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脳血管障害

上肢単独麻痺を呈する脳血管障害

解剖 Penfieldのホムンクルスは脳の体部位局在を考える上で欠かせない知識になります。体部位局在の面積を体積に置き換えて人形にしたものが下図になります。見ていただくと分かる通り手が非常に大きな体積を占めていることが分かります。そして、このことを反映してどこかの部位単独の脳血管障害では上肢単独が最も多いです。脳血管障害というと半身が障害されるイメージがあるかもしれませんが、「上肢だけが障害される […]

遺伝性脳小血管病

若年性脳血管障害で特に塞栓機序ではなく、小血管病を疑う場合に考慮すべきが遺伝性脳小血管病です。疾患名も遺伝子名も非常に覚えにくくややこしい領域ですが、勉強した内容をまとめます。 CADASIL :cerebral autosomal dominant arteriopathy with subcortical infarcts and leukoencephalopathy 遺伝子:NOTCH3遺 […]

半卵円中心梗塞 centrum ovale infarct

解剖 ・半卵円中心(centrum ovale):側脳室上端より上の部分(側脳室がaxial像で見えていないレベル) *卵を半分に割ったようみみえることが「半卵円」という名前の由来・血管支配:髄質枝(脳表を走行する血管から垂直に脳室方向へ向かう枝)が主体*半卵円中心の一部はACAとMCAの境界還流領域(分水嶺)に該当する(external border zone)*分水嶺領域の梗塞に関してはこちら […]

Long insular artery infarction

先日”Long insular artery infarction”がカンファレンスで話題になり、今まで全く調べたことがなかったため調べた内容をまとめます。ついついLSA領域の梗塞と判断してしまいがちな点が落とし穴です。脳血管障害も日常診療でよく遭遇しますが、奥が深いですね。 解剖 島”insula”を支配する血管は中大脳動脈のM2から主に分枝し、& […]

手口症候群 “Cheiro-Oral Syndrome”

手口症候群(cheiro-oral syndrome)は特異な神経症候を呈することで比較的有名で、神経の専門ではない先生もご存じの方が多いかもしれません(”cheiro”はギリシャ語で「手」を意味するようで、「カイロ(cheiro)プラクティック」の語源はここから来ているそうです)。文献できちんと調べてまとめられていなかったため、ここで調べた内容をまとめます。手口症候群とい […]

一過性脳虚血発作 TIA: transient ischemic attack

個人的にはTIAの診断は病歴聴取能力をよく反映した疾患と思っており、研修医の先生にも積極的に指導している疾患です。高齢者の「なんとなくちょっと調子がわるかった」が全てTIAになってしまうとその後ずっと抗血栓薬を内服しつづけないといけない代償が大きいですし危険です。 臨床像/診断のポイント ・神経症状の持続時間は通常「秒から分単位」(通常1時間以内)のことが多いです。これより長い時間だと通常梗塞とし […]

延髄内側梗塞 medial medulla infarction

延髄の脳血管障害は特にPICA領域の梗塞による延髄外側症候群(Wallenberg症候群:詳しくはこちらをご参照ください)が有名ですが、延髄内側の梗塞もしばしば遭遇します(脳梗塞全体の0.5-1.5%と報告されています)。対側の運動障害(顔面を除く)、対側の深部感覚障害と同側舌下神経障害を3徴としたDejerine症候群(「デジェリン」と読みます)を呈することが有名です。 延髄の解剖・血管支配 血 […]

脳血管障害と「てんかん」

てんかんの言葉に関しては既に別のチャプターで解説していますが(こちらをご参照ください)、脳血管障害後の発作に関しては脳血管障害と発作の発症時期によって分類します(下図の分類も参考にしてください)。・急性症候性発作(acute symptomatic seizuresもしくは“early seizure“とも表現):脳血管障害発症の7日以内(文献により時期が違う場合あり)・非 […]

脳卒中のDVT予防

脳卒中(脳梗塞・脳出血)に合併するDVT予防に関しての代表的な文献をまとめます(入院患者一般に関するDVT予防はこちらにまとめがありますのでご参照ください)。結論を先にまとめると次の通りです。 ・脳卒中のDVT合併予防に間欠的空気圧迫法が推奨される。・弾性ストッキングは使用しないことを推奨(DVT合併予防効果がなく、皮膚トラブルが増加するだけのため)。 *間欠的空気圧迫法はIPC(intermit […]

脳血管障害と不随意運動

脳血管障害は続発性のmovement disordersのうち22%を占め、また脳卒中側からみると脳卒中全体の1-4%にmovement disorders(パーキンソニズムやchorea, ballism, athetosis, dystonia, tremor, myoclonus, stereotypies, akathisia)を合併するとされています(Lancet Neurol 2013 […]