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脂肪塞栓症 FES: fat embolism syndrome

知らないと鑑別に挙げることができない疾患の代表で、私はよく鑑別から漏らしてしまい先日も寝る直前に「あっあの今日コンサルトをもらった患者さんは脂肪塞栓症では・・・?」と思ったことがあります。 機序 骨折や整形外科手術により骨髄内の脂肪が血液中に放出され、脂肪が物理的に塞栓症を引き起こす”mechanical theory”と、生化学的な機序の”biochemica […]

脳梗塞と関連性のある薬剤

先日glioblastomaに対してbevacizumab投与中の患者さんが脳梗塞になってしまいコンサルテーションとなりました。自分は恥ずかしながら知らなかったのですが、bevacizumabは脳梗塞リスクとして有名な薬剤のようです。薬剤と脳梗塞の関連性に関して調べた内容をまとめました(Stroke. 2021;52:00–00. DOI: 10.1161/STROKEAHA.120.033272 […]

後脊髄動脈梗塞

脊髄梗塞の中でも後脊髄動脈(PSA: posterior spinal artery)領域の梗塞は「かなりまれ」で報告も限られています(脊髄梗塞全般に関してはこちらをご参照ください)。画像上後脊髄動脈領域を描出することが難しいこともありますし、そもそも後脊髄動脈は血管が這うように分布しており虚血に陥りにくい点(下図参照)などが挙げられます。最近久しぶりに自験例があり(私は今まで2例確定診断例があり […]

CAA: cerebral amyloid angiopathy 脳アミロイド血管症

本記事はかつて一緒に働かさせていただいたY先生が作られた資料を多く引用させていただき作成しております。Y先生引用に関してご快諾いただき大変ありがとうございました。 病態 ・軟髄膜の血管にAβが沈着し血管が破綻することで皮質下出血/皮質~皮質下境界領域の出血(特に後頭葉・側頭葉主体)や円蓋部くも膜下出血を呈することが特徴です(CAAではAβ40が、アルツハイマー型認知症ではAβ42の沈着が主体になる […]

化膿性脊椎炎 vertebral osteomyelitis

脊椎に起こる骨髄炎(osteomyelitis)を一般的に「化膿性脊椎炎」と称することが多いです(「椎体炎」と呼ばれる場合もあります)。整形外科医のみならず内科医にとっても非常に重要な疾患なので勉強した内容をまとめます。 起炎菌 ・最多は黄色ブドウ球菌とCNSです。以下にまとめます。 Common 50% less common25% rare-5% S.aureusCNS 連鎖球菌腸球菌GNR( […]

超高齢心房細動患者さんへの低用量エドキサバンに関して ELDERCARE-AF study

超高齢の心房細動患者さんに対して抗凝固薬をつい出血リスクから躊躇してしまうことが多いかもしれませんが、低用量のDOACは効果があるのか?という臨床的な疑問に答える臨床研究が”ELDERCARE-AF”studyです(引用:N Engl J Med 2020;383:1735-45.)。日本で行われた研究ということもポイントです。通常のDOACに関してはこちらにまとめがあるの […]

末梢神経障害 neuropathy

解剖学的分布による分類 ■単神経障害:絞扼性(手根管症候群・肘部管症候群・撓骨神経麻痺)・多発単神経障害の初期■多発単神経障害:血管炎■多発神経障害(ポリニューロパチー):代謝障害(糖尿病・ビタミン欠乏など)、脱髄など様々 ・単神経障害の場合はcommon compression siteとして説明可能か?という点が重要です。例えば急性経過の下垂足で受診した患者さんが圧迫の病歴がなくても「きっと圧 […]

神経障害性疼痛

いわゆる「しびれ」(異常感覚)に対してスパッと効果のある薬剤はなかなか無いのが現状ですが、実際にはその中でも試行錯誤しながら対症療法を進めていきます。ただいずれの薬剤も副作用(とくにふらくきや眠気など)があり、高齢者では転倒のリスクになってしまったりと本末転倒な結果を招きかねないため慎重に使用する必要があります。 プレガバリン 商品名:リリカ作用機序:Ca2+チャネルα2δリガンド製剤:25mg, […]

POTS: postural tachycardia syndrome

立位不応(orthostatic intolerance:立っていると具合が悪くなる)の鑑別として重要なのがPOTSです。立位に対する異常な心拍数の増加と、起立性低血圧と異なり収縮委血圧は低下しないという特徴を有する症候群です(立位に対する正常の反応はHRが10-30/分上昇し、収縮期血圧は変化なく(保たれ)、拡張期血圧は-5mmHg上昇とされています)。 定義/機序 ■定義・立位(tiltもしく […]

COVID19 mRNAワクチン接種後の心筋炎

日本循環器学会からも声明が発表されていますが、COVID19 mRNAワクチン接種後の心筋炎の報告があります。実は私も先月ER勤務で1例経験しました。詳細は伏せますが若年男性の発熱、胸痛で受診し胸痛部位は胸骨裏の正中で圧痛はなく、吸気時痛などもはっきりしませんでした。COVID19 mRNAワクチン2回目接種の2日後の発症であり、ぐったりしている印象もありその他の胸痛原因も指摘できなかったためトロ […]