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乳酸 Lactic acid/Lactate

・lactate:乳酸イオン *血液ガスで測定している値
・lactic acid:乳酸

正常値:0.5~1.5 mmol/L (通常 2 mmol/L未満)
*換算(mmol/Lとmg/dL):mmol/L=0.11 x mg/dL 0.44-1.78mmol/L(4-16mg/dL) →だいたい8~9倍すれば良い(血液ガス測定の機械によって単位表記が異なる)

産生と代謝

産生

機序:嫌気性解糖=ピルビン酸の還元(NADH/NAD比が重要)
産生部位:筋肉25%,皮膚25%,赤血球20%,脳20%,腸管10%
産生量:20 mmol/kg/日 (体重60kgで1200 mmol/日)
産生亢進の原因:①嫌気性解糖自体の亢進,②TCA回路不全(ミトコンドリア電子伝達系の障害)
*解糖系のまとめ
グルコース

ピルビン酸

①アセチルCoA(PDH, Vitamin B1)からのTCA回路(ミトコンドリア)
②乳酸産生(NADH→NADH+) *PDH:ピルビン酸脱水素酵素

代謝

・代謝:ピルビン酸への酸化(LDHによる)→肝臓 70%, 腎臓 25~30%
*clearance 800-1800 mL/min *全身の血液中乳酸は3~4分で浄化
*腎臓では近位尿細管でほとんど再吸収され、ほとんど排泄されない(FE: fractional excretion=4.7%)
Clin Nephrol 2001;55:448-52.

乳酸アシドーシスの原因

Type A:組織低酸素(循環呼吸不全:全身性→ショック,局所性→腸間虚血,下肢虚血,コンパートメント症候群など)>その他(痙攣,高度貧血 Hb<1/4,激しい運動)
*低酸素血症単独での上昇は閾値が高い(PaO2<35 mmHg)
Type B:代謝障害①代謝障害(肝腎機能障害,ビタミンB1欠乏),②薬物中毒(アルコール,メトホルミン,β2作動薬,サリチル酸,プロポフォールなど),③先天性代謝異常

参考文献
・Intensivist Vol14 No2 特集生理学2 「乳酸の生理学」 乳酸に関しての最もすぐれたreview articleと思います