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認知症・高次脳機能障害

コリンエステラーゼ阻害薬

基本原則 1:疾患修飾薬(神経変性の進行を抑制する作用)ではなく,あくまでも対症療法薬である・MCIに処方して認知症への進展を抑制する効果はない Cochrane Database Syst Rev. 2012 Sep 12;2012(9):CD009132.*AAN guideline:MCIに対してコリンエステラーゼ阻害薬を使用しない Level B,もしも処方する場合はエビデンスに欠けること […]

認知症と自己免疫性脳炎

変性疾患の認知症とおもっていたけれど、実は自己免疫性脳炎というケースがあります。この場合免疫治療により治療介入可能なので(treatable dementiaに該当)、見逃さないように注意が必要です。これらに関してまとめた文献を紹介していきます。最近亜急性経過の認知症で受診してLGI1脳炎の診断に至った例を経験したばかりなので、とても勉強になりました。 文献:自己免疫性脳炎側からのapproach […]

アルツハイマー型認知症と「てんかん」

両者の関係性に関して論文が発表された順番に紹介していきたいと思います。 ■マウスでのAPP導入による脳波の検討 Neuron. 2007 Sep 6;55(5):697-711. ・どのようにてんかん原性を獲得するか?:Aβ→神経細胞の異常興奮→てんかん発作・なぜ認知機能が悪化するか?:神経細胞の過剰興奮により代償性抑制メカニズムの発動→神経回路network機能不全→認知症の悪化 ■アルツハイマ […]

高次脳機能評価 総論

高次脳機能の評価は詳細に行うとなるととても時間がかかります。これらの詳しい検査はSTさんや神経心理士さんに実際には行っていただくことになりますが、急性期病院のベッドサイドでスクリーニング的に評価できることもとても重要と思います。ここで高次脳機能の細かい分類にこだわりすぎると話がなかなか先に進まないところがあるので、私が行っている分類・スクリーニングを紹介させていただきます。もちろんこれが完璧な方法 […]

前頭側頭型認知症

この領域がややこしい理由は臨床病型と病理分類が1対1対応になっていない点にあります(これは仕方のないことなのですが)。このため似たような名前が違う意味で使われている点に十分注意する必要があります。FTD(前頭側頭型認知症)は臨床診断名であり、FTLD(前頭側頭葉変性症)は病理診断名です。病理は更にTDP43, tau, FUSを背景病理に持つことにより大きく3つに分類され、さらにこれと関連する遺伝 […]

Agryrophilic grain disease: AGD 嗜銀顆粒性認知症

恥ずかしながら私はまだ病理確定診断例を経験できておりません。ご経験ある先生いらっしゃいましたら是非ご教授いただけますと幸いです。 病理 ・4 repeat tauopathy:agryrophilic grain *由来:神経細胞の樹状突起の後シナプス膜・出現する部位:迂回回(ambient gyrus)から出現 *下図は以下より引用:J Neuropathol Exp Neurol. 2004 […]

若年発症アルツハイマー型認知症 early-onset Alzheimer’s dementia

若年発症(early-onset AD) ・65歳未満の発症を”early-onset AD”と表現し、全体の5-6%を占める(診断が約1.6年遅れる) 若年性認知症の原因として約1/3を占める ・臨床像がtypical amnestic ADと異なる点が重要!「失語」、「視空間認知障害」、「失行」といった症状が目立つ(記憶障害が目立たず) 頭頂葉、側頭頭頂葉病変が主体であ […]

アルツハイマー病 Alzheimer’s disease

結局は病理診断でないと答えが分からない(つまり独りよがりな診断になってしまう)ため苦手意識を持つ方も多いと思いますが、個人的には去年「往診」をするようになってから、かなり興味を持つようになりました。診察室の中での出来事よりも「日常生活」へどれだけイメージを膨らませることができるか?という視点が認知症診療へ興味を持つきっかけになったように感じています。2010年時点で65歳以上の認知症有病率は15% […]

前頭葉機能の評価

FAB(frontal assessment battery) 前頭葉の6つの機能を簡便に評価できる優れた方法です。原著はこちらです”Dubois B, Slachevsky A, Litvan I, Pillon B. The FAB: a Frontal Assessment Battery at bedside. Neurology. 2000 Dec 12;55(11):162 […]

失語へのアプローチ

失語の分類と理解が自分の中でなかなかうまくできていませんでしたが(書籍によって書いてある内容もまちまちですが)、色々な本を読んで最近色々自分の頭の中でこねくりまわしていると下図の様にまとめると一番最大公約数的な理解になるかなと思いました(これでもまだややこしいし不完全ですが・・・)。個人の見解で「理解しやすいための図」「臨床ですぐに診察と病態がつながりやすい図」という側面を重視している点をご了承く […]