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2021年2月

整腸剤 probiotics

整腸剤はなんとなく処方してしまう薬の代表格ですが、本当に必要か?という点を突き詰めるとなかなか使用の根拠にたどり着くことが難しいです。海外の大規模臨床試験で使用されている菌種と日本の薬剤の菌種が違うなどそのまま結果をapplyしづらい点もありますが、調べた内容を簡単にまとめます。 製剤まとめ ・「どの製剤を選ぶべきか?」という明確な基準・根拠はない(菌種も海外と日本で違いもありエビデンスに乏しい) […]

経腸栄養

今回はアンケートにお答えして「経腸栄養」に関してまとめます。栄養は「こうしないといけない」という決まりがなく(栄養剤を比較してハードアウトカムに差が生じることはまずない)、その分「じゃあ結局どうすればよいの?」となりやすい分野と思います。施設によってやり方やローカルルールが多々あるためますます混乱を招きやすいですが、私は大まかな原則に則ってあとはゆるく許容するスタイルで良いのではないかと考えていま […]

アンケートのご案内

いつもホームページ「医学事始」(いがくことはじめ)をお読みいただき大変有り難うございます。本ホームページは2019年に開設いたしましたが、おかげさまで記事の数も増えて、本記事でちょうど400になりました。 まだまだ至らない点も多いため、さらなる本サイトの運営向上のためアンケートを実施させていただいております。以下のリンクからGoogleのアンケートフォームにアクセス頂けます。お忙しいところ大変恐縮 […]

ペースメーカー 非専門医の理解

1:言葉の表記 1文字目:刺激する部位(Pacing)・これは純粋にペースメーカーのリードがペーシングをする部位を意味しています。心房はAtriumのA、心室はVentricleのV、両方の場合はDualのDと頭文字で表現します。 2文字目:感知する部位(Sensing)・ここでは自己脈を感知する部位を意味します。表記は1文字目の刺激部位と同様です。 3文字目:制御する方法(応答)・2文字目で感知 […]

滑車神経麻痺 trochlear nerve palsy

解剖・病態 ・滑車神経は上斜筋(眼を下内転+内旋させる作用)を支配しています。・滑車神経麻痺では上下方向の複視を訴えます(下図参照)。複視へのアプローチに関する一般的な内容はこちらをご参照ください。・病歴上の特徴は特に下を向く時(階段を下る時・読書など)に増悪することと、頭位により増悪を認める(患側に傾けると悪化する)ことが挙げられます。 ・滑車神経麻痺では眼は患側が上斜位になり、これは特に患側眼 […]

医学知識の賞味期限

膨大な医学の知見が世界中で日々更新されています。そのなかで医学知識には「一度身につけるとずっと役に立つ知識」と、「どんどん更新されていき賞味期限がきてしまう知識」の2種類あると日々臨床で感じます。この「医学知識の賞味期限」という点に関して、特に医学生や初期研修医の先生方の学習・教育の観点から記事を書かせていただきます(内科よりの話になってしまい恐縮です)。 経年劣化しない知識と賞味期限がくる知識の […]

PCB variant (pharyngeal-cervical-brachial variant of GBS):咽頭頸部上腕型GBS

病態/臨床像 ・咽 頭 頸 部 上 腕 型 GBS(pharyngeal-cervical-brachial variant of GBS:PCB)は球麻痺が前景に立つギラン・バレー症候群の亜型で(下図オレンジ色文字が該当)、1986年にRopperが報告したことに端を発します(ギラン・バレー症候群の一般的事項に関してはこちらをご参照ください)。・球麻痺で発症し、その後症状分布が下行性に拡大してい […]

嚥下障害へのアプローチ “dysphagia”

病態 ・生理的に食塊が経時的にどのように流れていくのか?をまず理解することから始める。先行期→準備期→口腔期→咽頭期→食道期と5つに分けて考えるのが一般的であり、特に後者3つを解説する。 ■口腔期:口閉鎖(Ⅶ)・舌(Ⅻ)で食塊を咽頭へ送る ・必要なこと:食べ物がこぼれないように口を塞ぐ(口輪筋:顔面神経)、舌で食べ物を咽頭へ送る(舌下神経)・口腔期が障害される原因は、顔面神経麻痺(くちからこぼれる […]

Guillain Barre症候群・ギラン・バレー症候群 総論

病態 ・末梢神経の髄鞘もしくは軸索の抗原に対して自己抗体が産生されることで末梢神経障害・神経根障害をきたすことがギラン・バレー症候群(Guillain Barre syndrome: GBS)の病態です。・想定されている病態機序が下図にまとめられています(Nat Rev Neurol. 2016;12(12):723-731.)。全体の約2/3に先行感染(関連のある病原体:Campyro […]

脳卒中のDVT予防

脳卒中(脳梗塞・脳出血)に合併するDVT予防に関しての代表的な文献をまとめます(入院患者一般に関するDVT予防はこちらにまとめがありますのでご参照ください)。結論を先にまとめると次の通りです。 ・脳卒中のDVT合併予防に間欠的空気圧迫法が推奨される。・弾性ストッキングは使用しないことを推奨(DVT合併予防効果がなく、皮膚トラブルが増加するだけのため)。 *間欠的空気圧迫法はIPC(intermit […]