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Guillain Barre症候群 予後予測

患者さんご本人、家族へのギラン・バレー症候群の説明をするにあたっては大まかな機能予後と道筋を示すことが求められます。その際に参考となるのが予後予測のスコアリングです。ギラン・バレー症候群では機能予後に関するスコアリングとしてmEGOSが、人工呼吸管理となる予後評価に関してEGRISの2つが提唱されており、ここで簡単に紹介させていただきます(ギラン・バレー症候群の一般的事項に関してはこちらをご参照く […]

感覚障害のみを呈する脳梗塞 Pure sensory stroke

感覚障害のみを呈する(つまり運動症状を呈さない)脳梗塞としては視床が有名ですが、脳幹部の限局性梗塞でも感覚障害のみの脳梗塞を呈する場合があり注意が必要です。 ■Pure sensory strokeの疫学に関して J Neurol (2005) 252:156–162 この研究では99例のpure sensory strokeの症例があり、全脳卒中の4.7%、脳梗塞の5.4%、ラクナ梗塞の17.4 […]

中脳梗塞 midbrain infarction

ここでは中脳の解剖と中脳に限局した脳梗塞(pure midbrain infarction:つまり中脳以外の部分には梗塞巣を認めない)に関してまとめます。 中脳の解剖・血管支配 中脳の構造は下図のようになっています。・動眼神経核:中脳の脳神経で最も重要な脳神経は動眼神経です。内側に位置しており、脚間窩へ走行しています。・大脳脚:内包を経由した下降性投射線維の集合体です。皮質脊髄路(錐体路)の線維が […]

尾状核梗塞と無為 abulia

尾状核梗塞は経験したことがあると病歴だけから診断することが可能である点が個人的には好きな疾患です。以下で解説していきます。 無為 abulia 脳梗塞の診断は今までの記事でも何度か書いておりますが1:神経学的巣症状(focal neurological sign)から病巣を推定することと、2:病歴から血管障害を示唆する突然発症(sudden onset)を取ることの2点が極めて重要です(むしろこれ […]

PSP-PAGF pure akinesia with gait freezing

歩行のhesitationやfreezingが前景に立つがパーキンソン病に典型的な振戦や固縮が目立たない臨床病型としてPSP-PAGF(pure akinesia with gait freezing)が知られています。個人的にはかなり特徴的な臨床像と思っており、いままできちんと調べられていなかったので既報を調べたものをまとめます。PSP全般に関してはこちらをご参照ください。 ■PAGFをPSPの […]

SSRI/SNRI 選択的セロトニン再取り込み阻害薬

作用機序 シナプス前細胞でのserotonin再取り込み阻害することによる、シナプス間隙のserotonin濃度上昇が作用機序です。 分類 ■SSRI ■SNRI 副作用 SSRIとSNRIの副作用は基本的に同じです。三環系抗うつ薬と異なり抗コリン作用がないため使いやすい点が特徴として挙げられます。・嘔気・下痢 最も頻度が多い・睡眠障害 不眠、傾眠どちらもあり・性腺機能障害 性欲減退など・体重上昇 […]

分水嶺領域の脳梗塞 watershed infarction

0:分類と解剖 2つの主幹動脈の境界部分を分水嶺領域(watershed area/ border zone)と表現し、同部位に脳梗塞をぶきたす場合があります(脳梗塞全体の約10%を占めるとされています)。分水嶺領域は“external(cortical) border zone”と“internal(subcortical) border zone” […]

サルモネラ感染症

ここではチフス以外のサルモネラ感染症を扱います。具体的な菌としてはSalmonella(S.enteritidis/S.typhimurium/S.heidelberg/S.newport/S.agona)による感染症です。腸内細菌科のGNRで、基本自然界のどこにでも存在しているとされています。 感染経路 1:食べ物:卵、鶏肉が代表的*卵黄1/10,000はSalmonella enteritid […]

下痢 救急外来編

0:はじめに 院内患者の下痢に関してこちらにまとめましたので、今回は救急外来での下痢対応に関してまとめます。特にここでは救急外来での頻度が多い急性下痢(発症から2週間以内)に関してまとめます。私は急性下痢症に関して以下の3通りに分類しております。 1:腸炎 ウイルス性・細菌性腸炎、寄生虫感染症2:中毒 Toxic shock syndrome・コリン作動性中毒・セロトニン症候群・甲状腺クリーゼ3: […]

HIT: heparin-induced thrombocytopenia

病態 HIT(heparin-induced thrombocytopenia)はPF-4(platelet factor:血小板放出)とヘパリンの複合体に対する抗体形成により血小板が減少しますが、出血合併症が起こるのではなく逆説的に血栓症を合併する病態です。未分画ヘパリンを7-10日間投与されている状態がリスクが高く、心臓手術後は約1-3%に認めるとされています。HITと確定した患者の約50%に […]