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副鼻腔炎と神経合併症

以下の内容は”Neurological Complications of Acute and Chronic Sinusitis. Curr Neurol Neurosci Rep. 2018 Feb 5;18(2):5.”PMID: 29404826.を参照させていただきました。頭部CTを撮影すると副鼻腔炎は偶発的によく認めますが、念のため骨条件で骨破壊などの所見がないか […]

East Asian Paradox

東アジア人は白人と比較して血栓症が少なく、出血合併症が多い傾向があり、2012年Jeongがこの現象を”East Asian Paradox”と表現しています。背景には凝固因子(遺伝性のFactor Ⅴ Leidenなど),食事,肥満,炎症など様々な因子の関与が想定されます。我々臨床医が抗血栓薬に関する大規模臨床試験を読む際は「臨床研究の患者背景がアジア人かどうか?」という […]

呼吸不全と姿勢

呼吸不全の患者さんでは「どのような姿勢をしているか?(=楽になるか?)」が原因疾患を探る上で身体所見上とても重要です。いくつかまとめようと思います。病態としては静脈還流量,呼吸筋,V/Q mismatchと姿勢の対応関係により生じるものです。 orthopnea(起坐呼吸) 呈する原因:心不全,COPD,神経筋疾患による呼吸不全 前かがみの場合:COPD・病態:呼吸補助筋が垂直になることで動員しや […]

ねころんで読める 救急患者の”痛み”のみかた 著:坂本壮先生

本書は著者でいらっしゃる坂本壮先生に献本頂き大変ありがとうございます!早速拝読させていただき特に「臨床像の思い込みから誤診してしまうことを避ける」というER診療上の重要なメッセージが伝わってきました。大動脈解離なら血圧高値なのではないの?walk-inくも膜下出血はないのではないの?肺塞栓症は急に胸が苦しくなるのではないの?胆嚢炎は発熱があるのじゃないの?などと臨床像上勘違いしがちな重要なポイント […]

乳酸 Lactic acid/Lactate

・lactate:乳酸イオン *血液ガスで測定している値・lactic acid:乳酸 正常値:0.5~1.5 mmol/L (通常 2 mmol/L未満)*換算(mmol/Lとmg/dL):mmol/L=0.11 x mg/dL 0.44-1.78mmol/L(4-16mg/dL) →だいたい8~9倍すれば良い(血液ガス測定の機械によって単位表記が異なる) 産生と代謝 産生 機序:嫌気性解糖=ピ […]

メイロン®を投与するべきなのか?

「メイロン®(NaHCO3)を投与するべきなのか?」はずっと議論があります。ここでは臨床試験ではなく生理学的議論に関してまとめていきます。 電離定数からの議論:The ICU book(Marino)の記載 The ICU bookの記載をざっくりまとめると「そもそも重炭酸の電離定数pK=6.1だから、pH=6.1前後で最も有効な緩衝剤になる。すると通常acidemiaの例えばpH=7.2の状況で […]

抗核抗体 ANA(antinuclear antibody)

膠原病≠抗核抗体陽性であり,抗核抗体が有用な膠原病とそうではない膠原病をきちんと分けて考えることが重要。抗核抗体自体が直接病原性を持つ訳ではなく、抗核抗体の値をフォローアップする意義は確立していない。 抗核抗体関連疾患:①SLE,②全身性強皮症,③混合性結合組織疾患(MTCD),④シェーグレン症候群,⑤多発筋炎/皮膚筋炎 分類・homogeneous:抗dsDNA, ssDNA・periphera […]

ANCA(好中球細胞質抗体)

検査方法 ・IF法(免疫蛍光染色法):p-ANCA, c-ANCA(特異性がELISA法よりもやや低い)・ELISA法:MPO-ANCA, PR3-ANCA →基本測定するのはこちら*PR3-ANCAの方が特異性が高い,MPO-ANCAは他疾患で陽性になりやすい*ANCAの陽性率などに関しての文献は上記いずれの方法により測定したものか?に注意が必要 ANCA陽性になりうる疾患 ・感染症:感染性心内 […]

記事の数が700になりました!

いつもホームページ・ブログをお読みいただき大変ありがとうございます。皆様方のおかげで記事の数が700になりました。ここ最近(特にここ半年)は記事の更新頻度がかなり減ってしまいましたが・・・、また読書などのあまり医学と関係ないテーマも多いですが・・・コツコツ続いている経過と思っています。これも読んでくださる皆様方のおかげで大変ありがとうございます! 前にも記事で書きましたが、やはり自分向けの情報と外 […]

感染性心内膜炎の予防

感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017 年改訂版)より *太字は管理人によるもの 感染性心内膜炎リスク 高リスク群 ⅠB→予防薬適応 ・生体弁,機械弁による人工弁置換術患者,弁輪リング装着例・IE の既往を有する患者・複雑性チアノーゼ性先天性心疾患(単心室,完全大血管転位,ファロー四徴症)・体循環系と肺循環系の短絡造設術を実施した患者 中リスク群 Ⅱa C・ほとんどの先天性心疾患 […]