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神経

IVIg: 経静脈的免疫グロブリン療法

自己免疫疾患で使用する機会があるIVIg(intravenous immunoglobulin):経静脈的免疫グロブリン療法に関してまとめます。 機序・投与方法 ■作用機序:免疫グロブリン製剤は献血された血漿からIgGを中心に精製された製剤です。結論から申し上げますと作用機序は分かるようでよくわかりません(研修医の先生から「なんで免疫グロブリン療法で効くんですか?」とよく質問を受けますがうまく答え […]

RCVS(reversible cerebral vasoconstriction syndrome) 可逆性脳血管攣縮症候群

急性頭痛の鑑別として稀だけれど重要なのがRCVSです。頭痛へのアプローチに関してはこちらにまとめがあるのでご参照ください。 疫学/誘因 ・交感神経活性・血管内皮障害・instabilityなどが原因で多発の血管攣縮をきたす病態です。・幅広い年代で発症しうるが、特に比較的若年の女性に多いことが特徴で、既往歴として片頭痛を約40%に認めます(片頭痛の頭痛と見極めが必要で、そこでは”patt […]

ブログ 質問回答

先日お悩み相談コーナーを開設してみて(こちら)いくつかいただいた中から回答させていただきます。質問文はそのまま、もしくは個人情報に支障をきたす場合は多少変更して記載させていただいております。 質問1:「地方医学生です。東京で後期研修(内科)を考えています。母校に入局するという選択肢がない場合、後期研修先はどのように選べばよいとお考えですか?」 以下小生の回答 ご質問大変ありがとうございます。個人的 […]

進行性多巣性白質脳症 PML: progressive multifocal leukoencephalopathy

病態 ・JCVは多くの場合(日本は70%以上)既感染(腎臓・脾臓・骨髄)で、免疫低下に伴いウイルスが増殖すると脳へ血行性感染をきたし、中枢神経に脱髄をきたし、不可逆的な障害をきたす病態です(その他JCVによる中枢神経障害にはJCV髄膜炎、JCV 脳症、JCV小脳顆粒細胞障害がありますがここではPMLのみを取り上げます)。免疫抑制を扱うすべての科で重要なテーマです。 原因 ・HIV感染症による免疫不 […]

ギランバレー症候群と味覚障害

先日診療したギランバレー症候群(疑い)の患者さんに味覚障害が出現し、自験例で一度も経験がなかったため文献を調べてみました(ギランバレー症候群の総論に関してはこちらをご参照ください)。ギランバレー症候群での味覚障害を認めるのは0.6-2%と比較的稀とされています(J Neurol Neurosurg Psychiatry 1988;51:605–612.)。顔面神経のほとんどは大径有髄繊維ですが、味 […]

フィンゴリモド fingolimod

薬剤/機序 商品名:ジレニア、イムセラ 製剤:0.5mg/カプセル投与量:0.5mg 1Cp1x 経口薬(経口薬のDMDとしての承認初)*基本的にこの投与方法(0.5mg/日)しか日本では認可がありません。 作用機序:S1P(スフィンゴシン-1-リン酸:sphingosine-1-phosphate)受容体に作用し、リンパ球遊走を阻害する作用があるとされています。S1Pはリンパ節でのT細胞のS1P […]

妊娠と多発性硬化症

多発性硬化症は若い女性の患者さんも多く妊娠との関係が重要なテーマです。ガイドラインの内容をなぞることが多くて恐縮ですが、内容をまとめます。 妊娠・出産のMS病勢への影響 1:再発に関して・妊娠中は再発率は低下するが、出産後3か月は再発リスクが最も高くなる(下図引用:”The PRIMS Study” :254人/269回の妊娠に関してのフォローアップ:N Engl J Me […]

本態性振戦 ET: essential tremor

本態性振戦は日常臨床でよく遭遇しますが、「原因のわからない振戦」のごみ箱診断名にならないように注意が必要です。正直初診時は他疾患かどうかわからない場合も多いためフォローでの経過がやはり一番重要なのかと思います(一度カルテに本態性振戦と診断名を記載してしまうとどうしても思考停止してしまうことがあり反省です)。振戦全般の鑑別に関してはこちらにまとめがあるのでご参照ください。 臨床像 ・左右対称性:片側 […]

薬剤性パーキンソニズム drug-induced parkinsonism

精神科の先生方と神経内科医がよく診療するのが薬剤性パーキンソニズムです。原因薬剤を中止してもすっと改善しない場合もあり、背景にパーキンソン病が合併しているのかどうか悩むことも多いですが近年はDAT scanの登場によりこの点に関して判断が少ししやすくなっています。過去の文献での臨床像は純粋な薬剤性パーキンソニズムと、パーキンソン病が背景にある薬剤性パーキンソニズムが混ざっているため解釈には少し注意 […]

薬剤性振戦 drug-induced tremors

日常遭遇することの多い(神経内科のコンサルテーションでも非常に多いです)薬剤性振戦に関してまとめます。振戦一般に関してはこちらにまとめがあるのでご参照ください。今回は Lancet Neurol 2005; 4: 866–76 の内容をまとめたものですが、古い文献が多く引用されておりダウンロードできなかった文献が多く、引用として引かれている文献名をそのまま掲載しているものも多いです。申し訳ございま […]