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限局性筋炎 focal myositis

非常に久しぶりの投稿がかなりマニアックなテーマになってしまい恐縮です(ここ2ヶ月くらい仕事が立て込んでおり投稿できておらず大変申し訳ございませんでした)。最近外来で「限局性筋炎」を鑑別として考える必要のある症例を経験し、勉強した内容をまとめます。ご経験のある方は是非臨床経験を教えていただけますと幸いです。 限局性筋炎(focal myositi)は1977年Heffnerが報告したことに端を発しま […]

救急診療「好手と悪手」 medicina増刊号2021

ここのところほとんど更新出来ておらず大変申し訳ございません・・・。 私も一部を執筆させていただいた本が出版されます(2021年3月22日発売)ので宣伝させていただきます。本日自宅に届き早速読ませていただいたのですが、他の先生方が書かれた内容が非常に素晴らしい内容で驚いております。救急診療での”pitfall”があますところなく書かれており、増刊号ならではの誌面制限に縛られな […]

薬剤性肝機能障害 DILI: drug induced liver injury

入院患者さんの肝逸脱酵素上昇の原因として最も多いものは薬剤性です。ついつい場当たり的に薬剤を中止してしまうことがあるため予め体系的なアプローチを構築することが必要と思っています。本題と関係ないですが、ここ最近投稿が滞ってしまっており申し訳ございませんでした。 薬剤性肝機能障害 ・通常薬剤開始後5-90日で起こる。無症候性の軽症例から急性肝炎を呈する重症例まで臨床像の幅が広い。入院中の肝逸脱酵素上昇 […]

整腸剤 probiotics

整腸剤はなんとなく処方してしまう薬の代表格ですが、本当に必要か?という点を突き詰めるとなかなか使用の根拠にたどり着くことが難しいです。海外の大規模臨床試験で使用されている菌種と日本の薬剤の菌種が違うなどそのまま結果をapplyしづらい点もありますが、調べた内容を簡単にまとめます。 製剤まとめ ・「どの製剤を選ぶべきか?」という明確な基準・根拠はない(菌種も海外と日本で違いもありエビデンスに乏しい) […]

経腸栄養

今回はアンケートにお答えして「経腸栄養」に関してまとめます。栄養は「こうしないといけない」という決まりがなく(栄養剤を比較してハードアウトカムに差が生じることはまずない)、その分「じゃあ結局どうすればよいの?」となりやすい分野と思います。施設によってやり方やローカルルールが多々あるためますます混乱を招きやすいですが、私は大まかな原則に則ってあとはゆるく許容するスタイルで良いのではないかと考えていま […]

アンケートのご案内

いつもホームページ「医学事始」(いがくことはじめ)をお読みいただき大変有り難うございます。本ホームページは2019年に開設いたしましたが、おかげさまで記事の数も増えて、本記事でちょうど400になりました。 まだまだ至らない点も多いため、さらなる本サイトの運営向上のためアンケートを実施させていただいております。以下のリンクからGoogleのアンケートフォームにアクセス頂けます。お忙しいところ大変恐縮 […]

ペースメーカー 非専門医の理解

1:言葉の表記 1文字目:刺激する部位(Pacing)・これは純粋にペースメーカーのリードがペーシングをする部位を意味しています。心房はAtriumのA、心室はVentricleのV、両方の場合はDualのDと頭文字で表現します。 2文字目:感知する部位(Sensing)・ここでは自己脈を感知する部位を意味します。表記は1文字目の刺激部位と同様です。 3文字目:制御する方法(応答)・2文字目で感知 […]

滑車神経麻痺 trochlear nerve palsy

解剖・病態 ・滑車神経は上斜筋(眼を下内転+内旋させる作用)を支配しています。・滑車神経麻痺では上下方向の複視を訴えます(下図参照)。複視へのアプローチに関する一般的な内容はこちらをご参照ください。・病歴上の特徴は特に下を向く時(階段を下る時・読書など)に増悪することと、頭位により増悪を認める(患側に傾けると悪化する)ことが挙げられます。 ・滑車神経麻痺では眼は患側が上斜位になり、これは特に患側眼 […]

医学知識の賞味期限

膨大な医学の知見が世界中で日々更新されています。そのなかで医学知識には「一度身につけるとずっと役に立つ知識」と、「どんどん更新されていき賞味期限がきてしまう知識」の2種類あると日々臨床で感じます。この「医学知識の賞味期限」という点に関して、特に医学生や初期研修医の先生方の学習・教育の観点から記事を書かせていただきます(内科よりの話になってしまい恐縮です)。 経年劣化しない知識と賞味期限がくる知識の […]

PCB variant (pharyngeal-cervical-brachial variant of GBS):咽頭頸部上腕型GBS

病態/臨床像 ・咽 頭 頸 部 上 腕 型 GBS(pharyngeal-cervical-brachial variant of GBS:PCB)は球麻痺が前景に立つギラン・バレー症候群の亜型で(下図オレンジ色文字が該当)、1986年にRopperが報告したことに端を発します(ギラン・バレー症候群の一般的事項に関してはこちらをご参照ください)。・球麻痺で発症し、その後症状分布が下行性に拡大してい […]