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神経症候・解剖

心因性と器質性疾患の鑑別

「心因性疾患は精神的ストレスから診断するのではなく、神経症候から積極的に診断するものだ」と教わりました。除外診断ではなく、また心理的なストレス要因が必須ではないとされており、神経症候からきちんと診断するべきです。またこれは医療従事者にもしばしば誤解されていますが、患者さんが意図的に医療者を惑わす「詐病」とは根本的に異なります(患者さんが意図的に行っている訳では全くない)。ヒステリーとの鑑別を通じて […]

振戦 tremor

振戦(tremor)は主動筋・拮抗筋が交互に収縮を繰り返す相反性(reciprocity)と律動性がポイントです。日常臨床ではよく遭遇するテーマなのでここで勉強した内容をまとめます。 分類 ■姿勢状況による分類 ・静止時振戦 resting tremor (代表)パーキンソン病・姿勢時振戦 postural tremor (代表)本態性振戦、甲状腺機能亢進症・動作時振戦 action tremor […]

上肢単独麻痺を呈する脳血管障害

解剖 Penfieldのホムンクルスは脳の体部位局在を考える上で欠かせない知識になります。体部位局在の面積を体積に置き換えて人形にしたものが下図になります。見ていただくと分かる通り手が非常に大きな体積を占めていることが分かります。そして、このことを反映してどこかの部位単独の脳血管障害では上肢単独が最も多いです。脳血管障害というと半身が障害されるイメージがあるかもしれませんが、「上肢だけが障害される […]

三叉神経 trigeminal nerve

解剖 ・三叉神経は主に顔面の感覚を伝える働きを担い(耳より前の部分)、末梢ではⅤ1, Ⅴ2, Ⅴ3の3つに分類されます(Ⅴ3のみ運動成分を持ちます)。対側の視床に情報を伝え、視床と同側の大脳皮質へ情報を伝えます。・三叉神経の解剖の特徴を挙げると「三叉神経脊髄路は一度脊髄まで下降して左右交差してから再度上行する」という奇怪な走行をきたす点が挙げられます(脳神経の中でもかなり特殊です)。この特殊な解剖 […]

Hessチャート “Hess chart”

「Hess赤緑試験」とも表現する眼球運動を評価するための検査方法です。眼科で行う検査ですが、神経内科では眼球運動障害、複視を多く扱うためどのような検査なのか?またどのように結果を解釈するか?を知っておく必要があると思い勉強した内容をまとめます。 1:原理 右眼と左眼をそもそもどのようにして分離するか? 検査の原理がわからない場合はその検査を1から組み立てる気持ちになるとわかりやすくなることが多々あ […]

視空間認知

視空間認知障害の分類 1:背背側経路 “How”:意識に上らない行為 「視覚性運動失調」、「把握の障害」2:腹背側経路 “Where”:対象物の位置、座標 「半側空間無視」、「視覚性注意障害」3:腹側経路 “What”:対象物の形 「視覚性失認」(物体・相貌・街並)、「大脳性色覚障害」 1:背背側経路の障害 “Ho […]

手口症候群 “Cheiro-Oral Syndrome”

手口症候群(cheiro-oral syndrome)は特異な神経症候を呈することで比較的有名で、神経の専門ではない先生もご存じの方が多いかもしれません(”cheiro”はギリシャ語で「手」を意味するようで、「カイロ(cheiro)プラクティック」の語源はここから来ているそうです)。文献できちんと調べてまとめられていなかったため、ここで調べた内容をまとめます。手口症候群とい […]

失行 apraxia

麻痺や失調があるわけではないが、運動を正しく遂行することが出来ない状態。分類の系統は確立しきっていないところもあるため言葉に注意が必要。左半球の頭頂葉の障害で両上肢に認める場合が多い(失語に合併する場合が多い) 肢節運動失行 limb-kinetic apraxia 病態:手先が不器用になってしまう 観念運動性失行 ideomotor apraxia 病態:社会慣習で意味が決まっている信号的な動作 […]

頭痛へのアプローチ headache

ここでは特に救急外来で問題となる突然~急性経過の頭痛へのアプローチをまとめます(慢性頭痛に関しては詳しく取り上げていません)。私の個人的な見解も多く入っていますが、参考になりましたら幸いです。 アプローチのポイント ・”SNOOPE”で2次性頭痛を示唆するred flagを確認する。1つでも合致する場合は2次性頭痛の検索のためまず頭部CT検査を行う。・神経学的巣症状/所見が有れば2次性頭痛を示唆す […]

滑車神経麻痺 trochlear nerve palsy

解剖・病態 ・滑車神経は上斜筋(眼を下内転+内旋させる作用)を支配しています。・滑車神経麻痺では上下方向の複視を訴えます(下図参照)。複視へのアプローチに関する一般的な内容はこちらをご参照ください。・病歴上の特徴は特に下を向く時(階段を下る時・読書など)に増悪することと、頭位により増悪を認める(患側に傾けると悪化する)ことが挙げられます。 ・滑車神経麻痺では眼は患側が上斜位になり、これは特に患側眼 […]