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神経

HAM/TSP: HTLV-1 associated myelopathy/tropical spastic paraparesis HTLV-1関連脊髄症

HAM/TSPはヒトT細胞白血病ウイルス1型(Human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)により起こる神経合併症で、特に地域性のある疾患として知られており、私は普段関東で勤務しているため遭遇頻度は極めて低いのですが勉強した内容をまとめます。 感染経路 1:母子感染(垂直感染・母乳感染) 原因として最多・母乳栄養を避けることが感染予防2:性行為感染(水平感染) […]

頭痛へのアプローチ headache

ここでは特に救急外来で問題となる突然~急性経過の頭痛へのアプローチをまとめます(慢性頭痛に関しては詳しく取り上げていません)。私の個人的な見解も多く入っていますが、参考になりましたら幸いです。 アプローチのポイント ・”SNOOPE”で2次性頭痛を示唆するred flagを確認する。1つでも合致する場合は2次性頭痛の検索のためまず頭部CT検査を行う。・神経学的巣症状/所見が有れば2次性頭痛を示唆す […]

限局性筋炎 focal myositis

非常に久しぶりの投稿がかなりマニアックなテーマになってしまい恐縮です(ここ2ヶ月くらい仕事が立て込んでおり投稿できておらず大変申し訳ございませんでした)。最近外来で「限局性筋炎」を鑑別として考える必要のある症例を経験し、勉強した内容をまとめます。ご経験のある方は是非臨床経験を教えていただけますと幸いです。 限局性筋炎(focal myositi)は1977年Heffnerが報告したことに端を発しま […]

滑車神経麻痺 trochlear nerve palsy

解剖・病態 ・滑車神経は上斜筋(眼を下内転+内旋させる作用)を支配しています。・滑車神経麻痺では上下方向の複視を訴えます(下図参照)。複視へのアプローチに関する一般的な内容はこちらをご参照ください。・病歴上の特徴は特に下を向く時(階段を下る時・読書など)に増悪することと、頭位により増悪を認める(患側に傾けると悪化する)ことが挙げられます。 ・滑車神経麻痺では眼は患側が上斜位になり、これは特に患側眼 […]

PCB variant (pharyngeal-cervical-brachial variant of GBS):咽頭頸部上腕型GBS

病態/臨床像 ・咽 頭 頸 部 上 腕 型 GBS(pharyngeal-cervical-brachial variant of GBS:PCB)は球麻痺が前景に立つギラン・バレー症候群の亜型で(下図オレンジ色文字が該当)、1986年にRopperが報告したことに端を発します(ギラン・バレー症候群の一般的事項に関してはこちらをご参照ください)。・球麻痺で発症し、その後症状分布が下行性に拡大してい […]

嚥下障害へのアプローチ “dysphagia”

病態 ・生理的に食塊が経時的にどのように流れていくのか?をまず理解することから始める。先行期→準備期→口腔期→咽頭期→食道期と5つに分けて考えるのが一般的であり、特に後者3つを解説する。 ■口腔期:口閉鎖(Ⅶ)・舌(Ⅻ)で食塊を咽頭へ送る ・必要なこと:食べ物がこぼれないように口を塞ぐ(口輪筋:顔面神経)、舌で食べ物を咽頭へ送る(舌下神経)・口腔期が障害される原因は、顔面神経麻痺(くちからこぼれる […]

Guillain Barre症候群・ギラン・バレー症候群 総論

病態 ・末梢神経の髄鞘もしくは軸索の抗原に対して自己抗体が産生されることで末梢神経障害・神経根障害をきたすことがギラン・バレー症候群(Guillain Barre syndrome: GBS)の病態です。・想定されている病態機序が下図にまとめられています(Nat Rev Neurol. 2016;12(12):723-731.)。全体の約2/3に先行感染(関連のある病原体:Campyro […]

脳卒中のDVT予防

脳卒中(脳梗塞・脳出血)に合併するDVT予防に関しての代表的な文献をまとめます(入院患者一般に関するDVT予防はこちらにまとめがありますのでご参照ください)。結論を先にまとめると次の通りです。 ・脳卒中のDVT合併予防に間欠的空気圧迫法が推奨される。・弾性ストッキングは使用しないことを推奨(DVT合併予防効果がなく、皮膚トラブルが増加するだけのため)。 *間欠的空気圧迫法はIPC(intermit […]

Weber試験・Rinne試験

聴力低下が疑われる場合に簡易的なベッドサイドのスクリーニングとして行われる診察がWeber試験とRinne試験の2つです(音叉が必要です)。基本的な検査ですが解釈が意外と混乱を招きやすいためここでまとめます。 Weber試験 音叉を頭部の正中にあて、「音が左右どちらがより大きく聞こえるか?」を確認します。これは骨導での左右差を確認しています。1:伝音性難聴の場合:患側が大きく聞こえます(「患側へ偏 […]

せん妄 delirium

1:病態 ・せん妄は意識障害の分類ではここでは「一過性」の「覚醒障害」もしくは「認知障害」に該当する(Fig1)。覚醒障害が主体になる場合も、認知障害が主体となる場合もどちらもある。覚醒障害は軽度の覚醒障害を反映した注意障害(何かに集中し続けることが困難)や睡眠覚醒障害を呈する場合が多い。認知障害では見当識障害(特に時間→場所→人の順で障害される)を呈することが多く、また論理的な思考能力も障害され […]