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呼吸

呼吸不全と姿勢

呼吸不全の患者さんでは「どのような姿勢をしているか?(=楽になるか?)」が原因疾患を探る上で身体所見上とても重要です。いくつかまとめようと思います。病態としては静脈還流量,呼吸筋,V/Q mismatchと姿勢の対応関係により生じるものです。 orthopnea(起坐呼吸) 呈する原因:心不全,COPD,神経筋疾患による呼吸不全 前かがみの場合:COPD・病態:呼吸補助筋が垂直になることで動員しや […]

高齢者の肺炎

高齢者の体動困難はERでよく遭遇する主訴で、よくよく調べると「あれっ画像では肺炎がありそうだけど、呼吸器症状もほとんどないし・・・肺炎で良いのかな?」と思うことは日常臨床でよくあると思います。特に昨今はCOVID19の流行によってこのようなケースは多く経験すると思います。超高齢者(≧80歳)の市中肺炎に特化したreview(“Community-acquired pneumonia i […]

肺の聴診

前回心臓の聴診に関しての記事をupしましたが、肺の聴診に関してもCOVID19の影響で発熱患者さんの診療で自分の聴診器が持ち込めなくなる関係もあり、聴診技術を向上させる機会が減少しているように感じます。呼吸器のphysical examinationを初期研修のうちにきちんと身に付けておくことが呼吸器科をローテートする際に最も重要と思います。耳学問が多いですが、勉強した内容を簡単にまとめたいと思い […]

脂肪塞栓症 FES: fat embolism syndrome

知らないと鑑別に挙げることができない疾患の代表で、私はよく鑑別から漏らしてしまい先日も寝る直前に「あっあの今日コンサルトをもらった患者さんは脂肪塞栓症では・・・?」と思ったことがあります。 機序 骨折や整形外科手術により骨髄内の脂肪が血液中に放出され、脂肪が物理的に塞栓症を引き起こす”mechanical theory”と、生化学的な機序の”biochemica […]

結核

感染 起炎菌:Mycobacterium tuberculosis感染経路:空気感染(人から人への感染経路しか存在しない)(患者:サージカルマスク、医療従事者:N95マスク *患者にN95マスクは必要なし)生存環境:37℃、酸素があり軽度の二酸化炭素がある環境に生存するため、人体が環境として最も適している。感染症法:2類感染症(診断後すぐに保健所に届け出を提出) ■ポイント・結核は「感染」と「発病 […]

特発性縦隔気腫 pneumomediastinum / spontaneous mediastinal emphysema

救急外来をやっていて、若年者の胸痛や頸部痛、呼吸困難でときどき遭遇するのが「特発性縦隔気腫」です(自分の記録を振り返ると3例経験がありました)。先日もERで経験しましたが、今まできちんと文献で調べられていなかったため一度調べてみました。 病態と臨床像 ・肺胞の空気が胸腔内に漏れてしまう現象が気胸、肺胞の空気が肺胞の間質に漏れてしまい、縦隔へ広がる現象が縦隔気腫と私は理解しています。・外傷があるもの […]

肝肺症候群 hepatopulmonary syndrome

先日はじめて肝肺症候群の症例を経験し(私は普段エコー室で循環器の師匠の先生に教えていただいているのですが、そこでmicrobubble testを一緒に実施させていただきました)、勉強した内容をまとめます。 分類/病態 1:肝肺症候群(hepatopulmonary syndrome) 病態:肺血管拡張によるシャント血流による酸素化障害診断:低酸素血症(AaDO2開大)+右左シャントの証明(肺血流 […]

胸水穿刺 Thoracentesis

胸水穿刺の手順 0:物品の準備 ・本穿刺針(診断目的穿刺:21G、治療目的:18G, 20Gなど)・三方活栓・輸液ライン(空の状態の)、延長チューブ、排液容器・23G針、局所麻酔(キシロカイン1%など)、シリンジ(検体採取用の50mlを複数と、穿刺用の20ml程度のもの、局所麻酔用の10ml)・ガーゼ、ドレッシング・清潔手袋・穴開きドレープ、ドレープ・SpO2モニター・エコー ※ハッピーキャスは胸 […]

マスク換気

気管挿管より何より「マスク換気が最も重要」と私は初期研修で教わりました。私は急変の際に、自分は気管挿管しないかもしれないけれど(もっと上手い人にしてもらった方が良い)、マスク換気は自分の責任できちんと行おうという気持ちで臨んでいます。 1:バッグマスクの選択 ・バッグマスクは患者にフィットさせるマスクと換気をするためのバッグから構成された医療器具です。バッグ部分の違いから大きく「ジャクソンリース」 […]

肺炎 Pneumonia

「肺炎」は実臨床でよく遭遇しますが、なんでもかんでも「肺炎」とくくってしまうと適切な診断や治療に結びつかない場合も多々あります。ここであらためて「肺炎」へのアプローチを考えてみます。以下では主に「細菌性」の肺炎を扱います。 病歴 ・まず問診上重要なことは「上気道症状」と「下気道症状」をきちんと分けて問診することです。上気道症状が主体であればもちろん上気道炎らしさが上がるし、下気道症状が主体であれば […]