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脳血管障害

脳血管障害と不随意運動

脳血管障害は続発性のmovement disordersのうち22%を占め、また脳卒中側からみると脳卒中全体の1-4%にmovement disorders(パーキンソニズムやchorea, ballism, athetosis, dystonia, tremor, myoclonus, stereotypies, akathisia)を合併するとされています(Lancet Neurol 2013 […]

巨細胞性動脈炎と脳血管障害

巨細胞性動脈炎(GCA: giant cell arteritis)は主にlarge size vesselを障害する血管炎です。先日巨細胞性動脈炎が背景にある患者さんが脳梗塞で入院となり、今まで経験がなかったため既報を調べてみました。 機序 頭蓋内の血管と頭蓋外の血管の違いとして、病理的に頭蓋内の血管は頭蓋外の血管と比較して中膜、外膜の弾性繊維に乏しく、栄養血管であるvasa vasorumを欠 […]

手術・処置における抗凝固薬の休薬

ここでは手術・処置の前にあたって「抗凝固薬をそもそも中止する必要があるのか?」また中止する場合は「いつから中止する必要があるのか?」、「いつから薬を再開するべきか?」に関してまとめさせていただきます。抗血小板薬の休薬に関してはまた別に記載させていただければと思います。 ■DOACに関して”European heart rhythm association”の2018年gui […]

ヘパリンブリッジ

「ヘパリンブリッジ」は慣習的に行われている施設が多いかもしれませんが、近年「ヘパリンブリッジは本当に意味があるのか?」というclinical questionが臨床試験で問われています。自分は今まできちんと元文献にあたれていなかったため調べた内容をまとめさせていただきます(以下では「ワーファリンのヘパリンブリッジ」に関してのみ扱います。DOACのヘパリンブリッジに関してはまた別途記載させていただき […]

視床梗塞 thalamic infarction

視床は感覚情報や意識を伝える中継所を担っています。先日視床前部の脳梗塞によりabuliaが前景に立つ症例を経験したため、勉強させていただいた内容をまとめました。 血管支配 視床を支配する血管は大きく以下の4つに分類されます(下図参照:名称は文献により違いがあるが本記事は以下の名称で統一)。いずれも後方循環由来です。・tuberothalamic artery(Pcom由来 後交通動脈)・param […]

感覚障害のみを呈する脳梗塞 Pure sensory stroke

感覚障害のみを呈する(つまり運動症状を呈さない)脳梗塞としては視床が有名ですが、脳幹部の限局性梗塞でも感覚障害のみの脳梗塞を呈する場合があり注意が必要です。 ■Pure sensory strokeの疫学に関して J Neurol (2005) 252:156–162 この研究では99例のpure sensory strokeの症例があり、全脳卒中の4.7%、脳梗塞の5.4%、ラクナ梗塞の17.4 […]

中脳梗塞 midbrain infarction

ここでは中脳の解剖と中脳に限局した脳梗塞(pure midbrain infarction:つまり中脳以外の部分には梗塞巣を認めない)に関してまとめます。 中脳の解剖・血管支配 中脳の構造は下図のようになっています。・動眼神経核:中脳の脳神経で最も重要な脳神経は動眼神経です。内側に位置しており、脚間窩へ走行しています。・大脳脚:内包を経由した下降性投射線維の集合体です。皮質脊髄路(錐体路)の線維が […]

尾状核梗塞と無為 abulia

尾状核梗塞は経験したことがあると病歴だけから診断することが可能である点が個人的には好きな疾患です。以下で解説していきます。 無為 abulia 脳梗塞の診断は今までの記事でも何度か書いておりますが1:神経学的巣症状(focal neurological sign)から病巣を推定することと、2:病歴から血管障害を示唆する突然発症(sudden onset)を取ることの2点が極めて重要です(むしろこれ […]

分水嶺領域の脳梗塞 watershed infarction

0:分類と解剖 2つの主幹動脈の境界部分を分水嶺領域(watershed area/ border zone)と表現し、同部位に脳梗塞をぶきたす場合があります(脳梗塞全体の約10%を占めるとされています)。分水嶺領域は“external(cortical) border zone”と“internal(subcortical) border zone” […]

脳静脈血栓症 CVT: cerebral venous thrombosis

病態 ・若年脳卒中の原因として重要です(全脳卒中の0.5-1.0%を占めると報告されています)。女性の方が男性よりも3倍頻度が多いとされていますが、これは妊娠関連や経口避妊薬内服によるリスクなどが寄与しているかもしれません。昨今はCOVID19のadenovirus vector vaccineの副作用/合併症として報告されています。下図は年齢ごとの男女での分布。 ・脳の静脈還流は動脈還流のように […]