注目キーワード
CATEGORY

神経症候・解剖

眼位の評価・斜視 strabismus

そもそも眼位がずれているかどうか? ・眼位のずれ(斜視 strabismus)は大きな眼位のずれであれば誰にでもわかるのですが、わずかな眼位のずれをぱっと見ただけでは検出することは困難です。どうすれば微妙な眼位のずれ(斜視)を検出できるか?をここでは扱います。 ペンライト方(Hirschberg法) coroneal reflex ・ペンライトで眼球に光を当て、光が反射する位置(瞳孔の中央?瞳孔の […]

記憶障害

1:記憶の分類 記憶に関する言葉は沢山あり混乱しやすいですが、何を基準に分類されているかを把握すると理解しやすくなります。具体的には記憶内容による分類、時間軸での分類、発症時点からの分類を以下に載せます。 ■記憶内容による分類 何を記憶しているか?(つまり記憶内容)により分類します。陳述記憶は言葉で表現できる記憶で、物事の意味を表す意味記憶と、昨日○○をしたというようなエピソード記憶に分類されます […]

神経解剖 研修医のための

先日させていただいた初期研修医の先生向けレクチャーの内容をそのまま体裁させていただきます。 1:神経診断の基本 神経での診断の基本は「どの部位の問題なのか?」(病変診断)と「何が原因なのか?」(病因診断)の2つを調べることです。これらを組み合わせて最終的な臨床診断をします。 後者の病因診断では特に「病歴」が重要です。例えば突然発症であれば、血管障害を想起しますし、緩徐進行性の場合は「変性疾患」を想 […]

動眼神経 oculomotor nerve Ⅲ

1:解剖 動眼神経の走行 動眼神経核→髄内神経根→くも膜下腔(脚間窩→PCAとSCAの間)→海綿状脈洞→上眼窩裂→眼窩内という走行をたどります。 神経核の局在解剖 高さ:中脳上丘 部位:内側縦側MLFの内側神経核と神経走行の関係性・上眼瞼挙筋:両側性支配(神経核が中央に1つしかなく、両側性支配)*中脳の障害により両側性の眼瞼下垂をきたす・上直筋:反対側 *注意・その他(内直筋、下直筋、下斜筋):同 […]

瞳孔異常 pupil disorders

1:散瞳・縮瞳の解剖・機序 虹彩の瞳孔散大筋(交感神経支配)と瞳孔括約筋(副交感神経支配:動眼神経)が瞳孔の調節をしています。 交感神経 交感神経は3本の神経線維から構成されます。1:中枢線維:視床下部~毛様体脊髄中枢2:節前線維:毛様体脊髄中枢~上頸神経節3:節後線維:上頸神経節~瞳孔散大筋下にその神経経路をまとめます。 この交感神経経路が障害されるのがHorner症候群です。 ・縮瞳・瞳孔不同 […]

MMT

1:MMT総論 MMTは難しい。その理由として主観的要素が大きく、統一された方法がないことが挙げらます。ある人は「4+」と表現し、ある人は「5-」と表現し、一体「4+」と「5-」は何が違うのだろうと悶々と過ごす日々が続いていると思います。そうすると、「どーせ主観的な検査だし、まあ適当でいいよね」という気分になってしまいMMTからますます遠ざかってしまう悪循環になってしまします。ここでは、どうすれば […]

深部感覚失調 sensory ataxia

0:神経解剖 失調というと小脳失調が有名ですが、深部感覚が障害されても体の位置がわからなくなることで失調が生じます。 外部から皮膚に加えられた刺激は表在感覚と表現し、身体部位の運動・姿勢に関する身体内部(筋肉・骨・関節)由来の刺激を深部感覚といいます(固有感覚:proprioceptive sensation)。普段救急の神経診察ではあまり診察しない項目かもしれませんが、失調(ataxia)の評価 […]

水平性眼球運動 horizontal eye movement

0:水平性眼球運動の機序 水平性眼球運動の機序に関して解説をします(私たちが随意的に水平方向を見るときに眼球をどうやって動かしているか?)。 水平方向を見るときには、前頭眼野(FEF: frontal eye field)からPPRF(paramedian pontine reticular formation:傍正中橋網様体)という側方注視中枢へ刺激が入ります。この刺激は同側の外転神経核に伝わり […]

片側上下肢・運動障害へのapproach

0:片側上下肢(顔面は保たれる)運動障害 ここでは顔の症状はないが、片側上下肢の運動障害を訴える患者へのアプローチを考える。特にここでも脳血管障害と鑑別になる「突然発症」の場合を考えていく。顔を含まなない上下肢の運動障害の場合は、必ず「本当に脳が責任病変でよいのか?」「脊髄が責任病変の可能性はないか?」という視点でのアプローチが重要となる。 1:急性脊髄硬膜外血腫 急性脊髄硬膜下血腫は非常にまれな […]

なぜ上肢Barre検査を脳梗塞疑い患者にするのか?

「上位運動ニューロン」、「下位運動ニューロン」、「神経筋接合部」、「筋肉」という順に電気刺激が伝わることで筋肉は収縮する。それぞれ、上位運動ニューロン下位運動ニューロンの障害を「運動麻痺(motor paralysis)」、神経筋接合部の障害を「筋無力(myasthenia)」、筋肉の障害を「筋脱力(weakness)」と一般的に表現する。 このうち脳梗塞を疑う患者において調べるのは「上位運動ニュ […]