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脳血管障害

良い病歴・悪い病歴 脳梗塞version

研修医の先生方から「何が良い病歴で、何が悪い病歴なのかよくわからない」という質問をよく頂きます。病歴のとり方は現場で逐一直接指導する方法が最も効果的ではありますが、紙面で伝えられる範囲で伝えられればと思います。漠然と説明しても伝わらないと思いますので、ここでは脳梗塞での病歴を例に挙げてまとめさせていただきました。なかなかイメージしづらいかもしれないですが、少しでも参考になりましたら幸いです。 悪い […]

円蓋部くも膜下出血 convexity subarachnoid hemorrhage: cSAH

くも膜下出血で有名なのは動脈瘤が破綻することによる脳底部のくも膜下出血ですが、円蓋部脳表の血管が破綻することにより円蓋部くも膜下出血(cSAH: convexity subarachnoid hemorrhage)をきたす場合があり、これは通常一般的な動脈瘤によらないものです。円蓋部くも膜下出血はその原因がある程度限られており、鑑別疾患を把握しておくと診断を絞りやすくなるためここで解説します。個人 […]

AICA梗塞

AICA(anterior inferior cerebellar artery:前下小脳動脈)は中小脳脚、橋外側部、小脳などを還流しています。AICA梗塞は脳血管障害で唯一難聴を呈する点で重要です。頻度はかなり稀ですが、「めまい」、「難聴」の救急で特に重要なためここでまとめます。 血管解剖 内耳を栄養する迷路動脈はAICAからの分枝になります(下図参照)。AICA梗塞の原因としてはAICA自体の […]

Trousseau症候群による脳梗塞

病態 Trousseau症候群は腫瘍に伴う過凝固状態による塞栓症を表しますが、文献によってはこの表現は使用さえておらず、pub medでもhitする数は少ないです。腫瘍由来の過凝固状態には多段階の機序が作用しているとされており(下図はBlood. 2007;110:1723-1729より引用)、抗凝固療法もDOACやワーファリンでは不十分で多段的に作用する未分画ヘパリンが有用とされています(実際に […]

PICA単独解離 isolated PICA dissection

椎骨動脈解離は有名ですが、実はPICA(後下小脳動脈:posterior inferior cerebellar artery)に単独で解離を認める場合もあります。私はPICA単独解離を1例経験があり、勉強した内容をここでまとめさせていただきます。PICA領域の梗塞で、etiologyが分からずリスク因子に乏しい場合はPICA単独解離も考慮するべきと思います。 PICA単独解離の臨床上の特徴 PI […]

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)

Wallenberg症候群(延髄外側症候群)は延髄外側が障害された場合に呈する神経症候をまとめた「症候群」です。原因には脳出血、脳梗塞、腫瘍などがありますが、原因のほとんどが脳梗塞によるものです。そのためここでは延髄外側梗塞によるWallenberg症候群(延髄外側症候群)の特徴をまとめていきます。 疫学 以下の具体的なデータは延髄外側梗塞130例を扱った文献(Brain (2003), 126, […]

大動脈解離と脳梗塞

急性期脳梗塞診療は「いかに大動脈解離を除外するか?」というテーマを常に抱えています。大規模な3次救急病院では年1例くらいは脳卒中搬送で実は原因が大動脈解離であったということがあるのではないでしょうか?しかし、初発症状で神経所見を呈する大動脈解離は典型的な疼痛を訴えることが少なく診断が難しいことが知られており、rt-PA投与は禁忌で致死的になりうるため注意が必要です。ここではその特徴を文献的にまとめ […]

Critical Illness–Associated Cerebral Microbleeds

脳実質内の微小出血はCAA(cerebral amyloid angiopathy)や高血圧性に認める場合が有名ですが、低酸素血症にさらされた重症患者に多発微小出血を認める場合がありこれを”Critical illness-associated cerebral microbleeds”と表現します(全てはStroke. 2017;48:1085-1087から参照させていた […]

脳梗塞急性期での血糖管理

ここでは脳梗塞急性期での血糖管理をどの程度するべきなのか?に関してその背景となった研究などをまとめます。ガイドラインでは脳梗塞急性期での血糖管理は140~180mg/dLを目標とするようになっています。結論から申しあげると下記の通りです。 脳梗塞急性期の高血糖は予後不良因子 脳梗塞急性期の高血糖が予後不良因子であることはかつてから指摘されていました。(以下NEUROLOGY 2002;59:67– […]

脳梗塞 脂質管理

スタチンによるLDL低下介入の臨床研究のそのほとんどが冠動脈疾患2次予防に対する介入の研究で、脳梗塞に対する2次予防の臨床試験は実は多くありません。ここではこれまで分かっていることを中心にまとめていきます。 結論からまとめると下記の通りです。 今までのstudyをまとめると下記の通りで、ほとんどが1次予防のデータで、2次予防のデータは”SPARCL”が代表です。スタチンによ […]