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神経症候・解剖

外側大腿皮神経 lateral femoral cutaneous nerve

解剖 ・外側大腿皮神経はL2,3の神経根から起始し、骨盤内で腸骨筋の表面を走行し、上前腸骨棘の約2cm内側(平均1.90cm Hernia 2016; 20:649–657)と報告あり で鼠径靭帯と縫工筋に挟まれるようなかたちで骨盤外へ出て、大腿外側へ分布します(純粋感覚性の神経)。 ・剖検での解剖は下図の通りです。 異常感覚性大腿神経痛 ・外側大腿皮神経は絞扼性末梢神経障害の原因として重要で、& […]

腋窩神経 axillary nerve

解剖 神経根:C5由来→腕神経叢:後神経束 *腕神経叢の解剖に関してはこちらをご参照ください。走行:外側腋窩隙(四角隙)を通過して三角筋、小円筋、上腕外側へ分布する。*外側腋窩隙(quadrilateral space):上腕三頭筋長頭、小円筋、大円筋、上腕骨で形成される支配筋:三角筋(肩関節外転)、小円筋(上腕外旋) *上腕外旋は棘下筋も担っている感覚支配:上腕外側(上腕外側皮神経) 腋窩神経麻 […]

Jolt accentuationと髄膜炎

“Jolt accentuation”は「頭部を自動的あるいは他動的に動かす(1秒間に2-3回首を回旋させる)と頭痛が増悪する」ことを意味し、髄膜炎を疑った際に用いる身体所見です(細菌性髄膜炎の一般に関してはこちらをご参照ください)。内原俊記先生が1991年Headacheに発表されたことに端を発します(Headache 1991;31:167)。 元々Kernig徴候やB […]

どのような病歴が「良い」病歴なのか?

「何が良い病歴で何が悪い病歴か?」正直私が初期研修医のときはあまり分かっていませんでした。とりあえず聞きまくればいいのかな?となんとなく思ってただ「長い病歴が良い病歴」と勘違いしていたように思います。ここでは何が良い病歴なのか?に関して私の考えを書かせていただきます。 患者さんの言う言葉をそのまま病歴にすれば良い訳ではない 私は普段神経内科医として外来をしていますが、パーキンソン病患者さんのフォロ […]

尾状核梗塞と無為 abulia

尾状核梗塞は経験したことがあると病歴だけから診断することが可能である点が個人的には好きな疾患です。以下で解説していきます。 無為 abulia 脳梗塞の診断は今までの記事でも何度か書いておりますが1:神経学的巣症状(focal neurological sign)から病巣を推定することと、2:病歴から血管障害を示唆する突然発症(sudden onset)を取ることの2点が極めて重要です(むしろこれ […]

Dropped head 首下がり

首下がりはしばしば「年齢のせいですよ」とされてしまい、器質的な原因が精査されていない場合がありますが、中にはtreatableな疾患もまぎれているため重要です。以下に勉強した内容をまとめました。首下がりは英語文献では様々な表現がされますが、ここでは”dropped head”という表現で統一します。 原因 首下がり病態の原因としては以下の3つが挙げられます。病態1:頸部筋力 […]

多発神経根症 polyradiculopathy

神経根障害は頚椎症性神経根症と腰椎症性神経根症が頻度として圧倒的に多いです。しかし、それだけではなく胸髄領域の神経根が障害される場合もあれば、複数の神経根が同時障害される多発神経根症を呈するものもあります。ここではminorな多発神経根症の鑑別をまとめます。 どの部位の障害か? 以下にどの部位の神経根が障害されるとどのような症状が出現するかの対応を記載します。 頸髄神経根:頚部痛(~肩甲骨周囲の疼 […]

橈骨神経麻痺 radial nerve palsy

解剖 ・橈骨神経(radial nerve)は腕神経叢の後神経束から分岐し、上腕骨のまわりを巻き付くように走行し(橈骨神経溝)、肘周囲で深枝(後骨間神経:運動神経)と浅枝(浅橈骨神経:感覚神経)に分岐します。内在筋は手背には存在しないため、内在筋は支配していません。 ・指伸筋(C8・下神経幹)はMP関節の伸展を担います。PIP関節、DIP関節の伸展は手内筋(虫様筋、骨間筋)が主に作用するため、指伸 […]

筋皮神経障害 musculocutaneous nerve palsy

解剖 筋皮神経(musculocutaneous nerve)・神経根:C5,6・腕神経叢:外側神経束、上神経幹・支配筋:上腕二頭筋、上腕筋、烏口腕筋*原則:筋皮神経は上腕屈筋を支配する(上腕筋は例外的に筋皮神経と橈骨神経の二重支配)*C5神経根障害で三角筋と上腕二頭筋の筋力低下が解離することが通常ないのでこの点がC5神経根症との鑑別点となります。・感覚領域:前腕橈側・掌側(外側前腕皮神経:lat […]

胸髄病変の神経診察

頚髄領域、腰髄領域はそれぞれ手、足があるので運動障害によるレベルの同定がやりやすいですが、胸髄領域は運動からのレベルの同定が難しいです。ここでは胸髄病変によるレベルの同定に役立つ神経診察を紹介します。 Beevor徴候 Beevor 徴候とは,「仰臥位になった患者の頭部を挙上させると臍が上方へ移動する現象」を表します。正常では頭部を挙上させようとしても臍の位置は変わりません。これは上部腹直筋と下部 […]