整腸剤はなんとなく処方してしまう薬の代表格ですが、本当に必要か?という点を突き詰めるとなかなか使用の根拠にたどり着くことが難しいです。海外の大規模臨床試験で使用されている菌種と日本の薬剤の菌種が違うなどそのまま結果をapplyしづらい点もありますが、調べた内容を簡単にまとめます。
製剤まとめ
・「どの製剤を選ぶべきか?」という明確な基準・根拠はない(菌種も海外と日本で違いもありエビデンスに乏しい)。
・”R”と名前に付いているものは抗菌薬耐性を意味するが、キノロン系など一部の抗菌薬には耐性を示さない。
・下記が代表的な整腸剤の一覧。
適応
・Clostridium dificcile感染症予防効果はメタ解析で指摘あり(Cochrane Database Syst Rev 2017 Dec 19; 12:CD006095.)*治療ではない点に注意。
・炎症性腸疾患や過敏性腸症候群でも整腸剤使用の明確な根拠はなし。
・小児の急性ウイルス性腸炎での効果はなく、投与は推奨されない( Engl J Med 2018 Nov 22; 379:2002. N Engl J Med 2018 Nov 22; 379:2015. N Engl J Med 2018 Nov 22; 379:2076.)
投与で注意するべき患者背景:免疫抑制者、妊婦、弁膜症患者
*整腸剤による菌血症の報告もあり注意(Pediatrics 2005;115:178–181)
参考文献
・Gastroenterology. 2020 Aug;159(2):697-705.
・Clinical Infectious Diseases 2015;60(S2):S129 – 34