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糖尿病性/高血糖性舞踏病

神経内科医だけではなく一般内科の先生方の間でも認知度が高い病態です。名称はdiabetic striatopathy, diabetic chorea, hyperglycemia-induced hemichorea/hemiballismusなど文献によってさまざまですが簡単に勉強した内容をまとめます。chore一般に関してのまとめはこちらをご参照ください。

臨床像

急性発症の片側舞踏様運動を認める場合が多い(全身性へ波及する場合もある)
*高齢者の突然発症の片側舞踏様運動(hemichorea)の鑑別としては1:血管障害、2:高血糖が重要。
「高齢者・非ケトン性高血糖・2型糖尿病」が特徴(年齢中央値71歳、血糖値431mg/dL)
・まれに血糖正常化の数週後に急性に生じる場合もある
・症状は~数日で改善する場合もあれば、月単位改善までかかる場合もある(ただ通常self-limitedである)
・治療は通常血糖管理のみで十分

・機序は不明:微小出血や高浸透圧による虚血の関与などが考えられている
*非ケトン性高血糖ではseizureを起こす場合もあり注意が必要

画像所見

基底核(特に被殻:症状の対側):T1WI高信号 *被殻が主体であるが、それに加えて尾状核や淡蒼球も障害されうる *T2WIは信号変化さまざま *周囲に浮腫やmass effectは認めない
ポイント:内包前脚に所見を認めない(選択的)→出血ではないということを意味する
・信号変化の改善には時間がかかる(年単位におよぶ場合もある)*臨床的な改善に画像所見の改善は遅れる

*参考:「基底核T1WI高信号」の鑑別
・糖尿病性舞踏病
・慢性肝疾患
・マンガン(Mn)沈着
・NF type 1
・石灰化

*参考:中毒関連の画像所見一覧 下図はRadioGraphics 2019; 39:1672–1695より引用

参考文献
・AJNR Am J Neuroradiol. 2014 May;35(5):833-40. doi: 10.3174/ajnr.A3486. Epub 2013 May 2. PMID: 23639559
・Journal of the Neurological Sciences 314 (2012) 5–11 糖尿病に合併する不随意運動に関してのreview