製剤
一般名:IFNβ-1a(遺伝子組み換え製剤)
商品名:アボネックス 30μg *ペン型とシリンジ型がある(ペン型の方がアドヒアランス良い)
投与方法:週1回 1回30μg筋注
注射部位:大腿前面(もしくは外側)*左右の代替に交互に注射する(前回注射部位を避けた部位にする)、注射前に注射予定部位を冷やすなどすると疼痛を軽減できる
*冷蔵庫(2-8℃)で保存(凍結は避ける)、使用する場合は室温に戻して使用する
*投与後インフルエンザ様症状がまず出るため、仕事が終わる金曜日の夜など生活スタイルに合わせた注射日を決める(就寝前に使用するのが良い)
*導入にあたり入院は必須ではないですが、私は注射指導など慣れてもらうことと患者教育の観点から入院してもらい導入する場合が多いです。
適応
適応:RRMS 再発抑制・進行防止 第1選択薬 *PPMS, SPMSに対しての効果はなし
・最も古くからあるDMDであり第1選択としての地位を確立しています。
・年間再発率:約30%低下
・皮下注射製剤のIFNβ1b(商品名:ベタフェロン)は隔日注射のため注射時の発熱に慣れが生じますが、IFNβ1a(アボネックス)は週1回のため慣れが生じない点が難点として挙げられます。NSAIDsなどの対症療法を使用してもどうしてもこの発熱が辛く使用継続をできない場合もあります。
・NMOSDはIFN投与により増悪することが報告されているため事前に必ず確認することが必要です。
副作用
・インフルエンザ様反応:投与後2-6時間後に出現し、24時間以内に消失(ほぼ必発)*NSAIDsを併用することが多いです(頻度を減らすために1/4量、1/2量、3/4量と漸増して投与する方法も指摘されています)
・精神症状の増悪(自殺企図など)
・間質性肺炎
・肝機能障害
・血球減少
・てんかん発作
・自己免疫性疾患悪化 *液性免疫を強化してしまうため、自己免疫疾患が背景にあると悪化させてしまう。ここがアボネックスの難しい点です。中枢性脱髄疾患を疑いNPSLEやサルコイドーシスなども鑑別に挙がる場合はIFN投与がかなり躊躇されます。
・PMLリスクはない(安全性)
■禁忌:うつ病、妊娠中女性への投与、肝疾患(非代償性肝疾患・自己免疫性肝炎)、小柴胡湯内服(間質性肺炎リスクのため)、コントロール不良のてんかん、生物学的製剤への過敏症
*漢方薬やうつ病など独特な禁忌が多いため注意が必要です(毎回きちんと投与時に確認する)
*自己免疫疾患は増悪のリスクがあり併用しづらい点にも注意が必要です
■妊娠に関して: 妊娠判明後直ちに中止 *多発性硬化症と妊娠に関してはこちらをご参照ください。
投与前チェック項目
・上記の禁忌事項と投与前ベースラインのMRI検査以外は特記事項なし。
投与後チェック項目
・注射後反応への対応を確認
・採血検査:肝機能・血球のフォロー
・呼吸器症状のフォロー(胸部レントゲンも定期的に):間質性肺炎チェック
・精神症状:うつ症状
参考文献
・多発性硬化症視神経脊髄炎ガイドライン2017
・アボネックス自己注射の手順:非常に分かりやすく記載されています
・アボネックスFAQ よくある質問 Biogen社