PICC 末梢挿入型中心静脈カテーテル

末梢挿入型中心静脈カテーテル peripherally inserted central catheter(PICC)に関してまとめます。

PICC挿入の手順

0:物品の準備

・エコー(リニア)、エコーカバー、エコーゼリー
・PICCカテーテルキット(穿刺針・ガイドワイヤー・ダイレーター・カテーテルなど含まれている)
・コネクター、三方活栓など
・局所麻酔薬、23G針、シリンジ
・ヘパロック多数
・ガーゼ
・ドレープ(穴あき+穴なしの大きいもの)
・Maximum barrier precaution(ガウン・清潔手袋・帽子)

・PICCカテーテルは製品が多数あり、かつそれぞれ使い方がかなり異なるので非常に煩雑です。single lumenの場合は”4Fr”が多く使用されると思います(施設ごとにどのメーカーのものを採用しているか事前に確認しておいた方が良いと思います)。以下が代表的なものです。
 ・パワーPICC、グローションカテーテル(メディコン)*グローションカテーテルは3 way valveという独自の側穴からの逆血を防ぎ閉塞のリスクをへらす方法があります。
 ・Argyle PICC(コヴィディエン)
 ・Arrow PICカテーテル(テレフレックス)
・ベッドサイドで行う方法、透視室でやる方法どちらもあります。もちろん後者の方が確実に実施することができますが、前者もエコーガイド下で内頸静脈への迷入がないことを確認しながら実施することが可能です。私が前務めていた施設は透視室で行っていましたが、多くの施設が透視を使用せずにPICC挿入を行うことが多いと思います。

1:血管の選択・穿刺部位の決定

・一般的に最も血流が多く穿刺がしやすい上腕の尺側皮静脈を選択します。解剖を下図にまとめます。
・上腕近位を駆血帯で駆血してからエコーでまず穿刺位置を確認します(消毒の前に)。

2:カテーテルの長さの決定

・「挿入予定部位→鎖骨頭部→胸骨→第3肋間」の距離をメジャーで測定し、それを元にカテーテルの長さを推定します(下図参照)。
・一般的には30-40cm程度の長さになることが多い印象があります。

3:患者さんの体位

・できるだけ上大静脈方向へ血管の走行が一直線になるように、また内頸静脈への迷入を防ぐために上腕90度外転・外旋し手掌が天井を向くようにすることが重要です(下図参照)。この肢位を確保するためにあまり妥協しない方が良いです。

4:本番:消毒+穿刺・挿入

・ここからは通常のCV挿入とほとんど同じ流れになります。
・検者が清潔手袋・ガウン・帽子を着用し、刺入部位消毒をし、ドレープをかけ、物品の準備をします(ヘパリンを事前にカテーテルなどに流しておく)。またエコーの準備をします。
・必ず上肢近位を駆血した状態で、エコーをあて、穿刺をします。ここからの流れは各キットによって異なりますが(特にグローションカテーテルは違いますが)、穿刺後外筒を残して逆血を確認し、駆血を解除してからガイドワイヤーをすすめます(駆血を解除しわすれることが多いため注意、駆血を解除しわすれるとガイドワイヤーが途中で進みにくくなる場合あり)。必ずエコーの短軸・長軸で静脈内に留置されていることを確認します。教科書では1cm/秒程度ゆっくりすすめた方が迷入しにくくなると記載されています。
ガイドワイヤーが内頸静脈に迷入していないかどうかエコーで確認します(これは介助者に行ってもらうことが多いです)。
・ダイレーターを挿入し、カテーテル本体を挿入していきます。ガイドワイヤーを抜去し、逆血が良好なことを確認した上で固定します。ここで体内に留置されたカテーテルの長さが先程計測した長さになるようにします。
・最終的にレントゲンで位置の確認をします。

*迷入を防ぐための方法

・最もカテーテル先が迷入しやすいのは同側の内頸静脈です(下図参照 J Vasc Interv Radiol 2007;18:513-8.より引用)。
・このため必ずエコー検査で同側の内頸静脈にカテーテルがないかどうかを確認します(介助者にエコーを実施してもらうことが多い)。
・その他の方法としては「患者さんに挿入側に顎を引いて首を屈曲してしてもらう(内頸静脈を圧迫する)」、「介助者に内頸静脈を軽度圧迫してもらう」、「腕頭静脈近くで患者さんに深呼吸をしてもらい吸気に合わせてカテーテルをすすめる(胸腔内圧が陰圧になり静脈還流が増えるため)」などの方法があります。

PICCの利点・欠点 適応 合併症

■利点
・CRBSIの頻度が低い
・挿入時の重篤な合併症(気胸・内頚動脈穿刺)がない
■欠点
・基本的にはシングルルーメンであるため、複数の薬剤を同時に使う際には注意が必要。
・上肢の血管走行によっては挿入困難な場合もある。
・血栓症のリスクは高い

■適応
・骨髄炎などでの長期抗菌薬投与(特にペニシリンGなどの血管炎リスクが高い抗菌薬など)
・長期の中心静脈栄養投与
・長期の化学療法投与
などが挙げられます。私は前の施設では骨髄炎や膿瘍などの感染症治療で抗菌薬治療が長期化する際(特にペニシリンG)にPICC留置をする機会が多かったです。

参考文献
・Hospitalist特集「ホスピタリストに必要な手技」

“PICC 末梢挿入型中心静脈カテーテル” への2件の返信

  1. 大変わかりやすく有難うございます。最近ではほとんどPICCが主流になりつつありますよね。当院では右から入れる時は30-35cm、左から入れる時は35-40cmになることが多いです。またSVCの穿孔リスクを下げるためになるべく右上腕から入れる、左から入れる時はArgyleなどの硬いカテーテルを入れるときはB zoneに留置するよう言われています(すみません、耳学問で正しい情報か確信が持てません)。記載して頂いていますがPICCカテーテルは種類が多すぎて、いつも覚えられなくて困っています(涙)。

    1. 記事を読んで頂き、またコメントいただき大変ありがとうございます。
      先生のご施設での長さの基準、留置位置(B zone)など大変勉強になります!
      PICCの種類の多さは本当に困りますよね・・・。

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