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神経

手口症候群 “Cheiro-Oral Syndrome”

手口症候群(cheiro-oral syndrome)は特異な神経症候を呈することで比較的有名で、神経の専門ではない先生もご存じの方が多いかもしれません(”cheiro”はギリシャ語で「手」を意味するようで、「カイロ(cheiro)プラクティック」の語源はここから来ているそうです)。文献できちんと調べてまとめられていなかったため、ここで調べた内容をまとめます。手口症候群とい […]

PAPT: progressive ataxia and palatal tremor

病態 正確な病因は不明ですが、Guillain-Morralet triangleを形成する経路(下図参照)の障害により延髄下オリーブ核が仮性肥大をきたし、1~3Hz前後の口蓋振戦(palatal tremor)と進行性小脳性運動失調を呈する変性疾患です。(実際には下オリーブ核~下小脳脚~小脳の経路の障害では口蓋振戦は生じず、歯状核か中心被蓋路の障害どちらかの場合が多いとされています)家族性と孤発 […]

CRPS: complex regional pain syndrome 複合性局所疼痛症候群

私は今まで一度も本症候群に出会ったことがなかったのですが、ついに真剣に鑑別診断として考える必要がある状況になりました。全く勉強したことがない分野で(どちらかというとpainやリハビリ領域での文献が多いようです)、勉強した内容をまとめます。どうしても雲をつかむような話も多くなってしまうかもしれませんが、ご容赦ください。 病態・臨床像 もともとは反射性交感神経性ジストロフィー(RSD: reflex […]

一過性脳虚血発作 TIA: transient ischemic attack

個人的にはTIAの診断は病歴聴取能力をよく反映した疾患と思っており、研修医の先生にも積極的に指導している疾患です。高齢者の「なんとなくちょっと調子がわるかった」が全てTIAになってしまうとその後ずっと抗血栓薬を内服しつづけないといけない代償が大きいですし危険です。 臨床像/診断のポイント ・神経症状の持続時間は通常「秒から分単位」(通常1時間以内)のことが多いです。これより長い時間だと通常梗塞とし […]

脳波の基本 EEG: Electroencephalogram

脳波は私の苦手な分野です(いつか得意と自信を持っていえる日は来るのだろうか・・・)。ここ最近は出来るだけ積極的に脳波を読んで訓練を積む努力をしていますが、まだまだ自信がありません。前にホームページのアンケートをさせていただいた際に「脳波」の希望が非常に多かったため、まずは基本的な内容から少しずつ記載していきます。いかんせん量が膨大なので少しずつupdateしていければと思います(まだまだ言葉ばかり […]

失行 apraxia

麻痺や失調があるわけではないが、運動を正しく遂行することが出来ない状態。分類の系統は確立しきっていないところもあるため言葉に注意が必要。左半球の頭頂葉の障害で両上肢に認める場合が多い(失語に合併する場合が多い) 肢節運動失行 limb-kinetic apraxia 病態:手先が不器用になってしまう 観念運動性失行 ideomotor apraxia 病態:社会慣習で意味が決まっている信号的な動作 […]

延髄内側梗塞 medial medulla infarction

延髄の脳血管障害は特にPICA領域の梗塞による延髄外側症候群(Wallenberg症候群:詳しくはこちらをご参照ください)が有名ですが、延髄内側の梗塞もしばしば遭遇します(脳梗塞全体の0.5-1.5%と報告されています)。対側の運動障害(顔面を除く)、対側の深部感覚障害と同側舌下神経障害を3徴としたDejerine症候群(「デジェリン」と読みます)を呈することが有名です。 延髄の解剖・血管支配 血 […]

高齢発症てんかん Epilepsy in the elderly

「てんかん」というと患者さんの多くも「子供の病気」というイメージを持っておられる方が多いですが(ご高齢の方に「てんかん」の病名を告げると多くの場合びっくりされます)、高齢者の神経疾患は1位:脳血管障害、2位:認知症、そして3位:てんかんと高齢者で非常に多い特徴があります。下図の様にてんかん発症頻度は2峰性であり、小児期と高齢者に多く認めます。 原因疾患 脳血管障害(最多)>腫瘍>アルツハイマー型認 […]

脳血管障害と「てんかん」

てんかんの言葉に関しては既に別のチャプターで解説していますが(こちらをご参照ください)、脳血管障害後の発作に関しては脳血管障害と発作の発症時期によって分類します(下図の分類も参考にしてください)。・急性症候性発作(acute symptomatic seizuresもしくは“early seizure“とも表現):脳血管障害発症の7日以内(文献により時期が違う場合あり)・非 […]

脳膿瘍 brain abscess

私が脳膿瘍を初めて経験したのは初期研修医2年目のときで脳膿瘍の初発症状が痙攣重積で救急搬送された症例でした。まったく発熱や頭痛、神経学的巣症状が先行しておらず突然の痙攣重積を呈したイメージが頭に強く残っています。脳神経外科の先生方よりは経験数が圧倒的に少なく恐縮ですが、勉強した内容をまとめます。 病態 感染経路:1:感染の直接波及もしくは2:血行性 起炎菌 ・嫌気性菌(最多):Streptococ […]