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2022年

股関節へのアプローチ

内科医で股関節痛を診療できない訳にはいけません。ここも拙著「内科診療ことはじめ」に記載している内容に準拠していますが、おおまかな鑑別アプローチを身に付けます。 原因 ・まず最初のアプローチは股関節の前方・側方・後方いずれの部位に疼痛があるか?という点から鑑別をすすめていきます。・3大疾患は股関節炎・大転子滑液包炎・腰椎疾患からの放散痛でありこれらで原因の90%以上を占めるとされています。その他は大 […]

肩疼痛へのアプローチ

肩の疼痛は内科でもよく遭遇するproblemで基本的なアプローチを習得する必要があります。拙著「内科診療ことはじめ」に記載している内容とほぼ同じですが、改めてまとめます。 なぜ回旋筋腱板”rotator cuff”が重要なのか? 肩の疼痛は「純粋な肩関節(肩甲上腕関節)自体の問題ではない」ことが多く、実際には回旋筋腱板損傷の問題が多いです。回旋筋腱板は”rota […]

抗LGI1抗体関連脳炎

抗LGI1(leucine-rich, glioma-inactivated 1)抗体関連脳炎は自己免疫性脳炎の中で抗NMDAR脳炎に次いで多い原因として指摘されており認知が広まってきています. 抗VGKC関連抗体としてLGI1とCaspr2への抗体が代表的で前者が辺縁系脳炎(中枢神経)を主体に, 後者が末梢神経を主体な臨床像を呈します. LGI1脳炎38例の臨床像まとめ Neurology ® […]

脳底動脈閉塞への治療介入

脳底動脈閉塞は脳梗塞の中でも極めて神経学的予後が不良なものです. 脳底動脈閉塞に対する血管内治療は元々「救命目的に行うかどうか?」という立ち位置にありましたが, 2022年にNEJMで2つのRCTが発表され, 機能予後改善の意味でも流れが大きく変っています. ここではこの2つのRCTに関して取り上げます. “ATTENTION” N Engl J Med 2022;387:1361-72. まとめ […]

“Practical Office Orthopedics” 著:Edward (Ted) Parks

おすすめの医学書紹介です。私の尊敬するrheumatologyのI先生に教えていただきとても素晴らしい本なので紹介させていただきます。 コンセプトを端的に説明すると「内科医用の整形外科教本」で、primary careなどでも役立つ内容です。英語版しかないのですが(日本語訳本なし)、とても平易な英語で分かりやすく書かれています。教科書の様な堅苦しい感じではなく、語りかけるような文体で、また比喩を沢 […]

“DeJong’s The Neurologic Examination”

医学書の紹介です(完全に神経専門医向けです)。最近購入してはまっているNeurologyの教科書が”DeJong’s The Neurologic Examination”です。臨床神経領域では有名な教科書でずっと存在は知っていたのですが、「なかなか手ごわそうだな・・・」と思って購入するのを躊躇い続けていました(日本語訳本はなし)。新しい職場で改めてNeurol […]

初療医へ敬意を~後医は名医~

私事で強縮ですが最近小生は自分が直接ERで初療を行う機会がめっきり減り、どちらかというと後からの相談を受けるコンサルタントの立場になってきています。このような状況では後出しじゃんけんで「なんでこうなってしまったの?」という態度をとってしまわないよう注意が必要だと感じています。 「後医は名医」という言葉はどなたが言い出したのかは分かりませんが、本質をついた言葉だと思います。時間が経過するにつれて臨床 […]

出血性梗塞 hemorrhagic transformation

特に心原性脳梗塞で問題となるのが出血性梗塞(または脳梗塞の出血転化”hemorrhagic transformation”)です。脳梗塞全体の10-15%程度に認めるとされており、抗血栓薬との兼ね合いが難しくなるところです。心原性脳塞栓症の治療は出血性梗塞と戦っているといっても過言ではないかと思います。なかなかevidenceに乏しい領域ですが(日本の脳卒中ガイドライン20 […]

非外傷性脳出血患者への急性期予防的抗てんかん薬投与 “PEACH” trial

ずっと気になるテーマであった臨床試験がついに発表されざわざわしています(私だけ・・・?)。脳血管障害患者で急性期に抗てんかん薬を予防的に投与することに意味があるのか?というRCTはこれまで存在せず、ガイドラインでも推奨するに根拠が薄いとされてきたためとても重要なテーマです。”PEACH (Prevention of Epileptic seizures at the Acute pha […]