下垂足 foot drop

下垂足の病態

・足関節背屈の筋力が低下してその名の通り足が垂れてしまう病態を一般に下垂足と表現します。
・足関節背屈を担う最大の筋は前脛骨筋(TA: tibialis anterior)で、神経根:L5、末梢神経:深腓骨神経(deep peroneal nerve)が対応しています。
足関節底屈(下腿三頭筋)の筋力低下を認める場合はよりdiffuseな障害の可能性があり、運動ニューロン疾患や複数の神経根や馬尾症候群などの原因を考慮する必要があります。この点に関しては今回は含めず、純粋な足関節背屈の筋力低下症例に関して考えます。 read more

腋窩神経 axillary nerve

解剖

神経根:C5由来→腕神経叢後束
走行:外側腋窩隙(四角隙)を通過して三角筋、小円筋、上腕外側へ分布する。
*外側腋窩隙(quadrilateral space):上腕三頭筋長頭、小円筋、大円筋、上腕骨で形成される
支配筋:三角筋(肩関節外転)、小円筋(上腕外旋) *上腕外旋は棘下筋も担っている
感覚支配:上腕外側(上腕外側皮神経) read more

足の感覚神経まとめ

解剖まとめ

・坐骨神経は膝窩で脛骨神経(tibial nerve)総腓骨神経(peroneal nerve)に分枝します。
脛骨神経(tibial):下腿後面を走行し、内果後下方の屈筋支帯(後足根管)を通過し、内側足底神経、外側足底神経として足底部へ分布します。
総腓骨神経(peroneal):浅腓骨神経と深腓骨神経に分岐します。
 浅腓骨神経(superficial peroneal):下腿の前外側を走行し、足背では内側足背皮神経、中間足背皮神経として足背に分布します。手では環指の橈側と尺側で分布する神経が分かれる(正中神経、尺骨神経)ことと同じように、足底では第4趾の外側と内側で分布する神経が分かれます(外側足底神経、内側足底神経)。
 深腓骨神経(deep peroneal):深腓骨神経は線維のほとんどが運動成分(前脛骨筋、長趾伸筋、長母趾伸筋、第三腓骨筋、短趾伸筋)ですが、感覚成分は前足根管を通過し最遠位で第1,2足趾間に分布します。
腓腹神経(sural):腓骨神経由来の外側腓腹皮神経と脛骨神経由来の内側腓腹皮神経が下腿中央で合流して腓腹神経を形成し、外果下を走行して足外側に分布します(外側足背皮神経とも表現します:浅腓骨神経由来の内側・中間足背皮神経と合わせて)。
これらの関係図を以下にまとめます。 read more

正中神経 median nerve

解剖

・正中神経は「上腕内側→肘窩→(前骨間神経(深枝・運動)を分枝として出す)→前腕→手根管→手」を走行します(下図参照)。正中神経の掌側枝(感覚線維)は手根管に入る前に分枝し、手掌母指球周囲の感覚を担います。
・前腕の筋肉は浅層と深層の2つに分かれますが、これは正中神経より浅いか深い位置にあるかで分けられます。前腕浅層の屈筋群はすべて上腕骨内側上顆から起始します(前腕の筋は上腕骨の左右から起こり、上腕骨外側は伸側、上腕骨内側は屈側と対応しています)。
・前骨間神経はこのうち前腕深層の筋肉を支配します。前腕の屈筋はそのほとんどが正中神経支配で、尺側手根屈筋と深指屈筋の第4,5指は唯一尺骨神経支配です(発生の過程で上腕-筋皮神経、前腕-正中神経、手-尺骨神経の大まかな対応関係があります。
浅層1:円回内筋、撓側手根屈筋、長掌筋、尺側手根屈筋(尺骨神経)
浅層2:浅指屈筋
深層3:長母指屈筋(FPL: flexor pollicis longus)、深指屈筋(正中神経+尺骨神経)
深層4:方形回内筋 read more

尺骨神経 Ulnar nerve

解剖

尺骨神経は「上腕骨内側→上腕骨内側上顆の後面:尺骨神経溝→尺骨手根屈筋の形成する弓状靭帯(Osborne靭帯)をもぐる→尺側手根屈筋の上腕頭と尺骨頭の間→尺側手根屈筋と浅指屈筋との間→Guyon管→手」という走行をたどります。Guyon管より近位では尺側手根屈筋(FCU)と深指屈筋(Ⅲ, Ⅳ)への枝を出します。 read more

筋皮神経障害 musculocutaneous nerve palsy

解剖

筋皮神経(musculocutaneous nerve)
・神経根:C5,6,7(C5,6が中心)
・腕神経叢:外束
・支配筋:上腕二頭筋、上腕筋、烏口腕筋 原則:筋皮神経は上腕屈筋を支配する(上腕筋は例外的に筋皮神経と橈骨神経の二重支配)
・感覚領域:前腕橈側(外側前腕皮神経 lateral cutaneous nerve of the forarm) read more

ベーカー嚢胞 Baker’s cyst

病態

ベーカー嚢胞は膝窩に位置する半膜様筋と腓腹筋の滑液包が拡大したものです(このように厳密には滑液包なので嚢胞という名称は正確ではありません)。半腱様筋と腓腹筋の間から滑液包が拡大して後方に広がることで臨床的には膝窩の嚢胞として認識します。この滑液包は通常膝関節の関節腔と連続しています。下図にイラストをまとめました。 read more

脊髄円錐上部・円錐・馬尾

解剖

脊髄円錐上部・円錐・馬尾は重要な構造物がぎゅっとまとまっており、少し場所がずれただけで前面にでてくる臨床症状が異なるため、難しい領域です。解剖をまとめます(脊椎脊髄2015;28(3): 185-190.を参照させていただきました)。椎体高位と脊髄高位を勘違いしないようにしましょう。 read more

頚椎症による神経障害

病態

頚椎症は頸椎の骨・椎間板・靭帯などが加齢などの原因により変性する病態を意味します。これらの変性により神経が圧迫される病態は大きく分けて2つあり、1:神経根を圧迫する頚椎症性「神経根症」(radiculopathy)と2:脊髄を圧迫する頚椎症性「脊髄症」(myelopathy)が挙げられます。頚椎症による神経障害を考える場合は、両者をきちんと分けて考えることが必要です。例えば外側に椎間板が突出すれば神経根を圧迫し頚椎症性神経根症を呈しますし、ほぼ正中に椎間板が突出すれば神経根は圧迫せず脊髄を圧迫し頚椎症性脊髄症を呈します。 read more