ペースメーカー 非専門医の理解

1:言葉の表記

1文字目:刺激する部位(Pacing)
・これは純粋にペースメーカーのリードがペーシングをする部位を意味しています。心房はAtriumのA、心室はVentricleのV、両方の場合はDualのDと頭文字で表現します。

2文字目:感知する部位(Sensing)
・ここでは自己脈を感知する部位を意味します。表記は1文字目の刺激部位と同様です。

3文字目:制御する方法(応答)
・2文字目で感知した刺激をどう制御するか?を表現するのが3文字目になります。以下の2通りの方法があり、どちらも行う場合はDuralのDで表現します。
T(同期:triggered):これは感知した刺激に基づいて刺激をすることを意味します。
I(抑制:inhibited):自己脈を感知したらペーシングを抑制することを意味します。

2:モードと適応

おそらく循環器非専門医はDDD/DDIとVVIだけ把握しておくと充分と思います。

VVI

■適応:心房細動での徐脈性不整脈(徐脈性心房細動) もしくはフレイル状態でのペースメーカー留置、テンポラリーペーシング
原理:心室での刺激を感知(V sense)して、設定以上の心拍数の場合はペーシング刺激を抑制(Inhibited)し自己心拍を残すが、設定以下の心拍数の場合は心室をペーシング刺激(V paicin)する。心房に関しては全く関与しない(sensingもしないし、pacingもしない)。

・心房細動などで心房のレートが速くなった場合(例えば300回/分)でもAとVが独立しているため問題ない。例えば制御方法がT(同期:triggered)の場合、心室のレートは心房のレートと同期するため同じになってしまい問題になる。この場合はVで感知し、Vで刺激をするVVIの方が望ましい。
・Single-Chamber Pacemakerで心室のみに留置するため、リードレスペースメーカーの適応となる(患者さんが寝たきりや鎖骨した静脈の状態によって留置が難しい患者さんでも使用できる)。ただ今後リードレスのDDIも出てくるようです。
■欠点
・心房収縮を無視しているので(心房と心室は独立)心房からの血液流入と同期せず、左室にとっての前負荷が減少し心拍出量が低下してしまう。このように生理的な心房と心室の収縮リズムが乱れることが問題。
・心室を刺激するため、刺激伝導系を経由せず脚ブロックとなる(左右心室の同期性が低下する)。

DDD

適応:徐脈性不整脈全般(先程の徐脈性心房細動は除く)
原理
・心臓の電気刺激は生理的には「心房→房室結節→心室」へと伝わることで、心房が収縮し心室に血液が流入し、その後心室が収縮することで心房から流入した血液を全身に駆出するというプロセスを経る。この「心房刺激→心室刺激」という生理的な刺激の順番を維持するための方法がT(同期:triggered)である。
1:VATでは心房での刺激を感知すると、その後決められた時間(この時間を“AV delay”と表現する)の後に心室ペーシング刺激が入る。
2:AAI:更に心房で下限レートより早く自己脈を捉えた場合は、心房刺激を抑制(Inhibited)する。
3:VVI:また心室で心房刺激後のAV delayよりも早く心室自己脈を捉えた場合は心室ペーシングを抑制(Inhibited)する。
→このVAT、AAI、VVIの機能を同時に兼ね備えたものがDDDである。つまり心房自己脈もしくは心房ペーシングの後、AV delay以内の心室自己脈もしくはAV delay後に心室ペーシングを入れることで生理的な心房→心室刺激に近い状態を再現している。

・またDDDには上限レートの設定がある。上限レートは心房のレートが速くなりすぎてしまった場合に、上限レート以上の心室ペーシングはしないという設定である。例えば上図では「上限レート=120回/分」に設定しており、心房細動で心房のレートが300回/分になってしまった場合は、120回/分までは心室ペーシングを行うが、残り300-120=180回/分は心室ペーシングを行わない。

■モードスイッチに関して

・かといってずっと心房細動が持続していると、心室レートは上限レートの120回/分を維持することになってしまう(心室の頻脈が持続してしまう)。このため心房細動の期間だけT(同期:Triggered)を辞めたDDIもしくはVDIにモードを自動的に切り替える方法をモードスイッチを表現する。
・VVIで良さそうに思うが(前述の通り)、心房細動が洞調律に戻ったところを感知しないといけないため、感知にAを残す必要がある。このためVVIでは不十分でVDIもしくはDDIとなる。

以上ペースメーカーに関して非専門医の立場からまとめさせていただきました。間違いなどございましたらご教授いただけますと幸いです。

参考文献
・前に私が勤めていたA病院の循環器内科K先生・S先生に教わった内容も多く記載させていただきました。いつもご教授いただき大変有り難うございます。
・「個人授業 心臓ペースメーカー」 監修:永井良三先生、執筆:杉山裕章先生、今井靖先生

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