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神経

抗てんかん薬/抗発作薬 総論

抗てんかん薬の各薬剤に関しては今まで多く紹介してきましたが、ここでは総論に関してまとめたいと思います。*近年抗てんかん薬(AED)ではなく抗発作薬(ASM: antiseizure medication)と表現します。てんかんを治している訳ではなく、発作を治療(予防)している薬剤であるという意味を明確にするためです。以下抗てんかん薬と表記しているところも抗発作薬と同義とご理解ください。 抗てんかん […]

カルバマゼピン CBZ: carbamazepine

薬剤の特徴 商品名:テグレトール 作用機序:Na受容体阻害 適応:部分発作*全般発作に対しては効果なし*ミオクローヌスは増悪させてしまう場合がある点に注意 代謝:肝臓CYP3A4半減期:投与36時間(初めの1か月程度)*反復投与(自己誘導後)16-24時間  TDM7-14日後GradeA血中濃度:4-12μg/ml 製剤:錠剤(100mg,200mg/錠)、細粒 *点滴製剤なし剤形:錠剤、細粒  […]

失語へのアプローチ

失語の分類と理解が自分の中でなかなかうまくできていませんでしたが(書籍によって書いてある内容もまちまちですが)、色々な本を読んで最近色々自分の頭の中でこねくりまわしていると下図の様にまとめると一番最大公約数的な理解になるかなと思いました(これでもまだややこしいし不完全ですが・・・)。個人の見解で「理解しやすいための図」「臨床ですぐに診察と病態がつながりやすい図」という側面を重視している点をご了承く […]

Duchenne型/Becker型筋ジストロフィー muscular dystrophy

Duchenne muscular dystrophy: DMD Duchenne型筋ジストロフィー 筋疾患一般へのアプローチに関してはこちらをご参照ください。 遺伝形式 遺伝形式:XR Xp21ジストロフィン遺伝子 細胞膜直下のジストロフィン蛋白欠損→膜不安定性により進行性の筋繊維変性筋ジストロフィーの中で最も頻度高い人口2~3人/10万人女性も症候性保因者の場合がある*Becker muscu […]

腱反射 tendon reflex

この記事は神経を専門としていない初学者の方向けに腱反射に関してまとめたいと思います。 基本的な腱反射 上腕二頭筋反射 biceps reflex ・責任髄節:C5 末梢神経:筋皮神経・患者の姿勢:座位または臥位・ポイント:きちんと検者の母指を上腕二頭筋腱に押し当てて(強く押し当てすぎてはだめ)、そこを打腱器で叩くことが重要です。また肘の角度が伸展しすぎていたり、屈曲しすぎていたりすると反射を誘発し […]

dysferlinopathy ジスフェルリン異常症

筋ジストロフィー 遺伝形式:AR原因遺伝子:DYSF(2p13) dysferlin蛋白をコードしている(筋細胞膜の膜修復に関与している) 三好型遠位型筋ジストロフィー ■臨床像・下腿遠位から発症・下腿屈側(腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋) 初期からつま先立ちが困難になる・10歳代後半から20歳代で発症・CK値は高度に上昇する・筋病理は壊死再生が主体であるが、細胞浸潤を認める場合もありその場合に多発筋炎 […]

ポンペ病 特に遅発型/成人型

病態 Pompe病(糖原病Ⅱ型)は酸性α-グルコシダーゼ(GAA: glucosidase acid alpha: ライソゾーム酵素)の欠損により細胞内にグリコーゲンが蓄積するARの遺伝性疾患で、特に骨格筋障害をきたします。 乳児型ポンペ病は肥大型心筋症、floppy infantを呈する疾患で、乳児型の病理はすべての筋繊維に空胞とamorphousの酸フォスファターゼ活性を持つ特徴的な空胞を認め […]

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー FSHD: facioscapulohumeral dystrophy

遺伝形式 遺伝子:D4Z4 正常:10回以上の反復 FSDH1患者は反復回数が3~10回程度と少ない →DUX4(毒性のあるたんぱく質)による障害遺伝形式:AD *約30%は親に4q35欠失は認めずde novoと考えられている(孤発例あり) 臨床像 ■左右差のある筋萎縮“Facioscapulohumeral muscular dystrophy can show marked si […]

てんかんと妊娠

久しぶりの投稿となり申し訳ございません。2022年もどうぞよろしくお願い申し上げます。てんかんと妊娠はとても重要なテーマで調べた内容をガイドラインに基づいたものが基本ですがまとめます。 てんかん発作の頻度は妊娠中変化するのか? 発作頻度:不変約50%、増加約25%、減少約25%→総じると変化なし*文献により報告さまざま 抗てんかん薬の血中濃度と妊娠の関係 ・妊娠中に薬物代謝(特にクリアランス)が変 […]

TEA: transient epileptic amnesia

先日既報のTEAと臨床像がほぼ合致し、脳波上もcomfirmできた症例を外来で経験しました(確定診断例は実ははじめてです)。TGAの方が臨床像遭遇する機会は圧倒的に多いですが(TGAに関してはこちらのまとめをご参照ください)、重要な対立鑑別なので勉強した内容をまとめます。 臨床像 ・TGAと同じく発作性の前向性健忘+逆行性健忘が臨床上の特徴でその他の高次脳機能障害は伴いません。また自動症などを伴う […]