聴力低下が疑われる場合に簡易的なベッドサイドのスクリーニングとして行われる診察がWeber試験とRinne試験の2つです(音叉が必要です)。基本的な検査ですが解釈が意外と混乱を招きやすいためここでまとめます。
Weber試験
音叉を頭部の正中にあて、「音が左右どちらがより大きく聞こえるか?」を確認します。これは骨導での左右差を確認しています。
1:伝音性難聴の場合:患側が大きく聞こえます(「患側へ偏位」と表現)。これは一見すると分かりにくいですが、伝音性難聴では音をより拾おうと患側の感音感受性が上がっておいるためです。このため、骨導がより大きく聞こえます。
2:感音性難聴の場合:健側が大きく聞こえます(「健側へ偏位」と表現)。
Rinne試験
音叉を鳴らした状態でまず患者の乳様突起(耳の後ろに位置している)に音叉を当てます(骨導)。音が聞こえなくなったところで、音叉を乳様突起から離してそのまま耳元に持っていきまだ音が聞こえるかどうか?(気導)を確認します。
正常では気導>骨導で気導時間の方が長くなるため、耳元に音叉を持っていってもまだ音は聞こえます。
1:伝音性難聴の場合:伝音性難聴では気導時間が短くなるため、骨導>気導となります。
2:感音性難聴の場合:感音性難聴では骨導時間が短くなるため、気導>骨導となります。これは正常と同じパターンのためRinne試験だけでは正常か骨導か判断が出来ず、Weber試験と合わせた解釈が必要になります。
解釈のまとめ
Weber試験・Rinne試験ともにややこしくて検査解釈なども混乱しやすいですが、以下にまとめました。もしよければ参考にしてください。
基本的な診察方法ですが、度々混乱してしまう聴神経の診察方法のためまとめさせていただきました。これらはあくまでも簡易的なスクリーニングなので、きちんとオージオメトリー(audiometry)による聴力検査を行うべきです。