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循環器

肝肺症候群 hepatopulmonary syndrome

先日はじめて肝肺症候群の症例を経験し(私は普段エコー室で循環器の師匠の先生に教えていただいているのですが、そこでmicrobubble testを一緒に実施させていただきました)、勉強した内容をまとめます。 分類/病態 1:肝肺症候群(hepatopulmonary syndrome) 病態:肺血管拡張によるシャント血流による酸素化障害診断:低酸素血症(AaDO2開大)+右左シャントの証明(肺血流 […]

浮腫 edema

ポイント1:病態生理による浮腫の分類2:浮腫の解剖分布3:pitting edema (fast edema/ slow edema), non-pitting edemaに分類 病態 浮腫に関与する病態”Starlingの法則”1:血管透過性亢進(炎症・アレルギー)2:毛細血管圧亢進(体液量増加:心不全・腎不全)3:膠質浸透圧(アルブミンの喪失:肝硬変・ネフローゼ症候群など)4:リンパ管排出(リ […]

深部静脈血栓症(DVT: deep venous thrombosis)/肺塞栓症(PE: pulmonary embolism)

静脈血栓の原因:Virchowの3徴(血流うっ滞・血管内皮障害・凝固能亢進) リスク因子1.血流うっ滞:長期臥床、肥満、妊娠、全身麻酔、下肢麻痺、脊椎損傷、下肢ギプス固定、加齢、下肢静脈瘤、長時間座位(旅行、災害)など2.血管内皮障害:高ホモスステイン血症、手術、外傷、骨折、中心静脈カテーテル留置、カテーテル検査・治療、血管炎、抗リン脂質抗体症候群、膠原病、喫煙、静脈血栓塞栓症の既往3.凝固能亢進 […]

心不全 heart failure

病態 ・心不全は「前負荷」・「後負荷」・「心収縮力」いずれか病態が原因で、結果として左心不全の場合は「肺水腫」を生じる。 ・所見と病態の対応関係を意識しながら所見を取りに行くことが重要。1. 前負荷:静脈還流(容量負荷)の問題→頸静脈怒張、浮腫、体重増加 *頚静脈の評価方法に関してはこちらをご参照ください。2. 後負荷:血圧(圧負荷)の問題→血圧の上昇3. 心収縮力:心臓自体の問題→末梢冷感や血圧 […]

ペースメーカー 非専門医の理解

1:言葉の表記 1文字目:刺激する部位(Pacing)・これは純粋にペースメーカーのリードがペーシングをする部位を意味しています。心房はAtriumのA、心室はVentricleのV、両方の場合はDualのDと頭文字で表現します。 2文字目:感知する部位(Sensing)・ここでは自己脈を感知する部位を意味します。表記は1文字目の刺激部位と同様です。 3文字目:制御する方法(応答)・2文字目で感知 […]

中心静脈カテーテル留置

この記事では中心静脈カテーテル留置方法(右内頸静脈)に関してまとめます。 0:物品の準備 ・モニター(心電図、SpO2)・エコー(リニア)、エコーカバー、エコーゼリー・CVカテーテルキット(穿刺針・ガイドワイヤー・ダイレーター・皮膚切開用のメス・カテーテルなど含まれている)*予めカテーテルのルーメン数(シングル・ダブル・トリプル)を決定しておく。・コネクター、三方活栓など・局所麻酔薬、23G針、シ […]

Fabry病

Fabry病はαガラクトシダーゼA(α-Gal A)の酵素活性低下・欠損によるグロボトリアオシルセラミド(GL-3)のライソゾームへの進行性の蓄積が病態で、全身の細胞にこれらが蓄積することで臓器障害を引きおこいます。αガラクトシダーゼ遺伝子(GLA)はX染色体上に存在するため、X連鎖性劣性遺伝形式をとります(ヘミ接合体)。しかし、実際には女性でも症候性の場合もあります(症候性ヘテロ接合体)。 以下 […]

手術・処置における抗凝固薬の休薬

ここでは手術・処置の前にあたって「抗凝固薬をそもそも中止する必要があるのか?」また中止する場合は「いつから中止する必要があるのか?」、「いつから薬を再開するべきか?」に関してまとめさせていただきます。抗血小板薬の休薬に関してはまた別に記載させていただければと思います。 ■DOACに関して”European heart rhythm association”の2018年gui […]

ヘパリンブリッジ

「ヘパリンブリッジ」は慣習的に行われている施設が多いかもしれませんが、近年「ヘパリンブリッジは本当に意味があるのか?」というclinical questionが臨床試験で問われています。自分は今まできちんと元文献にあたれていなかったため調べた内容をまとめさせていただきます(以下では「ワーファリンのヘパリンブリッジ」に関してのみ扱います。DOACのヘパリンブリッジに関してはまた別途記載させていただき […]

HIT: heparin-induced thrombocytopenia

病態 HIT(heparin-induced thrombocytopenia)はPF-4(platelet factor:血小板放出)とヘパリンの複合体に対する抗体形成により血小板が減少しますが、出血合併症が起こるのではなく逆説的に血栓症を合併する病態です。未分画ヘパリンを7-10日間投与されている状態がリスクが高く、心臓手術後は約1-3%に認めるとされています。HITと確定した患者の約50%に […]