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心房細動に対して既に抗凝固薬内服中に脳梗塞を発症した場合に抗凝固薬を変更するべきか?

新しい研究が発表されました。

“Association of Alternative Anticoagulation Strategies and Outcomes in Patients With Ischemic Stroke While Taking a Direct Oral Anticoagulant” Neurology ® 2023;101:e358-e369.

design: 後ろ向き(propensity score-weighted)
患者:非弁膜性心房細動にDOAC内服中の脳梗塞発症 香港、6年間
除外基準:僧帽弁狭窄症、左室内血栓、弁置換術後、LAA閉鎖後、ASD、真性多血症、本態性血小板増多症、DOAC不適切使用量
1:DOAC→ワルファリンへ変更 n=122
2:DOAC→別のDOACへ変更 n=477
3:DOACそのまま変更なし n=1652
primary outcome:脳梗塞再発(脳梗塞の病型は問わず)
secondary outcome:頭蓋内出血、ACS、死亡
*secondary analysis: DOAC同じ群に抗血小板薬追加して脳梗塞再発が減るかどうか?

結果
・DOACを別のDOACへ変更またはワルファリンへ変更は脳梗塞再発リスクが上昇する
→実臨床ではワルファリンまたは別のDOACへ切り替えしているDr多い印象あるため注意.またなぜ別のDOACに変更することで上昇するのかは機序よくわからない.
・その他:抗血小板薬の追加は脳梗塞再発減少しない,脳梗塞再発リスク因子は高齢,DM,CYP/P-gp誘導薬の併用,大血管硬化

・個人的にはやはり脳梗塞の病型ごとにどうか?という点が気になります。この点が述べられていないので悩ましいです。
・ワルファリンに関してはやはりTTRの問題がぬぐいきれません。ただDOACスイッチで脳梗塞再発が増加する点に関してはやはり機序が難しいです。やはり何かしらの交絡因子が除去できていないのでしょうか。

管理人の一言:これはあくまでも雑感ですが(何か根拠がある訳ではないですが)、DOAC自体の問題というよりも患者背景による再発率リスクが問題である可能性があるかと思います。再発した場合にDOACがfailしたという概念だけでは説明できないのかもしれません。

ANN NEUROL 2020;87:677–687

7つの前向きコホート研究の統合解析計心房細動での脳梗塞例5413例の検討
患者背景:78歳・NIHSS初診時6点、抗凝固薬元々内服なし56.7%, 抗血小板薬元々内服 20.5%, 抗凝固薬元々内服 22.5%(DOAC 116例, VKA 865例, 詳細不明169例)
結果:脳梗塞再発・脳出血・死亡
元々経口抗凝固薬内服 vs 元々内服していない場合:8.9% vs 3.9% HR=1.6 p=0.005
経口抗凝固薬の変更 vs 変更なし:8.8% vs 8.2% HR=1.2 0.7-2.1 p=0.415

→この研究からは抗凝固薬を変更しても脳梗塞発症率に変化はなし