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Version 頭部回旋と共同偏視

発作での頭部回旋+共同偏視は元々”adversive”と表現されていました。この言葉には「逆側の方向」という意味を含んでおり、発作焦点の大脳半球と「対側」に頭部回旋と共同偏視を生じることを意味していました。しかし、発作焦点と同側に頭部回旋と共同偏視が生じることを”ipsilateral adversion”と表現すると言葉の意味がぶつかって矛盾してい […]

貧血のない低フェリチン血症

若年女性の原因不明の疲労感では私は必ずフェリチンを測定しています(たとえ貧血がなくとも)。低フェリチン血症の場合鉄剤を補充すると、疲労感だけではなくその他の不定愁訴のようなものも改善するケースをしばしば経験します。ただプラセボ効果の可能性も十分あり(特にこうした疲労感などはプラセボ効果を生じやすい)文献を調べてまとめます。 臨床研究 Iron supplementation for unexpla […]

Contrast-induced neurotoxicity/encephalopathy

冠動脈造影検査などのヨード造影剤投与後に中枢神経症状を呈すると、まっさきに脳血管障害を除外しにいきますが、それらが指摘できない場合考慮するのは”いわゆる”造影剤誘発性脳症です。臨床をしていると「他は除外されるし、時間的関係から確かに造影剤誘発性脳症しかないのかな、、、」という状況に遭遇します。 中枢神経症状を呈しており、①造影剤投与と時間的関係があり、②その他の原因(特に脳血管障害)を画像所見から […]

Prodromal DLB (demetia with Lewy bodies)

ここ最近外来をしながら気になっていたテーマです。高齢発症うつ病と診断されていろいろ薬を使われたけれど改善せずむしろ過鎮静になっていき実はレヴィ小体型認知症であったというケースにしばしば遭遇します。つまり、初期像は高齢発症うつ病とそっくりのDLB(dementia with Lewy bodies: レヴィ小体型認知症)があると思います。 DLBの全体像が完成する何年も前からαシヌクレインは蓄積して […]

Seizureと外傷

全般性強直間代発作(GTCS)後に外傷を呈することがしばしばあります。①意識消失による転倒に伴う場合、②GTCSの強い筋収縮によって身体に非常に強い外力がかかり、それによって脱臼や骨折などが生じる場合の2点が原因として挙げられます。特にGTCS後はpostictal confusional stateや鎮静薬剤の遷延などにより骨折に気づきづらいため常に念頭に置いておく必要があります。例えば四肢麻痺 […]

GHOST-CAP

・神経集中治療では”secondary brain injury”を防ぐ管理が重要で、そこでは脳のことだけを考えれば良いわけではなく全身管理が重要です。・急性脳損傷患者(つまり神経集中治療を要する患者)の全身管理をベッドサイドでチェックする際に有用な語呂“GHOST-CAP”を紹介します(もちろん患者ごとの個別化が必要です)。 “Use […]

NIID: neuronal intranuclear inclusion disease 神経核内封入体病

原因:NOTCH2NLC遺伝子の5’非翻訳領域のCGG遺伝子全身病であり核内封入体が蓄積する疾患 多くは孤発性(一部家族性) 臨床像:認知症*パーキンソニズム、小脳失調、自律神経障害(縮瞳が重要)、意識障害 検査:MRI皮質直下白質の線状DWI高信号に特徴的、神経伝導検査は伝導速度低下 診断:皮膚生検 脂肪細胞、線維芽細胞および汗腺細胞における1.5~3mmのエオジン好性ユビキチン陽性 […]

緊急での鎮痛管理

緊急での鎮痛管理に関してH先生から教えていただいた内容をまとめます。 オピオイドを使用する際必ず確認すること(間違いを防ぐために) 1:投与経路(静注か皮下注か?)2:薬剤の濃度・組成3:最終投与がいつ?投与量がどのくらい? フェンタニル ・代謝:肝臓CYP、代謝産物の活性:なし・腎障害の影響:なし(腎機能による投与量の調整不要)・製剤:静注用 1A=100μg/2mL・組成:静注用 1A+NS8 […]

髄液細胞数

基本 正常値:~5個/μL*海外の文献では10個/μLを基準としているものもあるので注意が必要 細胞とは?=白血球形態:単核球(≒リンパ球),多形核球(≒好中球)に分類 上昇の原因:中枢神経での炎症*髄液蛋白の上昇(こちら)は患者背景による影響(高齢、頸椎症、糖尿病など)が大きく、必ずしも病的とはいえないですが、細胞数増多は確実に病的です。 細胞分画による原因推定 ①単核球増多:自己免疫性,ウイル […]

ocular bobbing

意識障害で生じることがある垂直性の眼球運動として“ocular bobbing”があります。水平性眼球運動の”ping-pong gaze/rovig eye movement”はこちらをご参照ください。典型的なocular bobbingは橋の障害(特に血管障害や腫瘍など)で生じることがどの教科書にも書いてあり有名です。しかし、橋の障害以外でも生じ […]