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脊髄疾患

後脊髄動脈梗塞

脊髄梗塞の中でも後脊髄動脈(PSA: posterior spinal artery)領域の梗塞は「かなりまれ」で報告も限られています(脊髄梗塞全般に関してはこちらをご参照ください)。画像上後脊髄動脈領域を描出することが難しいこともありますし、そもそも後脊髄動脈は血管が這うように分布しており虚血に陥りにくい点(下図参照)などが挙げられます。最近久しぶりに自験例があり(私は今まで2例確定診断例があり […]

Painful tonic spasm

ちょっとマニアックなテーマで恐縮ですが、脊髄疾患の診療でしばしば悩まされるのが”painful tonic spasm”(PTSとも略されます)です。私も医師3年目の時にNMOSD(抗AQP4抗体+)の患者さんで同症状を呈して管理にかなり難渋してしまい患者さんに辛い思いをさせてしまった苦い経験があります・・・。疼痛の恐怖のため外出をあまりしなくなってしまう方もいらっしゃり、 […]

HAM/TSP: HTLV-1 associated myelopathy/tropical spastic paraparesis HTLV-1関連脊髄症

HAM/TSPはヒトT細胞白血病ウイルス1型(Human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)により起こる神経合併症で、特に地域性のある疾患として知られており、私は普段関東で勤務しているため遭遇頻度は極めて低いのですが勉強した内容をまとめます。 感染経路 1:母子感染(垂直感染・母乳感染) 原因として最多・母乳栄養を避けることが感染予防2:性行為感染(水平感染) […]

遺伝性痙性対麻痺 HSP: hereditary spastic paraplegia

病態・定義 遺伝性痙性対麻痺は臨床上は緩徐進行性の下肢痙縮と筋力低下を認め、病理学的には脊髄の錐体路、後索、脊髄小脳路の変性を認める神経変性疾患です。多くは常染色体優性遺伝で、一部常染色体劣性遺伝などが存在し、SPG〇〇と遺伝子に番号がふられています。細胞内輸送の障害(小胞体など)が病態の主体とされていますが、なぜそれが痙性対麻痺の臨床像を呈するのかはまだ解明されていません。 臨床的には痙性対麻痺 […]

Arachnoid web

先日”arachnoid web”術後(術中所見で証明済み)の患者さんを診療する機会がありました。名前だけ聞いたことがあったのですが、具体的な病態など全く知らないため調べた内容をまとめます。Spinal arachnoid webとも文献では記載されていますが、対応する日本語名はまだないように思います。 病態と症状 くも膜下(脊髄外、硬膜内)に膜状のバンドの様な構造物が形成 […]

平山病 Hirayama disease

病態 ・硬膜後方の前方移動により硬膜と椎体に脊髄が挟まれ、圧迫されることでC5~Th1髄節レベル(特にC7,8髄節レベル)の前核細胞障害をきたすことが原因とされます。循環障害をきたすことで最も脆弱な脊髄前角に限局した障害が起こるとされています。感覚神経は一般的に障害を免れます。若年性一側上肢筋萎縮症など様々な名称がありますが、何よりも日本の平山恵造先生が発見された疾患です。 ・頸部前屈が本疾患では […]

脊髄円錐上部・円錐・馬尾

解剖 脊髄円錐上部・円錐・馬尾は重要な構造物がぎゅっとまとまっており、少し場所がずれただけで前面にでてくる臨床症状が異なるため、難しい領域です。解剖をまとめます(安藤哲朗先生の書かれた脊椎脊髄2015;28(3): 185-190.を参照させていただきました)。椎体高位と脊髄高位を勘違いしないようにしましょう。 下図はCONTINUUM (MINNEAP MINN)2018;24(2, SPINA […]

頚椎症による神経障害

病態 頚椎症は頸椎の骨・椎間板・靭帯などが加齢などの原因により変性する病態を意味します。これらの変性により神経が圧迫される病態は大きく分けて2つあり、1:神経根を圧迫する頚椎症性「神経根症」(radiculopathy)と2:脊髄を圧迫する頚椎症性「脊髄症」(myelopathy)が挙げられます(まれに運動障害のみを呈する頸椎症性筋萎縮症(CSA: cervical spondylotic amy […]

ChiariⅠ型奇形

先日ChiariⅠ型奇形と脊髄空洞症を合併している症例を経験しました。実は私はほぼ経験がなく、勉強した内容をまとめていきたいと思います。 病態 ChiariⅠ型奇形は小脳扁桃が脊柱管内へ病歴に下垂している状態です。Chiari奇形には複数のパターンがありますが、このChiariⅠ型が最も一般的なものです。病因は正確には分かっていないですが、発生の過程で後頭蓋窩が相対的に小さいため、小脳扁桃が後頭蓋 […]

脊髄梗塞 spinal cord infarction

0:脊髄血管の解剖 ・横断面 以下に横断面を載せました。理解するべき血管は、・前脊髄動脈(ASA: anterior spinal artery):脊髄の前2/3を支配し、脊髄の前面に1本存在し、吻側→尾側に流れます。・後脊髄動脈(PSA: posterior spinal artery):脊髄の後1/3を支配し、脊髄の後面に2本存在し、脊髄後面で動脈叢(Vasa corona)を形成しています。 […]