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2022年8月

“DeJong’s The Neurologic Examination”

医学書の紹介です(完全に神経専門医向けです)。最近購入してはまっているNeurologyの教科書が”DeJong’s The Neurologic Examination”です。臨床神経領域では有名な教科書でずっと存在は知っていたのですが、「なかなか手ごわそうだな・・・」と思って購入するのを躊躇い続けていました(日本語訳本はなし)。新しい職場で改めてNeurol […]

初療医へ敬意を~後医は名医~

私事で強縮ですが最近小生は自分が直接ERで初療を行う機会がめっきり減り、どちらかというと後からの相談を受けるコンサルタントの立場になってきています。このような状況では後出しじゃんけんで「なんでこうなってしまったの?」という態度をとってしまわないよう注意が必要だと感じています。 「後医は名医」という言葉はどなたが言い出したのかは分かりませんが、本質をついた言葉だと思います。時間が経過するにつれて臨床 […]

出血性梗塞 hemorrhagic transformation

特に心原性脳梗塞で問題となるのが出血性梗塞(または脳梗塞の出血転化”hemorrhagic transformation”)です。脳梗塞全体の10-15%程度に認めるとされており、抗血栓薬との兼ね合いが難しくなるところです。心原性脳塞栓症の治療は出血性梗塞と戦っているといっても過言ではないかと思います。なかなかevidenceに乏しい領域ですが(日本の脳卒中ガイドライン20 […]

非外傷性脳出血患者への急性期予防的抗てんかん薬投与 “PEACH” trial

ずっと気になるテーマであった臨床試験がついに発表されざわざわしています(私だけ・・・?)。脳血管障害患者で急性期に抗てんかん薬を予防的に投与することに意味があるのか?というRCTはこれまで存在せず、ガイドラインでも推奨するに根拠が薄いとされてきたためとても重要なテーマです。”PEACH (Prevention of Epileptic seizures at the Acute pha […]

透析患者の心房細動に対する抗凝固療法

透析患者さんが心房細動を合併している場合は多く(既報では約10%)、その際に抗凝固療法を導入するべきか?は議論があります。透析患者さんは脳卒中罹患リスクが5倍とされていますが、その一方で尿毒症の血小板機能低下(uremic platelet dysfunction)による出血傾向があります。このため「塞栓症予防のメリットが出血合併症のデメリットを上回るのか?否か?」が問題となります。この点に関して […]

高齢者の肺炎

高齢者の体動困難はERでよく遭遇する主訴で、よくよく調べると「あれっ画像では肺炎がありそうだけど、呼吸器症状もほとんどないし・・・肺炎で良いのかな?」と思うことは日常臨床でよくあると思います。特に昨今はCOVID19の流行によってこのようなケースは多く経験すると思います。超高齢者(≧80歳)の市中肺炎に特化したreview(“Community-acquired pneumonia i […]

発作(seizure)の誘因となる薬剤

ここではてんかん患者さんにおいて発作(seizure)の誘因となる(閾値を下げる)薬剤を文献から調べまとめます。発作(seizure)へのアプローチで「発作の誘因があるか?」は最も重要なポイント点です。誘因があればまずは誘因を除外して抗てんかん薬は増量または導入しない選択肢をとりますし、「誘因がない」場合は抗てんかん薬を増量または導入する選択肢を考慮します。この誘因の原因として「薬剤」は常に注意が […]

下垂体の解剖と画像

下垂体の解剖と画像はややこしいため勉強した内容をまとめました。今後徐々に内容を追加していきます。 解剖 ・下垂体はトルコ鞍(sella turcica)内(蝶形骨により形成)に位置する・上方:鞍隔膜 ・両側:海綿静脈洞 *海綿静脈洞と下垂体の間には硬膜が存在しないため、下垂体病変は海面静脈洞へ物理的に波及しやすい(下図) ・解剖:視床下部-正中隆起-下垂体茎(柄)(pituirary stalk) […]

下垂体炎 hypophysitis

免疫チェックポイント阻害薬の登場により注意が必要なのが下垂体炎です。最近下垂体疾患が多くまとめます。 分類 原発性:リンパ球性下垂体炎 続発性・薬剤性(免疫チェックポイント阻害薬・IFNα・Ustekinumab, Daclizumab)・自己免疫性(甲状腺疾患・Ⅰ型糖尿病・polyglandular syndrome・原発性胆管性肝硬変)・結合組織疾患(シェーグレン症候群・SLE・その他)・炎症 […]