚動 […]
知らないと鑑別に挙げることができない疾患の代表で、私はよく鑑別から漏らしてしまい先日も寝る直前に「あっあの今日コンサルトをもらった患者さんは脂肪塞栓症では・・・?」と思ったことがあります。 機序 骨折や整形外科手術により骨髄内の脂肪が血液中に放出され、脂肪が物理的に塞栓症を引き起こす”mechanical theory”と、生化学的な機序の”biochemica […]
超高齢の心房細動患者さんに対して抗凝固薬をつい出血リスクから躊躇してしまうことが多いかもしれませんが、低用量のDOACは効果があるのか?という臨床的な疑問に答える臨床研究が”ELDERCARE-AF”studyです(引用:N Engl J Med 2020;383:1735-45.)。日本で行われた研究ということもポイントです。通常のDOACに関してはこちらにまとめがあるの […]
日本循環器学会からも声明が発表されていますが、COVID19 mRNAワクチン接種後の心筋炎の報告があります。実は私も先月ER勤務で1例経験しました。詳細は伏せますが若年男性の発熱、胸痛で受診し胸痛部位は胸骨裏の正中で圧痛はなく、吸気時痛などもはっきりしませんでした。COVID19 mRNAワクチン2回目接種の2日後の発症であり、ぐったりしている印象もありその他の胸痛原因も指摘できなかったためトロ […]
本日TEEをやっていた際にランブル疣贅(Lambl’s Excrescences: LEs)の指摘があり、これが塞栓源か悩む症例がありました。TEEで偶発的に認めることも多いランブル疣贅に関してまとめます。 解剖 ・1856年にランブル(Lambl)先生が発見し、主に大動脈弁の弁接合部に認める弁の摩耗により生じる変性構造物です。弁尖部のところの心内膜が傷つき、同部位にフィブリンが沈着し […]
私は脳梗塞診療で塞栓原不明の脳梗塞の原因検索でTEEを一応自分で行っております。経食道心エコー検査の師匠循環器内科M先生に卒後3年目のときに1年間週1回ご指導いただき勉強させていただきました。はじめのうちはまず解剖学的なorientationが分からずかなりとまどいましたが、ご教授いただいたおかげで田舎の病院へ行ったときも自分で検査が出来たので助かったことと、経食道心エコーをしているとその病院の循 […]