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2022年2月

神経内科専門医試験について

今年度はCOVID19流行の影響もあり例年よりも遅れて2022年2月13日に神経内科専門医試験が実施されました。神経内科専門医試験は受験する人数も少ないこともあってなかなか情報が世に出回っていないですが、個人的にどのように勉強したかなどに関してまとめたいと思います(ここでは1次試験に限定した内容です)。あくまでも個人的な見解なのでご了承ください(詳細は日本神経学会のホームページをご確認お願い致しま […]

遠位型ミオパチー

筋疾患は通常近位から障害されることが多いとされていますが遠位から障害される遺伝性疾患をまとめて「遠位型ミオパチー」と称することがありまとめます。 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー distal myopathy with rimmed vacuoles(GNE myopathy) 遺伝形式:AR 遺伝子:GNE遺伝子 シアル酸合成酵素の変異臨床像:20歳前後で発症緩徐に進行 尊大な歩行 股関節外転 […]

脊髄性筋萎縮症 SMA: spinal muscular atrophy

病態:運動神経前角細胞の障害(遺伝) 下位運動ニューロン障害・比較的均一な臨床病型を呈する遺伝形式:AR 遺伝子:SMN1 SMN2のコピー数が多いほど軽症化する傾向にある臨床像:近位筋障害(障害の程度:下肢>上肢・上腕三頭筋>上腕二頭筋・腸腰筋>大殿筋)*上位運動ニューロン徴候、感覚障害、高次脳機能障害、外眼筋麻痺は基本的に認めない分類Ⅰ急性乳児型(Werdnig-Hoffman病):0~6か月 […]

末梢神経障害の原因いろいろ

末梢神経障害を起こす原因をまとめます。過去にまとめた記事も多いのでそれはリンクとして掲載されていただきます。末梢神経障害一般に関してはこちらもご参照ください。 自己免疫機序 GBS こちらをご参照ください CIDP こちらをご参照ください MMN こちらをご参照ください 血管炎性ニューロパチー こちらをご参照ください シェーグレン症候群 こちらをご参照ください 遺伝性 CMT Charcot-Ma […]

白質ジストロフィー

いくつかまとめます。 ALD adrenoleukodystrophy 副腎白質ジストロフィー 病態・遺伝 病態:超長鎖脂肪酸をペルオキシソームへ輸送する機序の異常→超長鎖脂肪酸の蓄積:中枢神経の脱髄と副腎不全遺伝形式:XR 遺伝子: ABCD1(ATP-binding cassette, subunit D) *特定の遺伝子変異が多い訳ではない(エクソンだけでなく全塩基配列を調べる必要がある)* […]

前頭側頭型認知症

この領域がややこしい理由は臨床病型と病理分類が1対1対応になっていない点にあります(これは仕方のないことなのですが)。このため似たような名前が違う意味で使われている点に十分注意する必要があります。FTD(前頭側頭型認知症)は臨床診断名であり、FTLD(前頭側頭葉変性症)は病理診断名です。病理は更にTDP43, tau, FUSを背景病理に持つことにより大きく3つに分類され、さらにこれと関連する遺伝 […]

Agryrophilic grain disease: AGD 嗜銀顆粒性認知症

恥ずかしながら私はまだ病理確定診断例を経験できておりません。ご経験ある先生いらっしゃいましたら是非ご教授いただけますと幸いです。 病理 ・4 repeat tauopathy:agryrophilic grain *由来:神経細胞の樹状突起の後シナプス膜・出現する部位:迂回回(ambient gyrus)から出現 *下図は以下より引用:J Neuropathol Exp Neurol. 2004 […]

Chorea(舞踏運動)

臨床像 ・”chorea”はギリシャ語で「踊り」を意味する言葉に由来します。特徴としては「動きがランダムであること」が重要です(不規則で予想が出来ない)。動きの速度が速いとミオクローヌスに見えることがありますが、choreaはランダムであることが鑑別と点として重要です。・parakinesia: “chorea”を日常の動きの中に取り入れてあたかもc […]

ハンチントン病 Huntington disease

遺伝・病態・疫学 遺伝形式:AD 遺伝子:HTT(huntingtin)ポリグルタミン病 第4染色体 CAG repeat anticipation(表現促進現象:世代を経るごとに繰り返し数が増大して発症年齢は若年化・重篤化)を認める通常:26回以下異常:36回以上(27-35回はgray zoneになっている) 発症:いずれの年齢でも発症しうる(平均30才代)*20才以下(若年型):10% 以下 […]

Wilson病

遺伝子・病態・臨床像 ・遺伝形式:AR(遺伝子ATP7B) 先天性銅代謝異常症 日本全国約1500人程度と推定・病態:肝臓からの銅排泄障害による様々臓器への銅沈着(非セルロプラスミン結合銅は臓器に蓄積:肝硬変・錐体外路症状)・銅は小腸から体内に取り込まれ、肝臓でセルロプラスミンと結合し血液中を流れる・血液中の95%はセルロプラスミンと結合しており、臓器に銅を供給することはない(役割としては鉄の酸化 […]