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頭痛へのアプローチ headache

ここでは特に救急外来で問題となる突然~急性経過の頭痛へのアプローチをまとめます(慢性頭痛に関しては詳しく取り上げていません)。私の個人的な見解も多く入っていますが、参考になりましたら幸いです。 アプローチのポイント ・”SNOOPE”で2次性頭痛を示唆するred flagを確認する。1つでも合致する場合は2次性頭痛の検索のためまず頭部CT検査を行う。・神経学的巣症状/所見が有れば2次性頭痛を示唆す […]

TTP: thrombotic thrombocytopenic purpura 血栓性血小板減少性紫斑病

先日医師人生で初めてTTPの症例コンサルテーションを受けました。TTPは学生時代に習ったイメージよりもはるかに実臨床での頻度が低く、ずっと「いつか出会うのかな?」と漠然に思っていました。私の師匠はよく「昔はチクロピジンでのTTPが多かったからそれでTTPを勉強していたけれど、チクロピジンがほぼ使われなくなってTTPはほとんど診なくなった」とおっしゃっていた記憶があります。やはり希少疾患であることは […]

甲状腺機能亢進症/中毒症

甲状腺ホルモンの生理 ・実際に生理的な活性を持つのはT3であるが、産生される主体はT4であり組織でT4がT3に変換される。・血液中ではT3,T4はその多くがTBG(thyroid binding protein)と結合しているが、血中で遊離しているFT4, FT3を測定する。 分類:甲状腺機能亢進症/中毒症、甲状腺機能低下症はTSHで判断する。・甲状腺機能亢進性/中毒症:TSH低下+FT4上昇・甲 […]

浮腫 edema

ポイント1:病態生理による浮腫の分類2:浮腫の解剖分布3:pitting edema (fast edema/ slow edema), non-pitting edemaに分類 病態 浮腫に関与する病態”Starlingの法則”1:血管透過性亢進(炎症・アレルギー)2:毛細血管圧亢進(体液量増加:心不全・腎不全)3:膠質浸透圧(アルブミンの喪失:肝硬変・ネフローゼ症候群など)4:リンパ管排出(リ […]

深部静脈血栓症(DVT: deep venous thrombosis)/肺塞栓症(PE: pulmonary embolism)

静脈血栓の原因:Virchowの3徴(血流うっ滞・血管内皮障害・凝固能亢進) リスク因子1.血流うっ滞:長期臥床、肥満、妊娠、全身麻酔、下肢麻痺、脊椎損傷、下肢ギプス固定、加齢、下肢静脈瘤、長時間座位(旅行、災害)など2.血管内皮障害:高ホモスステイン血症、手術、外傷、骨折、中心静脈カテーテル留置、カテーテル検査・治療、血管炎、抗リン脂質抗体症候群、膠原病、喫煙、静脈血栓塞栓症の既往3.凝固能亢進 […]

心不全 heart failure

病態 ・心不全は「前負荷」・「後負荷」・「心収縮力」いずれか病態が原因で、結果として左心不全の場合は「肺水腫」を生じる。 ・所見と病態の対応関係を意識しながら所見を取りに行くことが重要。1. 前負荷:静脈還流(容量負荷)の問題→頸静脈怒張、浮腫、体重増加 *頚静脈の評価方法に関してはこちらをご参照ください。2. 後負荷:血圧(圧負荷)の問題→血圧の上昇3. 心収縮力:心臓自体の問題→末梢冷感や血圧 […]

輸血 blood transfusion

輸血1単位:全血200mLから作られた製剤 原則1:輸血は副作用が多く、”Do no harm”の精神が特に重要で、不必要な輸血は避ける2:輸血の適応は予防と治療があり、どちらのために行うのかを分けて考える 赤血球製剤 RBC(red blood cell concentrate) 1単位=140mL(1単位あたりのHb=26-30g:ドナーのHbが13-15g/dLの場合)適応1:循環動態が安定 […]

限局性筋炎 focal myositis

非常に久しぶりの投稿がかなりマニアックなテーマになってしまい恐縮です(ここ2ヶ月くらい仕事が立て込んでおり投稿できておらず大変申し訳ございませんでした)。最近外来で「限局性筋炎」を鑑別として考える必要のある症例を経験し、勉強した内容をまとめます。ご経験のある方は是非臨床経験を教えていただけますと幸いです。 限局性筋炎(focal myositi)は1977年Heffnerが報告したことに端を発しま […]

救急診療「好手と悪手」 medicina増刊号2021

ここのところほとんど更新出来ておらず大変申し訳ございません・・・。 私も一部を執筆させていただいた本が出版されます(2021年3月22日発売)ので宣伝させていただきます。本日自宅に届き早速読ませていただいたのですが、他の先生方が書かれた内容が非常に素晴らしい内容で驚いております。救急診療での”pitfall”があますところなく書かれており、増刊号ならではの誌面制限に縛られな […]

薬剤性肝機能障害 DILI: drug induced liver injury

入院患者さんの肝逸脱酵素上昇の原因として最も多いものは薬剤性です。ついつい場当たり的に薬剤を中止してしまうことがあるため予め体系的なアプローチを構築することが必要と思っています。本題と関係ないですが、ここ最近投稿が滞ってしまっており申し訳ございませんでした。 薬剤性肝機能障害 ・通常薬剤開始後5-90日で起こる。無症候性の軽症例から急性肝炎を呈する重症例まで臨床像の幅が広い。入院中の肝逸脱酵素上昇 […]