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神経

妊娠と脳血管障害

妊娠と脳血管障害は神経内科をしているとコンサルテーションとして重要なテーマになります。調べた内容に関してまとめます。本記事で以下に記載する「妊娠関連」という言葉は、「妊娠中+産後6週間以内」という意味で使用していますのであらかじめご了承ください。 妊娠で脳血管障害は増加するのか? ■妊娠と脳卒中の関係に関して N Engl J Med 1996;335:768-74. ・1988-1991年の期間 […]

島(insula)と脳梗塞

本日カンファレンスで島(insula)梗塞の議論になりました。島(insular)は脳の中でも臨床的にはなかなか謎に包まれた部位と思います。あまりすっきりした内容にはなっていなくて恐縮ですが、学んだ内容をまとめます。 島(insula)の解剖と機能 中心島溝(central insular sulcus)により前部と後部に解剖学的には分かれます。 動脈支配:中大脳動脈(MCA)のM2から還流(AC […]

Kluver-Bucy syndrome クリューバー・ビューシー症候群

単純ヘルペス脳炎の患者さんで議論になったテーマです。Heinrich Kluver先生とPaul Bucy先生が1939年に発表したことに端を発します。ここではAuroraと名付けられたサルに対して両側側頭葉切除術が行われた後の様子を観察して記述されました。 人間での報告は1955年にTerzian先生とOre先生が19歳男性でてんかんコントロールのために両側側頭葉切除術を実施された患者さの報告に […]

脳梁病変

脳梁の解剖 ・脳梁(のうりょう: corpus callosum)は左右大脳半球を連絡する最大(約2億本)の繊維束(白質)です。その他左右の大脳半球を連絡する交通線維は前交連、海馬交連が存在します。 ・膨大部:PCAからの血流支配・膨大部以外:ACAからの血流支配 脳梁障害による神経症候 ■左半球機能の伝導障害:言語処理を左半球で行う際に右半球からの情報が脳梁障害により左半球に伝達されないと生じる […]

limb-shaking TIA

極めてまれだけれど知らないと診断できず、注意が必要な不随意運動の鑑別としてlimb-shaking TIAがあります。高度内頚動脈狭窄(または閉塞)を背景として対側の四肢に不随意運動を認める症候です。1962年にMiller Fisher先生が症例報告したことに端を発し(CMAJ 1962;86:1091–1099.)、現在は教科書にも載っているくらい有名な症候ではありますが実際臨床現場で出会うこ […]

脳脊髄液減少症/脳脊髄液漏出症

先日久しぶりに脳脊髄液減少症の確定診断例を経験しました。この疾患は緊急性はそこまで高くないのですが、primary care医は知っておくべき疾患です(一見不定主訴にみえるため)。改めて勉強した内容をまとめました。 病態 病態の本質は「硬膜破綻による脳脊髄液の漏出」です。 ただ脳脊髄液が減少している様子を直接観察することが出来ません。ここで重要なのが「モンロー・ケリーの法則 脳 実質+脳脊髄液+血 […]

ataxic hemiparesis

先日右下肢に強い失調の患者さんが受診され、構音障害や注視誘発性眼振などがなく、「うーん絶対小脳性の失調なんだけどな・・・その他の支持する所見が弱いな・・・」と思った症例が左内包後脚の梗塞による”ataxic hemiparesis”でした。この例から分かるように個人的には「片側上下肢の失調を認め、脳神経領域で小脳失調を示唆する所見(構音障害や注視誘発性眼振)を認めない場合」 […]

頚動脈狭窄 carotid stenosis

頸動脈での動脈硬化は特に内頚動脈と外頚動脈の分岐部に起こりやすく、以下2つの機序によりTIA・脳梗塞の原因となります。前方循環の脳梗塞・TIA患者さんでは必ず原因として想起するべき病態(原因の10-20%を占めるとされている)です。機序1:A to A emboli機序2:血行力学的な機序 *分水嶺領域の脳梗塞に関してはこちらにまとめがあるのでご参照ください。 解剖・身体所見 ・椎体高位C4, 甲 […]

脂肪塞栓症 FES: fat embolism syndrome

知らないと鑑別に挙げることができない疾患の代表で、私はよく鑑別から漏らしてしまい先日も寝る直前に「あっあの今日コンサルトをもらった患者さんは脂肪塞栓症では・・・?」と思ったことがあります。 機序 骨折や整形外科手術により骨髄内の脂肪が血液中に放出され、脂肪が物理的に塞栓症を引き起こす”mechanical theory”と、生化学的な機序の”biochemica […]

脳梗塞と関連性のある薬剤

先日glioblastomaに対してbevacizumab投与中の患者さんが脳梗塞になってしまいコンサルテーションとなりました。自分は恥ずかしながら知らなかったのですが、bevacizumabは脳梗塞リスクとして有名な薬剤のようです。薬剤と脳梗塞の関連性に関して調べた内容をまとめました(Stroke. 2021;52:00–00. DOI: 10.1161/STROKEAHA.120.033272 […]