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2021年10月

腹部大動脈瘤 AAA: abdominal aortic aneurysms

NEJMから腹部大動脈瘤 AAA: abdominal aortic aneurysmsのマネージメントに関してのreviewが出たため、読んだ内容をまとめたいと思います(N Engl J Med 2021;385:1690-8. 一部昔のAAAに関するNEJMのreviewからも引用します N Engl J Med 2014; 371:2101-2108)。 疫学・リスク因子 ■大動脈瘤:3cm […]

妊娠と脳血管障害

妊娠と脳血管障害は神経内科をしているとコンサルテーションとして重要なテーマになります。調べた内容に関してまとめます。本記事で以下に記載する「妊娠関連」という言葉は、「妊娠中+産後6週間以内」という意味で使用していますのであらかじめご了承ください。 妊娠で脳血管障害は増加するのか? ■妊娠と脳卒中の関係に関して N Engl J Med 1996;335:768-74. ・1988-1991年の期間 […]

初期研修でどう勉強するか?

ここでは「初期研修医」の先生に対象を限定して「どう勉強をするか?」というテーマに関して、自分自身の反省点や経験を踏まえて感じることを書かせていただきます。全く違う意見もあると思いますのであくまで一個人の意見として参考になるところがあれば幸いです。 全てを学ぶことは出来ない 研修医になってまず衝撃を受けることは「学ばなければいけない内容があまりにも多すぎる」という点です。私は初期研修の最初救急救命科 […]

RANGE 知識の「幅」が最強の武器になる  著:David Epstein

最近読んで最も面白かった本です。原題は”Why generalists triumph in a specialized world”で、直訳すると「なぜ専門的な世界でジェネラリストが勝つのか?」となります。スポーツ、音楽、勉学などを含めて幅広い領域で「早期から専門的に集中した教育を行うべきか?」それとも「専門特化せずに時間をかけて幅広い知識を身に付けた方が良いか?」という […]

「お前が言うか?」論法は袋小路

今回は医学教育の話です。医学教育に興味があろうがなかろうが学年が上がり教育病院に勤務していると必然的に何らかの形で教育に関与することになります。ここで教育する側の人が最初にぶつかる壁が「いやっ・・そういう自分もあんまりちゃんと出来ていないんだけど・・・自分が教えて説得力があるかな・・・?」という躊躇い(ためらい)かと思います。自分も研修医2年目になったときに教えながら「うーん・・・とは言ったものの […]

島(insula)と脳梗塞

本日カンファレンスで島(insula)梗塞の議論になりました。島(insular)は脳の中でも臨床的にはなかなか謎に包まれた部位と思います。あまりすっきりした内容にはなっていなくて恐縮ですが、学んだ内容をまとめます。 島(insula)の解剖と機能 中心島溝(central insular sulcus)により前部と後部に解剖学的には分かれます。 動脈支配:中大脳動脈(MCA)のM2から還流(AC […]

Kluver-Bucy syndrome クリューバー・ビューシー症候群

単純ヘルペス脳炎の患者さんで議論になったテーマです。Heinrich Kluver先生とPaul Bucy先生が1939年に発表したことに端を発します。ここではAuroraと名付けられたサルに対して両側側頭葉切除術が行われた後の様子を観察して記述されました。 人間での報告は1955年にTerzian先生とOre先生が19歳男性でてんかんコントロールのために両側側頭葉切除術を実施された患者さの報告に […]

脳梁病変

脳梁の解剖 ・脳梁(のうりょう: corpus callosum)は左右大脳半球を連絡する最大(約2億本)の繊維束(白質)です。その他左右の大脳半球を連絡する交通線維は前交連、海馬交連が存在します。 ・膨大部:PCAからの血流支配・膨大部以外:ACAからの血流支配 脳梁障害による神経症候 ■左半球機能の伝導障害:言語処理を左半球で行う際に右半球からの情報が脳梁障害により左半球に伝達されないと生じる […]

limb-shaking TIA

極めてまれだけれど知らないと診断できず、注意が必要な不随意運動の鑑別としてlimb-shaking TIAがあります。高度内頚動脈狭窄(または閉塞)を背景として対側の四肢に不随意運動を認める症候です。1962年にMiller Fisher先生が症例報告したことに端を発し(CMAJ 1962;86:1091–1099.)、現在は教科書にも載っているくらい有名な症候ではありますが実際臨床現場で出会うこ […]

脳脊髄液減少症/脳脊髄液漏出症

先日久しぶりに脳脊髄液減少症の確定診断例を経験しました。この疾患は緊急性はそこまで高くないのですが、primary care医は知っておくべき疾患です(一見不定主訴にみえるため)。改めて勉強した内容をまとめました。 病態 病態の本質は「硬膜破綻による脳脊髄液の漏出」です。 ただ脳脊髄液が減少している様子を直接観察することが出来ません。ここで重要なのが「モンロー・ケリーの法則 脳 実質+脳脊髄液+血 […]