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多発性硬化症・NMOSD

ADEM: acute disseminated encephalomyelitis

自己免疫機序(非感染性)の脱髄を中枢神経に多巣性に呈する病態です。小児に多く、単相性の経過をたどる疾患として認識されていました。ただ特異的バイオマーカーはなく現状は除外診断が主体です。問題点は小児例が多いためそこでの議論をそのまま成人に適応できるかという点があります。 疫学 ・発症年齢:5-8歳が多い 男性>女性(MSは女性に多いが) ・0.3-0.6/10万人年・誘因:感染症 75%>>ワクチン […]

AHLE: acute hemorrhagic leukoencephalitis

ADEMの最重症型の亜型としてAHLEは報告されており(ADEM全体の約2%を占める Neurology. 2002;59(8):1224-1231.), 1941年にHurstが報告したことに端を発します。感染症やワクチン接種後数日から週単位後に発症することから自己免疫機序が想定されています。急性進行性の白質脳症に出血を伴い, 病理学的には血管周囲の炎症細胞浸潤と小血管壊死, 脱髄が特徴とされて […]

MOGADによる皮質性脳炎

MOG抗体関連疾患での皮質性脳炎(Cerebral cortical encephalitis)は2017年に初めて報告され(Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2017 Mar;4(2):e322.)確立した疾患概念です. 片側性皮質脳炎の代表的な鑑別疾患として重要です. 若年発症で髄膜炎のような頭痛が目立ち, てんかん発作を随伴し, ステロイド治療反応性が良好で […]

IFNβ製剤:インターフェロンβ

製剤 一般名:IFNβ-1a(遺伝子組み換え製剤)商品名:アボネックス 30μg *ペン型とシリンジ型がある(ペン型の方がアドヒアランス良い)投与方法:週1回 1回30μg筋注注射部位:大腿前面(もしくは外側)*左右の代替に交互に注射する(前回注射部位を避けた部位にする)、注射前に注射予定部位を冷やすなどすると疼痛を軽減できる*冷蔵庫(2-8℃)で保存(凍結は避ける)、使用する場合は室温に戻して使 […]

Painful tonic spasm

ちょっとマニアックなテーマで恐縮ですが、脊髄疾患の診療でしばしば悩まされるのが”painful tonic spasm”(PTSとも略されます)です。私も医師3年目の時にNMOSD(抗AQP4抗体+)の患者さんで同症状を呈して管理にかなり難渋してしまい患者さんに辛い思いをさせてしまった苦い経験があります・・・。疼痛の恐怖のため外出をあまりしなくなってしまう方もいらっしゃり、 […]

グラチラマー酢酸塩 GA: glatiramer acetate

商品名:コパキソン 日本承認2015年製剤:コパキソン20mg投与法:皮下注射(オートインジェクター)投与方法:20mg 1日1回皮下注射(時間指定はなし)・連日投与*製剤の保存方法・冷蔵2-8度、凍結は避ける・投与前に室温に戻して使用する(20分としているが体感温度でそれより短い時間でも問題なし)・オートジェクト2という専用の注入補助器を使用する 参考サイト:https://www.ms-lou […]

フマル酸ジメチル dimethyl fumarate

一般名:dimethyl fumarate商品名:テクフィデラ 2016年12月承認、2017年2月日本での薬価収載作用機序:Nrf2転写経路を活性化する(細胞防御機構)→炎症反応を抑制して細胞障害に対して保護的に働く 適応:RRMS(再発予防・進行抑制いずれも) *PPMS, SPMSに対しての有用性は確立していない 製剤 製剤:経口内服 120mg, 240mg/1Cp使用方法・120mg 2 […]

進行性多巣性白質脳症 PML: progressive multifocal leukoencephalopathy

病態 ・JCVは多くの場合(日本は70%以上)既感染(腎臓・脾臓・骨髄)で、免疫低下に伴いウイルスが増殖すると脳へ血行性感染をきたし、中枢神経に脱髄をきたし、不可逆的な障害をきたす病態です(その他JCVによる中枢神経障害にはJCV髄膜炎、JCV 脳症、JCV小脳顆粒細胞障害がありますがここではPMLのみを取り上げます)。免疫抑制を扱うすべての科で重要なテーマです。 原因 ・HIV感染症による免疫不 […]

フィンゴリモド fingolimod

薬剤/機序 商品名:ジレニア、イムセラ 製剤:0.5mg/カプセル投与量:0.5mg 1Cp1x 経口薬(経口薬のDMDとしての承認初)*基本的にこの投与方法(0.5mg/日)しか日本では認可がありません。 作用機序:S1P(スフィンゴシン-1-リン酸:sphingosine-1-phosphate)受容体に作用し、リンパ球遊走を阻害する作用があるとされています。S1Pはリンパ節でのT細胞のS1P […]

妊娠と多発性硬化症

多発性硬化症は若い女性の患者さんも多く妊娠との関係が重要なテーマです。ガイドラインの内容をなぞることが多くて恐縮ですが、内容をまとめます。 妊娠・出産のMS病勢への影響 1:再発に関して・妊娠中は再発率は低下するが、出産後3か月は再発リスクが最も高くなる(下図引用:”The PRIMS Study” :254人/269回の妊娠に関してのフォローアップ:N Engl J Me […]