「天才はあきらめた」 著:山里亮太さん

私は特別お笑いに詳しい訳ではないのですが、テレビで山里亮太さんのゲストの発言に対する鋭いツッコミやコメントが好きで元々応援していました。本屋さんでご本人のメガネと同じ赤色で大きくかかれたインパクトのあるタイトル・表紙に心惹かれてつい本書を買ってしまいました。個人的にとても面白い本でしたので紹介させていただきます。

本書は山里さんがお笑い芸人になるまで、また現在に至るまでの自叙伝のような形式になっています。本書のテーマは「劣等感」・「天才」・「努力」で、「劣等感」という負の感情を力に変えて、「天才」という壁に血の滲むような「努力」をしながら戦い続ける山里さんの様子が山里さん特有の(お得意の?)毒も交えながら書かれています。

以下の部分が私が非常に感銘を受けた文章です(以下” “部分が本書の「偽りでも天才になりきる」というチャプターより引用)。

“努力って、お笑いをやる上ですごく格好悪いことだと思っていた。 「必死」「一生懸命」。この単語が似合わない、「本当の天才」が創るべきなのがお笑いという世界で、何も苦労なく頭の中に思いついたことを言うと目の前の人が笑ってくれる人たち、それが本物の芸人なんだとわかっていた。というよりも、もはや、憧れてしまっていた。
 しかし、それ以外の人はこの世界に向いていないという答えを出すと、その瞬間にそれは「サボる理由」に変化してしまう。だから必死でその答えを無視するために、逃げるという選択肢なんて思いつかないくらいの努力をしようと思った。”

私自身も「天才」という言葉は「自分が頑張れないことへの言い訳」というイメージをずっと持っていましたが、言い訳(ここでは「サボる理由」)をせずに必死に努力を続けて「偽りでも天才になりきる」という山里さんの前を向いた姿勢に非常に心を打たれました。「天才」という言葉ははよく「努力」という言葉と二項対立で語られることが多い印象がありますが、山里さんの文章を読んでいると決して両者は対立構造にある訳ではなく、「努力」が「天才」に肉薄している凄みを体感しました。

お笑い好きの方にもお笑い好きではない方にも楽しめるおすすめの本だと思います。ちなみにオードリーの若林正恭さんが書かれている「あとがき」もとっても面白いです。

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