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脊髄疾患

脊髄円錐上部・円錐・馬尾

解剖 脊髄円錐上部・円錐・馬尾は重要な構造物がぎゅっとまとまっており、少し場所がずれただけで前面にでてくる臨床症状が異なるため、難しい領域です。解剖をまとめます(安藤哲朗先生の書かれた脊椎脊髄2015;28(3): 185-190.を参照させていただきました)。椎体高位と脊髄高位を勘違いしないようにしましょう。 下図はCONTINUUM (MINNEAP MINN)2018;24(2, SPINA […]

頚椎症による神経障害

病態 「頚椎症(cervical spondylosis)」は頸椎の骨・椎間板・靭帯などが加齢などの原因により変性する病態を意味します。これらの変性により神経が圧迫される病態は大きく分けて2つあり、1:神経根を圧迫する頚椎症性「神経根症」(radiculopathy)と2:脊髄を圧迫する頚椎症性「脊髄症」(myelopathy)が挙げられます(まれに運動障害のみを呈する頸椎症性筋萎縮症(CSA: […]

ChiariⅠ型奇形

先日ChiariⅠ型奇形と脊髄空洞症を合併している症例を経験しました。実は私はほぼ経験がなく、勉強した内容をまとめていきたいと思います。 病態 ChiariⅠ型奇形は小脳扁桃が脊柱管内へ病歴に下垂している状態です。Chiari奇形には複数のパターンがありますが、このChiariⅠ型が最も一般的なものです。病因は正確には分かっていないですが、発生の過程で後頭蓋窩が相対的に小さいため、小脳扁桃が後頭蓋 […]

脊髄梗塞 spinal cord infarction

0:脊髄血管の解剖 ・横断面 以下に横断面を載せました。理解するべき血管は、・前脊髄動脈(ASA: anterior spinal artery):脊髄の前2/3を支配し、脊髄の前面に1本存在し、吻側→尾側に流れます。・後脊髄動脈(PSA: posterior spinal artery):脊髄の後1/3を支配し、脊髄の後面に2本存在し、脊髄後面で動脈叢(Vasa corona)を形成しています。 […]

脊髄疾患 総論・まとめ

0:はじめに 脊髄に病変をきたす疾患は膨大です。ここでは、脊髄疾患ということまでは分かったけど、診断が分からない場合にどのように系統的アプローチをしていけばよういかを解説します(主に Pract Neurol 2018;18:187 より引用しています・秀逸なreviewです)。脊髄疾患の鑑別においては、 1:発症様式と経過2:脊髄内での病変分布(短軸)3:病変の長さ(長軸) long or sh […]

急性脊髄硬膜外血腫 spinal epidural hematoma

0:どんな疾患か? 「なんでこんな稀な疾患を取り上げるの?」と思われるかもしれないですが、急性脊髄硬膜外血腫は疾患頻度としてはマレですが、脳梗塞と間違えられてしまう疾患の王様でとても重要な疾患であるため紹介させてください。学校で習う病気ではないですし、私も恥ずかしながら卒後4年目で初めてこの疾患を知りました。私も自分で初療対応した症例はいままで2例しかありませんが、いずれの症例も脳梗塞と間違えてし […]