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小脳疾患

小脳失調 cerebellar ataxia

ここは成書を読むと色々言葉の議論があるところなのですが、小脳失調と記載します。まだまだ途中ですが徐々に記載を追加していきます。 失調(ataxia)へのアプローチ 「ふらふらする」≠「小脳失調」という点が何よりもまずは重要です。この点があいまいで間違って脊髄小脳変性症の診断になっている患者さんを今まで一定数みてきました。神経内科専門医ですら症状が軽微の場合はふらふらの原因が小脳か?それ以外か?とい […]

脊髄小脳変性症 SCD:spinocerebellar degeneration

分類・疫学 日本の疫学に関してCerebellum. 2008;7(2):189-97.より引用。 ■脊髄小脳変性症の分類 1:孤発性・多系統萎縮症 MSA-C・皮質性小脳萎縮症 CCA(cortical cerebellar atrophy) 2:遺伝性(1): AD-SCD・純粋小脳型(pure cerebellar):SCA6 > 31 *通常pure cerebellarの方が緩徐に進行す […]

FXTAS: fragile X-associated tremor/ataxia syndrome 脆弱X関連振戦/失調症候群

FXTASに関して(私はまだ診断できたことがないのですが)、しばしば鑑別に挙げるためまとめます(ほとんどの内容をNeurology ® 2012;79:1898–1907より引用させていただきました)。2001年にHagermanにより報告されたまだ比較的新しい疾患概念です。 疫学/病態 原因遺伝子:FMR1 CGG repeat異常伸長(55-200回)総称 FXDs: fragile X-as […]

遺伝性痙性対麻痺 HSP: hereditary spastic paraplegia

病態・定義 遺伝性痙性対麻痺は臨床上は緩徐進行性の下肢痙縮と筋力低下を認め、病理学的には脊髄の錐体路、後索、脊髄小脳路の変性を認める神経変性疾患です。多くは常染色体優性遺伝で、一部常染色体劣性遺伝などが存在し、SPG〇〇と遺伝子に番号がふられています。細胞内輸送の障害(小胞体など)が病態の主体とされていますが、なぜそれが痙性対麻痺の臨床像を呈するのかはまだ解明されていません。 臨床的には痙性対麻痺 […]

CANVAS: Cerebellar ataxia with neuropathy and vestibular areflexia syndrome

病態 Cerebellar ataxia with neuropathy and vestibular areflexiasyndrome(CANVAS)は両側の前庭機能障害,小脳失調、感覚神経障害の3徴とする症候群で報告されたものです。2011年に疾患概念が提唱されまだ歴史の浅い疾患です(Neurology 2011;76:1903-1910.)。 遺伝子としては4p14に存在するRFC1(re […]

ChiariⅠ型奇形

先日ChiariⅠ型奇形と脊髄空洞症を合併している症例を経験しました。実は私はほぼ経験がなく、勉強した内容をまとめていきたいと思います。 病態 ChiariⅠ型奇形は小脳扁桃が脊柱管内へ病歴に下垂している状態です。Chiari奇形には複数のパターンがありますが、このChiariⅠ型が最も一般的なものです。病因は正確には分かっていないですが、発生の過程で後頭蓋窩が相対的に小さいため、小脳扁桃が後頭蓋 […]

抗mGluR1抗体陽性小脳失調症

代謝型グルタミン酸受容体(mGluR1)は小脳プルキンエ細胞に発現しており運動学習において重要な役割を担っています。抗mGluR1抗体は細胞膜表現抗原に対する抗体で、患者の血清をpassive tranferが成立することが示されているためこれが直接の病原性を持つと考えられています。元々腫瘍が背景にある患者から発見されており(NEJM 2000;342:21 ホジキンリンパ腫患者2例での報告)、傍 […]

グルテン失調症 Gluten Ataxia

GRD(グルテン関連疾患:gluten related disorders)は小麦などに含まれるグルテンを摂取することをトリガーとして様々な症状を引き起こす疾患の総称で、腸管症状だけでなく腸管外症状を呈する場合もあります。自己免疫性疾患としてはセリアック病、グルテン失調症、疱疹状皮膚炎があり、それぞれ自己抗体はセリアック病はTG2(transglutaminase)、グルテン失調症はTG6、疱疹状 […]