顔面と首を主体に急性経過で不随意運動を呈しており、四肢にはほとんど認めない透析を数日スキップした高齢女性の方がおられました。asterixisもはっきりせずTMAとしても長すぎる経過もあり、代謝性で尿毒症由来かなーということで透析をしたところその夕方には寛解しました。まだ少ししか調べられていないですが、尿毒症による不随意運動に関して勉強して追記していきます。
多い不随意運動:ミオクローヌス、2次性RLS(こちら)、asterixis(こちら)
ミオクローヌス(最も多い)
・皮質または皮質下(基底核・脳幹)由来
→延髄の脳幹毛様体に尿毒症の毒素が直接作用する(ratの実験で尿素の静脈内投与により延髄の網様体刺激によりstimulus sensitive myoclonusを生じる)
・poly-mini-myoclonusを認める場合もある(手指に低振幅でありtremorと混同される)
・重症になるとQOLを損ないクロナゼパムを使用する場合がある
症例報告
“Facial Myoclonus in Uremia.” Mov Disord Clin Pract. 2020 Oct 26;8(1):133-134. doi: 10.1002/mdc3.13099. PMID: 36989011
症例報告:60歳女性 3日間の経過で口周囲の不随意運動と話しづらさが出現→翌日に四肢に不随意運動が出現 既往歴:DM
意識状態GCS15、ミオクローヌスと判断 頬の動きはほとんどなく、舌は早くぎくしゃくと動く
採血検査でCre4.2, BUN160mg/dL入院時、入院翌日から腎機能悪化と意識障害があり透析実施
→その後不随意運動は完全に消失、再燃なし
考察:尿毒症によるミオクローヌスはクレアチニン、グアニジン、グアニジノコハク酸、メチルグアニジンの蓄積によりNMDA受容体の興奮、GABAの抑制により神経細胞興奮性を高める効果で生じる
尿毒症によるミオクローヌスは多いが、顔面主体に関しては報告に乏しい代謝性の要素の検索が重要である
実際の不随意運動動画はこちら
→今回の症例に最も近い症例報告です
参考文献
Movement Disorders in Chronic Kidney Disease – A Descriptive Review. J Stroke Cerebrovasc Dis. 2021 Sep;30(9):105408. doi: 10.1016/j.jstrokecerebrovasdis.2020.105408. Epub 2020 Nov 1. PMID: 33139171. reviewとして勉強になります