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Fabry病

Fabry病はαガラクトシダーゼA(α-Gal A)の酵素活性低下・欠損によるグロボトリアオシルセラミド(GL-3)のライソゾームへの進行性の蓄積が病態で、全身の細胞にこれらが蓄積することで臓器障害を引きおこいます。αガラクトシダーゼ遺伝子(GLA)はX染色体上に存在するため、X連鎖性劣性遺伝形式をとります(ヘミ接合体)。しかし、実際には女性でも症候性の場合もあります(症候性ヘテロ接合体)。 以下 […]

手術・処置における抗凝固薬の休薬

ここでは手術・処置の前にあたって「抗凝固薬をそもそも中止する必要があるのか?」また中止する場合は「いつから中止する必要があるのか?」、「いつから薬を再開するべきか?」に関してまとめさせていただきます。抗血小板薬の休薬に関してはまた別に記載させていただければと思います。 ■DOACに関して”European heart rhythm association”の2018年gui […]

発汗障害 無汗症・発汗低下

生理と解剖 汗腺の構造 発汗機能を担う構造は汗腺(sweat gland)です。汗腺はエクリン腺(eccrine gland)とアポクリン腺(apocrine gland)の大きく2種類が存在します。前者のエクリン腺は全身に分布し、体温調節を主に担います。後者のアポクリン腺は腋窩など比較的限局した部位に存在し、情動に伴う発汗に関与します。 発汗の機能は1:体温調節のための発汗と2:情動に伴う発汗の […]

ヘパリンブリッジ

「ヘパリンブリッジ」は慣習的に行われている施設が多いかもしれませんが、近年「ヘパリンブリッジは本当に意味があるのか?」というclinical questionが臨床試験で問われています。自分は今まできちんと元文献にあたれていなかったため調べた内容をまとめさせていただきます(以下では「ワーファリンのヘパリンブリッジ」に関してのみ扱います。DOACのヘパリンブリッジに関してはまた別途記載させていただき […]

Jolt accentuationと髄膜炎

“Jolt accentuation”は「頭部を自動的あるいは他動的に動かす(1秒間に2-3回首を回旋させる)と頭痛が増悪する」ことを意味し、髄膜炎を疑った際に用いる身体所見です(細菌性髄膜炎の一般に関してはこちらをご参照ください)。内原俊記先生が1991年Headacheに発表されたことに端を発します(Headache 1991;31:167)。 元々Kernig徴候やB […]

どのような病歴が「良い」病歴なのか?

「何が良い病歴で何が悪い病歴か?」正直私が初期研修医のときはあまり分かっていませんでした。とりあえず聞きまくればいいのかな?となんとなく思ってただ「長い病歴が良い病歴」と勘違いしていたように思います。ここでは何が良い病歴なのか?に関して私の考えを書かせていただきます。 患者さんの言う言葉をそのまま病歴にすれば良い訳ではない 私は普段神経内科医として外来をしていますが、パーキンソン病患者さんのフォロ […]

視床梗塞 thalamic infarction

視床は感覚情報や意識を伝える中継所を担っています。先日視床前部の脳梗塞によりabuliaが前景に立つ症例を経験したため、勉強させていただいた内容をまとめました。 血管支配 視床を支配する血管は大きく以下の4つに分類されます(下図参照:名称は文献により違いがあるが本記事は以下の名称で統一)。いずれも後方循環由来です。・tuberothalamic artery(Pcom由来 後交通動脈)・param […]

Cerebellar Bottom-of-Fissure Dysplasia

訳わからないくらいマニアックな内容ですみません。今回は完全に今一緒に診療しているチームのメンバー向けの内容で恐縮です・・・・。私の尊敬する放射線科の先生が教えてくださった内容です。 ■”Cerebellar Bottom-of-Fissure Dysplasia”の提唱 Cerebellum (2016) 15:705 – 709 “Cerebellar Bot […]

「天才はあきらめた」 著:山里亮太さん

私は特別お笑いに詳しい訳ではないのですが、テレビで山里亮太さんのゲストの発言に対する鋭いツッコミやコメントが好きで元々応援していました。本屋さんでご本人のメガネと同じ赤色で大きくかかれたインパクトのあるタイトル・表紙に心惹かれてつい本書を買ってしまいました。個人的にとても面白い本でしたので紹介させていただきます。 本書は山里さんがお笑い芸人になるまで、また現在に至るまでの自叙伝のような形式になって […]

レクチャーのご案内

今回の記事は医学内容の解説ではなく、レクチャーのご案内になります。 私(「医学事始」の管理人)は今まで勤務させていただいた病院で初期研修や後期研修の先生方を対象にときおりレクチャーを開催させていただいております。最近は私が直接勤務させていただいた事がない病院の先生方からもレクチャー依頼の声をかけていただくことがあり、お声がけ頂き大変ありがとうございます。そのような経緯からレクチャー開催のご依頼をこ […]