注目キーワード

脳梗塞急性期での血糖管理

ここでは脳梗塞急性期での血糖管理をどの程度するべきなのか?に関してその背景となった研究などをまとめます。ガイドラインでは脳梗塞急性期での血糖管理は140~180mg/dLを目標とするようになっています。結論から申しあげると下記の通りです。

脳梗塞急性期の高血糖は予後不良因子

脳梗塞急性期の高血糖が予後不良因子であることはかつてから指摘されていました。(以下NEUROLOGY 2002;59:67–71より)656人の脳梗塞患者40%に高血糖を認め、血糖値130mg/dl以上を高血糖と定義すると、高血糖と短期的、長期的予後不良との間に相関関係があることが指摘されました(30日後 HR:1.87, 1年後:1.75, 6年後:HR:1.41)。

しかし前向き研究が不在の状況でしたので、2007年Lancet Neurologyに”GIST-UK”という脳卒中急性期にける血糖厳格管理のRCTが発表されましたが、これは両群でほとんど血糖値の差がつかず(両群での差は10mg/dL)、recruitment人数も不十分問題が多くあり、この研究からは十分な結論が出せない状況でした(Lancet Neurology 2007;6:397)。そこで2019年JAMAより”SHINE”trialという前向き研究が発表されました。

前向き研究”SHINE”

発症12時間以内の高血糖急性期脳梗塞患者を厳格血糖管理群と標準管理群に分けて行われたRCTで、90日後のmRSに有意差はありませんでした。AHA/ASAによる血糖管理のガイドラインはこの研究よりも前に発表されたものですが、結果このガイドラインの推奨(140-180mg/dL)を裏付ける形となりました。

mRS

両群での血糖推移