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若年発症アルツハイマー型認知症 early-onset Alzheimer’s dementia

若年発症(early-onset AD)

・65歳未満の発症を”early-onset AD”と表現し、全体の5-6%を占める(診断が約1.6年遅れる) 若年性認知症の原因として約1/3を占める


臨床像がtypical amnestic ADと異なる点が重要!「失語」、「視空間認知障害」、「失行」といった症状が目立つ(記憶障害が目立たず) 頭頂葉、側頭頭頂葉病変が主体である
・進行速度はlate-onset ADと比較して速い(萎縮のスピードも速い)
・病理ではtau沈着が著明、海馬がspareされる(hippocampal sparing)
・髄液所見はlate-onset ADと比較して著変なし

*臨床病型
・logopenic variant PPA:こちらを参照
・posterior cortical atrophy:背側視覚路の障害が主体・Balint症候群などを呈する

posterior cortical atrophy

原因:ほとんどがAD病理を有する(別名:visual variant of AD, biparietal AD)、その他CBD, LBD, Prionなどもあり
若年発症(50~65歳)
臨床像:後頭葉から頭頂葉を主体とした病変で背側視覚路の障害が主体:Balint症候群、Gerstmann症候群(失算・失書・左右失認・失算)、失読、失行 *視空間認知障害に関してはこちらのまとめをご参照ください
*記憶や病識は保たれ、性格変化なども通常認めない(一見「認知症」と気づかれにくい)
・病初期はやや非特異的なpresentationで医療従事者も気が付きにくい場合がある
・本人は病識が保たれているが、違和感を感じて何度も眼科を受診して眼鏡を直したり白内障の手術を受けたりしますが症状が改善しないという経緯を取る場合がある。このような経過だと「認知症」という入口でとらえることができず、診断に遅れが生じることとなる。
読字の障害が生じることが多く、読んでいる最中にどこを読んでいたか迷子になってしまうことが多い。
・その他の具体的な病歴:エスカレーターで下りに乗るのが難しい、横断歩道をわたるのが難しい
・相貌失認を生じる場合もある

参考文献
・CONTINUUM (MINNEAP MINN) 2019;25(1, DEMENTIA):34 – 51. early-onset ADに関してのreviewでよくまとめっている素晴らしい内容
・Lancet Neurol 2011; 10: 280–88 early-onset ADとlate-onset ADの違いに関して