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MOGADによる皮質性脳炎

MOG抗体関連疾患での皮質性脳炎(Cerebral cortical encephalitis)は2017年に初めて報告され(Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm. 2017 Mar;4(2):e322.)確立した疾患概念です. 片側性皮質脳炎の代表的な鑑別疾患として重要です. 若年発症で髄膜炎のような頭痛が目立ち, てんかん発作を随伴し, ステロイド治療反応性が良好であることが特徴です.

臨床像のまとめ(文献)

■MOGADによる皮質性脳炎19例の臨床像まとめ Ann Neurol. 2022 Nov 13. doi: 10.1002/ana.26549.

*既報で最も大規模なMOGAD(MOG-associated disease)による皮質性脳炎のまとめ
MOGADのうち皮質性脳炎は全体の6.7%(n=19例)を占める
背景:年齢中央値14歳(2-47歳) MOGAD小児例のうち13.5%(=12/89), 成人例のうち3.6%(=7/196), 女性 63%
臨床像:頭痛 79%, てんかん発作 68%, 脳症 63%, 発熱 42%
髄液検査:細胞数上昇 94%(中央値49/μL, 10-505), OCB陰性全例
MRI画像特徴:片側性 63%, 両側性 37%, 皮質のFLAIR高信号と軟髄膜造影効果 89%, 皮質下白質の低信号随伴全例, 脳実質のT2高信号病変 53%随伴
NMDAR抗体随伴:13%(2/15)
病理(2例):脱髄, microglia増生, 炎症浸潤(血管周囲 1例, 髄膜 1例)
治療:ステロイド治療 90%(=15/17), 全例改善(3例は再発)
フォローアップ:3.6年 全例改善 EDSS≦2 89%, EDSS=0 63%

■MOGADによる皮質性脳炎11例まとめ Mult Scler Relat Disord. 2022 Apr;60:103727

背景:11例 男性7例、女性4例 年齢中央値27歳(16-32歳)
臨床像:頭痛 81.8%, 発熱(>37.5度) 72.7%, てんかん発作 63.6%(内訳: GTCS 57.1%, FBTCS 28.6%, 焦点 14.3%), 神経症状 視力障害36.4%(=4/11), 異常感覚 9.1%(=1/11), 麻痺 18.2%(=2/11), 難聴 9.1%(=1/11)
髄液検査(10例):初圧上昇(>200 mmH2O) 50%, 細胞数上昇(>8/μL) 5/10例, 中央値 48/μL(18-1800/μL), 蛋白 4/10例上昇 中央値67 mg/dL(46-192 mg/dL)
MOG抗体:血性は全例, NMDAR抗体は髄液中1例で検出 *OCB検出0例
MRI:片側80%, 両側20%, 皮質下病変 70%, 脳梁病変 20%, 軟髄膜造影効果 50% *基底核, 脳幹障害例はなし
治療:ステロイド治療(全例) 10例改善 長期的な免疫抑制再発予防 プレドニゾロン8例, MMF6例, アザチオプリン1例
フォローアップ:10か月(3-23か月), 2例再発

片側皮質病変例

両側性病変例(後述)

■MOGADによるBilateral medial frontal cerebral cortical encephalitis(BFCCE) 両側性病変について Front. Neurol. 11:600169.doi: 10.3389/fneur.2020.600169

既報6例のまとめ(成人発症例に限定)
背景:年齢中央値34歳(18-46歳), 女性50%, 日本人5例, 中国人1例
臨床像:頭痛 6/6例, 発熱 4/6例, てんかん発作 3/6例, 対麻痺 2/6例, 倦怠感 2/6例, 記憶障害 2/6例
MRI:両側性内側皮質病変全例, 脳梁病変 3/6例, 軟髄膜造影効果 3/6例
病変は前大脳動脈(ACA)支配領域と合致する *片側性皮質性脳炎はMCA支配領域と合致する
髄液:細胞数上昇 5/6例
ステロイド治療反応性:全例

MRI皮質のT2強調像/FLAIR像 高信号病変の鑑別

脳梗塞
てんかん重積:DWI高信号, ADCマップ低値・視床枕の信号変化 こちらを参照
代謝性:低血糖・MELAS
クロイツフェルト・ヤコブ病
・感染性:単純ヘルペス脳炎(特に辺縁系:側頭葉~島皮質、前脳基底部) こちらを参照
自己免疫性脳炎MOGADによる皮質性脳炎, NMDA受容体脳炎