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カルバマゼピン CBZ: carbamazepine

薬剤の特徴

商品名:テグレトール

作用機序:Na受容体阻害 適応:部分発作*全般発作に対しては効果なし
*ミオクローヌスは増悪させてしまう場合がある点に注意

代謝:肝臓CYP3A4
半減期:投与36時間(初めの1か月程度)
*反復投与(自己誘導後)16-24時間  TDM7-14日後GradeA
血中濃度:4-12μg/ml

製剤:錠剤(100mg,200mg/錠)、細粒 *点滴製剤なし
剤形:錠剤、細粒 100mg,200mg/錠

投与量

(処方例:開始量)テグレトール100mg 1錠分1(=100mg/日)
*2~4週間おきに100mg/日ずつ増量する
*最初から維持量(例えば300~400mg/日)を投与するとふらふらになってしまいほぼ確実に脱落するため、必ず少量から開始・漸増が必要
(処方例:維持量)テグレトール200mg 2~4錠分2

維持量:400(-1200mg)/日 *増量は慎重に行う!!

副作用・相互作用

投与禁忌:房室ブロック(Ⅱ度以上)、ポルフィリン症
併用禁忌:ボリコナゾール、アドシルカ、リルピビリン
薬剤相互作用:多数あり(必ず毎回添付文章の確認が必要!!)

副作用:非常に多い
1:用量非依存性:皮疹(重症薬疹もありこちらを参照、肝機能障害、汎血球減少
2:用量依存的:ふらつき、眠気、嘔気、認知機能低下、精神症状、低Na血症(SIADH)、音感の変化
長期内服によるもの:骨粗鬆症

*いきなり多い量からは処方すると「ふらつき・眠気」は必発です。こうなってしまうと患者さんはまずこれ以降カルバマゼピンを受け入れてくれなくなります(カルバマゼピン=ふらふらになる薬というイメージがついてしまう)。このため少量開始・漸増の原則に準拠する必要があります。

カルバマゼピンの立ち位置

・元々は部分発作(焦点発作)の第1選択として極めて重要な役割を担っていた薬剤ですが、近年レベチラセタム、ラコサミド、ラモトリギンの登場があり副作用や薬剤相互作用の観点から第1選択として処方することはかなり限られます(特に高齢者)。つまり、「カルバマゼピンでないといけない理由」というのがないということです。
・ただ発作抑制効果でラコサミドなどの新規薬剤はいずれも非劣性を証明できただけであり、カルバマゼピンよりも発作抑制効果が高いことを証明できていない点は十分に把握しておく必要があります。
・カルバマゼピンは「少量開始かつ漸増」の原則に準拠が必要です。このためてんかん重積後の急性期に導入して入院中に調整することはやや難しい薬剤です。
・基本的にカルバマゼピンを処方しなれていない医師がカルバマゼピンを安易に処方するべきではないと個人的には考えています。
・ただもちろん今までカルバマゼピンを長期間内服されていらっしゃり、発作がコントロールできているのであれば無理に変更する必要はないと思います。また他剤で効果がなくカルバマゼピンで効果がある場合というのも存在します。